【お取り寄せ】和歌山への愛と人情味が交錯する、スナック店生まれの「an and an(アンアンドアン)」の「あんバタースコーンサンド」のストーリー


CAKE.TOKYO編集部
和歌山市アロチ(新内)。地元では、昔から知られる歓楽街です。
今回ご紹介するお菓子は、このアロチにあるスナック店「Quattro(クワトロ)」から誕生したブランド「an and an(アンアンドアン)」の「あんバタースコーンサンド」です。
「スナックがお菓子を?」そう驚いたあなたには、ぜひこの記事を最後まで読んでいただきたい。
スナックが織りなす様々な人間模様からヒントを得て、地元和歌山への愛で仕上げたこだわりのお菓子は、和歌山から全国に向けて飛び出しました。今回は、そんな「an and an」のストーリーをお伝えします。
目次
ネットで話題の和歌山のスコーンサンド

JR東京駅構内にある「an and an グランスタ東京店」/スナックをイメージした店装がいい
ネットで話題のおいしいスコーンサンドが東京で買えるようになったらしい。場所は、東京駅構内。スイーツの人気ブランドが軒を連ねる一角に今回ご紹介する「an and an(アンアンドアン)」の人気商品「あんバタースコーンサンド」は売られています。
聞けばこのブランド、和歌山の歓楽街生まれ。スナック店から誕生したというのです。
スナック「Quattro(クワトロ)」

スナック「Quattro(クワトロ)」の店内
紀州徳川家の城下町として栄え、雑賀衆の拠点としても知られる歴史ある和歌山。
そんな地で、2007年以来、県外からのお客様を多く迎えてきたスナック「Quattro(クワトロ)」は、親しみやすさを何よりも大切にしているお店です。しかし、コロナ禍では他の飲食店同様、大きな打撃を受け、その日常を奪われることになりました。




コンパクトでありながら、街のいたるところに歴史が色濃く残る和歌山市
おもてなしの心が生み出した「an and an(アンアンドアン)」

株式会社クワトロ 代表の内藤ひさみさん
「お店に勤める従業員の働く場所がなくなってしまうと思って」
そう語ってくれたのは、株式会社クワトロ代表の内藤ひさみさんです。自身が立ち上げたスナック店が当時、危機的な状況だったことを話してくれました。
コロナ禍で心配してきてくださったお客様に持ち帰ってもらえるものはないか?そして、なかなか会えないお客様に何かできることはないか?内藤さんはじめ店舗スタッフの女性たちのおもてなしの心が動き出したといいます。
内藤さん
「それで『Quattro』の一角でお菓子づくりを始めたのがきっかけだったんです。お菓子なら持って帰ってもらえるし、和歌山の新しい名物になればという思いもありました」
“アナログ”な情報発信力が強み

お客様も従業員も。人との繋がりを何より大切にする内藤さん
当時、店内のカウンターでは、スタッフ一丸となってお菓子づくりに励んでいたそうです。時には、できあがったお菓子が客席までずらりと並ぶこともあったとか。
内藤さん
「お客様からは『また、面白いことをしているな!』と応援されながら、不慣れなスタッフと一緒に試行錯誤をしていました。そのうち、お客様に商品の紹介をしてもらったり、農家さんに繋いでいただいたり、うちは本当にそういうご縁に支えられて、ここまで来ました」
コロナ禍で業態変更を余儀なくされるなか、従業員もお客様も大切にする内藤さんの想いと、温もりのある“アナログ”な情報発信が相まって新たな流れを生み出し、焼き菓子ブランド「an and an」は誕生しました。
和歌山でいちばん有名なお菓子屋さんになろうよ!

右:工場長の森口明日香さん/左:製造スタッフの籔田早織さん
「Quattro」の新規事業としてスタートした「an and an」でしたが、販売を始めると丁寧につくられた味が評判となり、各地の催事会場から声がかかるようになりました。
森口さん
「当初は『Quattro』の店内で作れる分しか用意できなくて、軌道に乗せるまでが大変でした。みんな不慣れだし。大量生産したくても、スコーン生地の状態が天候や季節で全然違ったりして、何回も失敗しました」
現在も「Quattro」の店長も務める森口さんは、社長・内藤さんの右腕として事業を支えています。

「an and an」製造風景/女性たちが活躍しています
森口さん
「プロの方に作り方の指導もしてもらいました。その様子を動画で撮って、それを何度も何度も細かいところまで見返したりして。販売先が決まっているから商品は絶対用意しなきゃいけないし、とにかく毎日必死でした」
売上があがっていくにつれ、人員も場所も拡張する必要が出てきました。
森口さん
「この工場もやっと1年が経ったところです。プロ仕様の大きなせオーブンも見たことがなかったのですが、使い方にも慣れて、生産数が増えました」
内藤さん
「お店に勤めていた女性たちが、出産した後も働ける場所を提供したかったんです。それで、せっかくなら、和歌山でいちばん有名なお菓子屋さんになろうよ!って」
手作業がいちばん「an and an」らしさが出せた

ひとつひとつ丁寧に作られています
「an and an」の事業が急拡大するなか、効率化を目指して、様々な方法を試してきたという森口さん。
森口さん
「スコーンを作るのを手伝ってくれるところを探したり。でも、結局はどれも上手くいかなくて、自分たちで焼き上げるのがいちばんいいね!ってなったんです。スコーンの形もバラバラだけど、それがなんだかスタッフの個性みたいに感じられて、温かみがあるかなって」




製造工程はすべて手作業
あんこは手でひとつひとつ丁寧に丸型に整え、発酵バターも一度板状に伸ばしてからスコーンのサイズに合わせて丸く型抜きをします。全粒粉の香ばしさと、さっくりとした歯ごたえが魅力の自家製スコーンに、あんこと発酵バターを絶妙なバランスで挟み込んでいきます。
森口さん
「オリジナルレシピのあんこに、和歌山・御坊産の釜炊き自然塩をひとつまみ振っています。発酵バターは、厚みが5mmあります!」




上左から右へ順に「わかれ」「ひとり」「であい」/パッケージの大人な雰囲気もいい
絶妙な甘じょっぱさの「あんバタースコーンサンド」はコーヒーや牛乳のほか、お酒にも合うので、『Quattro』の常連客にも好評だという。
内藤さん
「看板商品の『あんバタースコーンサンド』は、この発酵バターとあんこをたっぷり挟み込んだ『わかれ』がいちばん人気です」
商品名は、スナックの人間模様になぞらえてユニークなものに。
あんこのみの「ひとり」、あんことバターが混ざった「であい」、あんことバターが二層の「わかれ」など、それぞれストーリーが感じられるネーミング。
また、パッケージやショッパーには、和歌山市アロチの街並みやスナック「Quattro」の店内で撮影された写真が使われており、ムーディーで大人な雰囲気を醸し出しています。
現実が想像を超える毎日

うちは本当に人に恵まれているんです、と振り返る内藤さん
事業を始めてから、一足飛びに東京の一等地に出店を果たした「an and an」。
内藤さんは、今後の展望について、こう話します。
内藤さん
「和歌山から出てきて周りは有名なパティスリーばかり。最初は少し背伸びをしていましたが、最近は東京駅でも私たちらしい温かいコミュニケーションでお客様をお迎えしているんです。また、ここへ帰ってきてねって。そしたら、思いのほかお客様に喜んでいただけて」
日本一の利用者数を誇る巨大ターミナル駅に常設店を構えた「an and an」。今後は、こういったおもてなし型の情報発信に併せて、メディアを活用してブランド認知度をさらに高めていきたいと考えています。
内藤さん
「地元・和歌山の素材も取り入れたフレーバー展開もしたいですし、地元の方々にももっと知ってほしいんです。でも今は、現実が想像を超えてしまって、今はその現実に追いつくことに必死です」
取材の最後に語られた内藤さんの言葉からは、挑戦し続ける姿勢と、変化を受け入れながらも自分たちらしさを大切にする想いが感じられました。
スタッフ同士が尊重しあい、和気あいあいとした雰囲気がとても印象的だった株式会社クワトロ。
今後も人と人、地域と地域を繋ぎ、温かな輪をさらに広げていくことでしょう。躍進を続ける彼女たちの今後の活躍に、ますます注目が集まります。
SHOP INFORMATION
BRAND | an and an(アンアンドアン) |
---|---|
SHOP | https://anandan.base.shop |
https://www.instagram.com/an_and_an.tokyo |
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