【神奈川・小田原】心も体もホッとする、「薬膳喫茶KURA」のスイーツセット
WRITER
若松渚
歴史ある洋館でカジュアルに薬膳を楽しめる「薬膳喫茶KURA」。心と体がちょっぴり軽くなるようなメニューが豊富に揃っています。今回は、オーナーの前島真弓さんと飯山淳二さんに、薬膳メニューへのこだわりやお店を開いた経緯などについてお話を伺いました。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
目次
趣のある洋館で、リラックスしたひと時を
2023年9月にオープンした「薬膳喫茶KURA」は、箱根登山鉄道「箱根板橋駅」から歩いて3分ほどの場所にあります。閑静な通りに佇むお店は目を奪うような洋館で、1932年頃に左官屋の棟梁が自宅として建てたそう。
レトロなデザインが目を引く洋館
一般住宅だったとは思えない美しさ
リノベーションした店内は、和モダンな雰囲気が魅力。座敷、和室に設置したテーブル席、クラシックな喫茶店を思わせるソファー席などが用意されており、ゆったりとしたくつろぎの時間を過ごすことができます。
和洋折衷な雰囲気が漂う
店内のインテリアで特に注目したいのが、空間をシックに演出するランプシェード。お店と同じ小田原市板橋にある北欧の明かりを取り扱うショップ「Nordisk Lys(ノルディスク リィス)」のアンティーク照明や、同市国府津エリアにある「glass calico(グラス キャリコ)」のガラス製オリジナル照明が使われています。
上品な内装にマッチした「Nordisk Lys」の照明(左)と、天井を彩る明かりも美しい「glass calico」の照明
「女性は心躍る感覚や楽しい気持ちを感じることが大切」と語る前島さん。「楽しくリラックスした時を過ごすだけでも気持ちが軽くなったりするので、洋館の雰囲気やインテリア、かわいいスイーツなどを含めたトータルコーディネートで薬膳を提供したい」と話します。体質診断を行うような堅苦しいスタイルではなく、「気軽に薬膳を取り入れることで、たとえば加齢による複数の不調がちょっぴり良くなれば」と考えているそうです。
店内を見回せばワクワクするような発見がある
体調に合わせて飲みたい、薬膳を使ったドリンク
ゴジアイコーラ¥660円(税込)
お店で人気の薬膳クラフトコーラ「ゴジアイコーラ」は、お店がオープンする前から前島さんが自分自身のために作っていました。糖分などを気にせずに大好きなコーラを飲みたいと思ったことから、独学でクラフトコーラ作りを始めたそう。
大豆、黒豆、小豆、ハトムギなどの豆類をブレンドしたクラフトコーラは、体から余計な水分を出し、むくみを取る効果が期待できるとのこと。さらに、血糖値が一気に上がらないようGI値を低くしています。やさしい甘さとスパイシーな風味が魅力の一品は、牛乳で割るとチャイのような味わいになるそうです。
持ち帰り用¥1,300円(税込)
体の不調を改善したいなら、体調に合わせて選べる薬膳茶がおすすめ。もともと喘息があり虚弱体質な前島さんは、自分自身の体調を改善するために薬膳の勉強を始めたこともあり、自分で試して良さを実感したものだけを紹介するようにしています。そのため、飲みやすさよりも効能を重視。風味のための紅茶や緑茶をベースに使っていませんが、お客さまからの評判は上々で、5袋入りの持ち帰り用薬膳茶もすぐに売り切れてしまうそうです。
「目爽茶(薬膳クッキー付き)」¥660円(税込)。ブルーからブラウンに色が変わる
薬膳茶を注文すると付いてくる「薬膳米粉クッキー」もうれしいポイント。フレーバーは「黒糖と黒なつめ」、「塩と黒クコ」、「エルダーフラワーと金木犀」、「バターバニラと桑の実」、「ココアと赤なつめ」の5種類で、小田原や湘南地域を拠点に出張販売を行う米粉焼菓子店「Gâteau à la farine de Riz(ガトー ア ラ ファリーヌ ド リ)」のパティシエが作っているオリジナルクッキーです。素朴でやさしい味わいに、心も体もホッと癒されます。
薬膳クッキーは薬膳茶とアレンジティーに付く。プラス¥150(税込)で、そのほかのドリンクにも付けられる
体にやさしいスイーツで、地域の魅力を発信
「薬膳喫茶KURA」の定番スイーツは、「杏仁グラノーラヨーグルト」¥850円(税込)。杏仁を挽いてグラノーラに混ぜているので、風味だけではなく、喉に良いという効能もきちんと入っているそう。杏仁ベースのグラノーラにドライフルーツの甘み、ヨーグルトのさわやかさ、ナタデココの食感が混じり合う楽しい一品は、砂糖不使用なので罪悪感なく食べることができます。
ダイエット中でも食べられるヘルシーなスイーツ
「ミニスイーツセット」¥1,200円(税込)では、地域のお店のおいしいスイーツをアフタヌーンティースタイルで提供。「体に良いスイーツをゆったりと楽しんでほしい」という思いはもちろん、「たくさんの人に地域の魅力を知ってほしい」という願いを込めてメニューを考案しました。
地域のお店のおいしいスイーツを紹介
素材にこだわったマフィンは、小田原市城山にあるヴィーガン焼菓子専門店「Natural sweets Toitoi(ナチュラル スイーツ トイトイ)」のもの。しっとりとした食感と素朴な味わいに心まで和みます。
ハイビスカスのパウダーやイチジクを入れたオリジナルチョコレートは、小田原市内で作っている「SWITCH CHOCOLATE(スイッチ チョコレート)」のローチョコレート。白砂糖や動物性原料を使わずに低温で作るローチョコレートは、カカオ本来の味を楽しめるうえ、栄養成分が損なわれていないのが特長です。
バニラアイスにゴジアイコーラをかけて食べる「コーラ・アフォガード」¥660円(税込)もおすすめ
薬膳と発酵がテーマのヘルシーなフードメニュー
「薬膳喫茶KURA」のフードメニューは自家製の塩麴と醬油麴をベースに、小田原の食材や旬のものを使っているのがこだわり。フードコーディネーターの脇田朋子さんがメニュー監修を手がけ、クセのある薬膳料理が食べやすく仕上がっています。
人気の「薬膳発酵キーマカレー」¥1,430円(税込)は、醬油麴と小田原の味噌をベースにしたやさしい味わいが魅力。醬油麴のうま味が後を引く、まろやかな口当たりが特長です。辛みが足りない場合は、自家製の辣油醤と血行が良くなるヒハツパウダーをプラスして、自分好みのフレーバーにすることもできます。
小田原産の梅干しや発酵食品の納豆を使った和風のアチャールが付く
さまざまなことが交差し、導かれるようにお店をオープン
観光がメイン事業の会社代表でもある前島さんと飯山さんが、洋館と出会い、お店を開くことになったのはなぜなのでしょうか。
当時、小田原市役所の観光課長を務めていた飯山さんは、母の具合が悪くなったことから、お店をしながら母の面倒をみたいと考えていたそうです。
一方、前述の通り、前島さんは自分自身の体調を改善するために薬膳の勉強を始めたため、身近な人に薬膳を紹介することはあっても、自分がお店を開くことは考えていませんでした。
ですが、飯山さんの想いに賛同し、お店作りに一緒に協力していきたいと考えるようになり、話は一気に具体化していきました。
飯山さんは2023年3月末に市役所を早期退職。いよいよオープンに向けて動き出そうというタイミングで、飯山さんの母が亡くなってしまい、時を同じくして、知人を通じ「板橋の洋館が空いた」という情報が入ってきました。市役所時代に板橋エリアの道標を作ったり、イベントを開催したりしていた飯山さんにとって、板橋はゆかりのある場所。しかも、飯山さんは以前から洋館を知っていて「かっこいい建物だな」と思っていたそう。導かれるように、この洋館でお店を開くことに決めました。
「実は、母が使っていた思い出の品のいくつかをお店のインテリアとして使っているんですよ」と語る飯山さんとご家族にとって「薬膳喫茶KURA」は、お店という枠を超えた母とのつながりが感じられる特別な場所になったのです。
不思議なタイミングが重なった
心の琴線に触れるお店は、地域活性の拠点としても機能
お店で配布している「板橋まち歩きMAP」
小田原市板橋エリアは、歴史を感じさせる趣ある街並みが魅力。お店の周辺には寺社や文化財が点在しています。市役所時代から観光の仕事に携わってきた飯山さんは、たくさんの人に板橋エリアを知ってほしいという思いから「板橋まち歩きMAP」を作成。「行政でできなかった観光のことを個店でやったらどうなるか」という気軽な気持ちで作成しましたが、マップを通じて地域住民とのつながりが生まれたり、地域イベントに協力してほしいと声がかかったりしたそう。「薬膳喫茶KURA」は、地域活性の拠点としての機能も果たしています。
観光の仕事に携わるふたりならではのアイデアと、薬膳、洋館、母との思い出などが交差する「薬膳喫茶KURA」。心の琴線に触れる美しさやなつかしさ、やさしさに満ちたお店でゆったりとしたティータイムを楽しめば、心が躍る一日を満喫できます。
SHOP INFORMATION
SHOP | 薬膳喫茶KURA(ヤクゼンキッサ クラ) |
---|---|
WEBSITE | https://www.instagram.com/kura.odawara |
ADDRESS | 神奈川県小田原市板橋649 |
TEL | 0465-20-9886 |
OPEN | 9:00~17:00 |
CLOSE | 火曜日、水曜日 |
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