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たねや
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「たねや」のあんこを巡る旅。

[その3]

「たねや」として譲れないもの

一通り工場を見て回ったあと、藤澤さんにいろいろお話を聞きました。

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藤澤

“お菓子づくり”というのは、その時代に合ったお菓子をつくり続けてゆくことだと思います。一つの配合ができたからといって何十年売れるかというと、絶対に無理やからね。味の好みも変わってくるわけじゃないですか。

そうですね。

藤澤

その時代に合ってないものはだんだん選ばれなくなって、何十年と続く商品になれへんかな。だから、完璧につくったぞ!という配合であっても何十回と変えてきました。もちろん、これからも変えていきます。

あまり違いに気づかれなさそうですが...それでも変えていく?

藤澤

同じものでも変えていきます。少しずつ、少しずつ、なので食べている人は気づかないかもしれません。けど、糖度なんて昔と比べたら10度くらい落ちてるんですよ。

10度も!昔はすごく甘かったんですね!

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藤澤

そういうことでもないんです。今の時代はお菓子に柔らかさやみずみずしさが求められることが多く、そういうお菓子は糖度が高くなくても甘さを感じやすいんです。

一方で、昔はしっかりとした食感のお菓子が主流で、人の味覚は硬さがあるとあまり甘さを感じにくいので、それなりに砂糖が入っていたということですね。

つまり、硬さを変えると、甘さも調整できるんです。時代に合わせていろんなことを考えながら開発をしています。

小豆一つでもいろんな取り組みをされているんですね。

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藤澤

たねやにとって小豆は、本当に大切な原材料です。一方で農作物でもあるので年によっては自然災害が起きてしまうと、小豆の生産量が少なくなることもあります。

そのなかで品質のよい北海道産の小豆を卸してもらえるよう、専門業者を通して何回も農家さんに会いに行くんです。

顔を見て話をしたりお酒を酌み交わしたり、農家さんにたねやの和菓子を食べてもらったり。「うちの小豆がこんなにおいしいお菓子になったんか!」と知ってもらうことも大切にしています。

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製造部 部長の藤澤さん。笑って話してくださいました
藤澤

そうやって、たねやのお菓子づくりの姿勢を伝え、農家さんと信頼関係を築くことがおいしいお菓子をつくるために大切なことなのだと信じています。


今回話を聞いてみて、原材料に費やす手間や時間、労力、味を守るための投資など、消費者側からはあまり知ることのないこだわりを垣間見ることができました。

例えば原材料の産地について。「北海道の〇〇という品種」というふうに、生産地を絞れば絞るほど、消費者にこだわりは伝わりやすいです。

これまで自分は、産地が有名処ならこだわっているといったふうに捉えがちでした。

しかし、たねやはネームバリューで原材料を選ぶのではなく、真摯においしい原材料を追求しています。実際に様々な種類の小豆を炊いて食べてみたり、農家さんと丁寧に関係をつくったり。質のよい原材料を仕入れるための努力をずっとされているのだなと感じました。

この記事を通して、たねやのお菓子づくりへの姿勢を感じてもらえたらうれしいです。

WRITER

平野太一

CAKE.TOKYO 編集者。あたらしいものとおいしいものを求めて、プライベート・仕事を問わず、実際に訪ねることをモットーに、日々活動しています。 Twitter : @yriica

PHOTOGRAPHER

三浦咲恵

1988年大分県生まれ。City College of San Francisco写真学科卒。帰国後、株式会社マッシュにてスタジオアシスタントを経て、2014年鳥巣佑有子氏に師事。2016年独立。現在、ジャンルを問わず、雑誌・Web・広告等で活躍中。

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