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#2
たねや
#3
#4

バームクーヘンの、伝統と革新。

[その3]

最後の最後まで気を抜かない

福森

あ、そろそろ焼きあがりそうですね。オーブンからバームクーヘンを移動させて、これからじっくり冷やします。

このオーブンは、常に高温状態。持ち手が、もう半端じゃなく熱く、初めは熱くて持てないです。軍手を着けていても。

(軍手を)着けていても?

福森

そう。でも長年積み重ねていく間に、だんだん皮膚が適応してきます。厚くなるっていうことですね。

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焼き上がったバームクーヘンを高温のオーブンから取り出し運ぶところ

冷ます前に少し回転させてるのはどうしてですか。

福森

一見まん丸に見えるんですけど、実はちょっとだけ歪んでるんです。重たいほうを上に持ってこないと、バームクーヘンを切ったときに楕円形になってしまうんです。焼いたあとも、何度も回して面倒を見ないといけない。ほんまに大変なんです。

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バームクーヘンは、冷めてくると、大体1センチぐらい縮むのだそう。「今日は縮みやすいから太めに焼いとこう」とか、「今日は縮まへんから細目に焼いとこ」とか、縮んだサイズをイメージしながら焼いていくのが難しいそうです。他にもミニサイズも展開されています。

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一番大きいサイズのバームクーヘン(22層(直径)〜23層)。1本で、2,000円のものが11個、3,000円のものが7個、5,000円のものが4個できあがります
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ミニサイズのバームクーヘン。「実はミニが焼くのが一番難しいんです」と福森さん

おいしさ仕上げるフォンダンの一塗り

福森

ここからが、仕上げの工程になります。冷ましたバームクーヘンにフォンダン(*)を塗っていきます。

(*)フォンダンとは、砂糖とリキュール、水、寒天を混ぜ合わせたもの

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…おいしそう!!

福森

クラブハリエのバームクーヘンは、フォンダンが大事な部分になります。この砂糖の甘みと生地の甘みを、ちょうど足して一番いい甘さにするんです。

手作業で塗ることで多少ムラは出るんですけど、そのムラも”味のうち”といいますか。若干薄いところ、濃いところがあることで味に変化があって面白いと思うんです。ずっと手塗りにこだわっていますね。

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フォンダンを塗ったものを機械で輪切りにして、芯棒を抜いて包装をしていきます
福森

この芯棒は、バームクーヘンを抜いたあときれいにして、また紙を巻いて使います。多いときで1日に2,500本ぐらい出します。

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福森

この巻紙の作業は、一見簡単そうに見えますが、絶妙な加減で巻くには熟練の技術がいるんです。巻き方によっては、せっかくみんなが丹精込めて焼いたバームクーヘンが芯棒から落ちてしまうので。

すべての工程に職人の技術が詰まっているからこそ、安定しておいしいバームクーヘンができるのですね。今日は案内してくださり、ありがとうございました!

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5月末にラ コリーナを訪ねたときにはじめて食べた「焼きたてバームクーヘン」。

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焼きたてバームクーヘンセット ドリンク付 : 税込896円

ふわっふわのバームクーヘンを一口ほおばり、かみしめたとき、フォンダンの部分がじんわりしみてきて、はじめての食感だ、と感じました。

そして今日、そのバームクーヘンがつくられる裏側を知ることができて、職人の背中で語るかっこよさを垣間見ることができて本当によかったです。

WRITER

平野太一

CAKE.TOKYO 編集者。あたらしいものとおいしいものを求めて、プライベート・仕事を問わず、実際に訪ねることをモットーに、日々活動しています。 Twitter : @yriica

PHOTOGRAPHER

三浦咲恵

1988年大分県生まれ。City College of San Francisco写真学科卒。帰国後、株式会社マッシュにてスタジオアシスタントを経て、2014年鳥巣佑有子氏に師事。2016年独立。現在、ジャンルを問わず、雑誌・Web・広告等で活躍中。

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