【東京・湯島】強運×実力派シェフが手がける縁起の良い洋菓子店「パティスリードゥ ボンヌオーギュル」の世界
創り手を訪ねる取材ライター
Yui Ichihara
「縁起の良い」という意味をもつ洋菓子店「パティスリー ドゥ ボンヌ オーギュル」。東京・湯島天満宮から徒歩5分ほどの場所にあり、道なりに進むと神田明神に辿り着きます。
オーナーシェフの鈴木崇志(すずきたかし)シェフは、日本の伝統菓子である「もなか」を使って独創的なお菓子「もなかマシュマロ」を生み出したり、G7広島サミットなどの国際的な場でスイーツ監修を務めたり、数々のコンテストにて受賞するなど、湯島からその実力とおいしさを多くの人々に届けています。
シェフがお菓子を生み出す際のインスピレーションは一体どこから得るのか、またそれをかたちにするまでの開発秘話などを堀り下げます。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
湯島天神と神田明神のご利益が届くパティスリー
湯島天満宮と神田明神にはさまれた場所に位置する「パティスリー ドゥボンヌ オーギュル」。フランス語で「縁起がいいパティスリー」を意味をもつお店です。このパティスリーでは、G7広島サミットでのデザート監修を務めた鈴木シェフが手がける洗練されたスイーツが揃っています。
オールホワイトで清潔感のある店内。バラ売りのお菓子から贈答用の箱菓子までずらりと並ぶ
鈴木シェフは、パティシエとして20年以上のキャリアをもつパティシエで、ホテル業界での豊富な経験を積んできました。新横浜グレイスホテルで10年以上パティシエとして勤務し、その後ヒルトン東京でペストリー部門のスイーツ企画に携わるなど、数々の名門ホテルで腕を振るってきました。
2018年には、ストリングスホテル東京インターコンチネンタルではエグゼクティブペストリーシェフを務め、ホテルスイーツ界でその名を広めました。2021年には独立し、オンラインケーキ専門店「パティスリーベル、クインテットドペラ」を立ち上げ、その翌年には「パティスリー ドゥ ボンヌ オーギュル」をオープンしました。
「明朗快活」という言葉が似合う鈴木シェフ。背中には数々のコンテスト受賞歴が
そんな名だたるホテルで活躍してきた名シェフが、なぜ湯島を舞台に個人店をオープンしたのでしょうか?
「当時は独立なんて200%考えてませんでした(笑)。でもホテルでいろいろ経験を積んでいくなかで、もっとお客さまの声を聞けるようになりたいなと思うようになり、だんだんと独立を考えるようになりました。湯島を選んだのは、もともと僕は信心深い一面もあるので、縁起のいい場所を探していたんです。そしたらちょうどよく湯島天神と神田明神にはさまれたこの物件と出会いまして。ご縁を感じましたね」
理想とする場所で、日々お客さまの声を聞きながらのケーキ作りに喜びをみせる鈴木シェフ。2023年にはさらなる大きな挑戦が舞い込みました。それが、「G7広島サミット」でのデザート監修という大役です。
各国の首脳らをもてなした貴重な味わいを体験できる
「あれも運が良かっただけなんです。僕はもともと、広島サミットの会場になった旅館「みやじまの宿岩惣」のデザート監修をしていたので、その繋がりでオファーをいただきました。各国のトップに自分のデザートを味わっていただくなんて個人では絶対にありえないことですから。糧になりましたし、湯島のパワーを感じましたね」
偶然?必然?「もなかマシュマロ」誕生秘話
創意工夫に溢れるスイーツが並ぶ「パティスリー ドゥ ボンヌ オーギュル」。その中でも特に人気を集めているのが、「もなかマシュマロ」です。このスイーツは、日本の伝統菓子である“もなか”と洋菓子の技術を巧みに融合させた新しいスイーツとして、多くのファンを持つ看板商品です。
伝統的なもなかの概念を変える、カラフルでキュートなビジュアル
マシュマロといえば「駄菓子」のイメージが強い一面もありますが、「もなかマシュマロ」は正式には煮詰めた砂糖にゼラチンや固く泡立てた卵白などを加えてつくるフランス菓子「ギモーヴ」が使われており、フルーツピューレを贅沢に使った高級感のある味わいです。
一体どのような過程で生み出されたのでしょうか?
「これもまたご縁を感じずにはいられないのですが……。当初、お店の名物商品をつくりたいという思いから、食文化が豊かで、伝統が根付いた街を探していました。そこで訪れたのが石川県の金沢です。金沢ではもなかの生産が盛んで、街のいたるところに、もなかを使ったお菓子が並んでいました」
この光景に魅了された鈴木シェフは、「これだ!」と直感的にもなかに興味を抱きました。そして、普段から取引をしている卸業者に問い合わせたところ、なんと、その卸業者が取引をしているもなかメーカーが金沢にあることを知ります。すぐにもなかメーカーに連絡をとり、訪問をお願いすると、、先方は快く受け入れてくれたそうです。
当時の奮闘を熱く語る鈴木シェフ
他にはない、洋菓子屋らしいもなかスイーツを作りたい。そんな思いで開発に挑んだ鈴木シェフ。しかし湿気に弱い・油を吸いやすいなどデリケートなもなかに最初は苦労もあったそうですが、一つの素材に固執することなくあらゆる素材を試行錯誤した結果、マシュマロ(ギモーヴ)という相性ぴったりのマリアージュへと辿り着きました。
ちなみに梅の形をしているのは、縁起物であり、湯島という土地になじみがあるからなのだとか。
「パティスリー ドゥ ボンヌ オーギュル」のロゴも梅モチーフ
「もなかマシュマロ」は今後、海外展開も検討中。「それも、お客さまだった方から素晴らしいご縁をいただいて」とのこと。良縁・強運エピソードはとどまることを知りません。
吉兆とシェフの遊び心を込めた魅惑のスイーツ
コンパクトな店内に約50種類ほどの商品が所狭しと陳列されている「パティスリー ドゥ ボンヌ オーギュル」。お客さまを飽きさせないことを何よりも大切にしている鈴木シェフは、短いスパンでケーキを入れ替えており、訪れるたびに新しい顔ぶれに出会えるのが魅力です。今回は、そんなパティスリーの注目スイーツをご紹介します。
まずは、開発秘話をお聞きした「もなかマシュマロ」(各¥300)。フレーバーはラズベリー、カシス、キウイ、塩レモン、パッションフルーツ、ブラッドオレンジの6種類が揃っています。
もなか・ギモーヴ・フルーツジュレのバランスが絶妙!箱入りもある
さっくり&しなやかなもなかの中には、弾力があるユニークな食感のギモーヴと、フルーツジュレがフレッシュに弾けます。個包装のため手土産にも最適な一品。海外の友人へのプレゼントにも喜ばれそうです。
季節によっては黒や白のダルマも登場
縁起物の「だるま」から着想を得てつくったプチガトー「DARUMA ダルマ」(¥680)は、「もなかマシュマロ」と並ぶ同店のシグネチャースイーツです。梅酒のムースをベースに、梅酒とラズベリーのジュレ、アプリコットの果肉、アプリコットジュレがつめられており、さっぱりとした酸味と柔らかな甘みが楽しめます。新年や合格祈願などに食べたらパワーをもらえそうなケーキです。
食べるときは、桃だけ別皿にうつすと食べやすい
「これをやってみたかった!」と鈴木シェフの無邪気な気持ちで生まれた新作「ピーチメルバ」(¥930)。フレッシュな桃の半分がどどん!とのった大胆なスイーツ。桃本来の爽やかな甘さとシャキシャキした固めの歯ごたえ、さらに下層にあるラズベリーソース、ラズベリーのムース、バニラのパンナコッタとのなめらかで甘酸っぱい甘さのコントラストが楽しめます。
旬を迎えたフルーツと、とろとろ食感のプリンがたまらない!
季節ごとに内容がかわる「パフェ」シリーズ。夏季限定の「マンゴーとバニラのパフェ」(¥690)は、マンゴープリンにバニラ風味のババロアに、マンゴー・パイナップル・バナナのトロピカルフルーツを重ねたデザート。贅沢で濃厚な香りと甘みが特徴の宮崎産マンゴーを使用した、隠れリッチなスイーツです。
「世界一おいしい」というお客さんもいるほど!鈴木シェフも太鼓判を押す
年中安定して楽しめるスイーツもあります。定番の人気商品「シュークリーム」(¥350)は、クッキー生地を乗せたザクザク食感のシューと、濃厚なカスタードクリー厶を堪能できるシュークリーム。食べごたえも抜群です!
スタッフもお客さまもポジティブになれる場所に
次々と新商品を登場させ、お客さんに飽きられない工夫をし続ける鈴木シェフ。一度買って気に入ったケーキも、次に来店するときには手に入らない……なんてことも珍しくありません。一期一会の出会いや偶然の巡り合わせの尊さを感じることができるのが、このパティスリーの魅力です。
また、スタッフの方々が丁寧に真摯に対応している姿も印象的でした。「スタッフにとっても気分がよくなる場所や、ポジティブになれる場所を、目指しています。」と鈴木シェフは語ります。
学問・勝運にご利益があるとされている湯島天神
運を味方にし、豊かなクリエイティビティでお菓子を作り続けるシェフが営む、縁起のいいパティスリー。湯島天神や神田明神の参拝がてら、または進学や合格お祝い、記念日などのハレの日に、そのおいしさにあやかってみてはいかがでしょうか。
SHOP INFORMATION
SHOP | パティスリー ドゥ ボンヌ オーギュル |
---|---|
WEBSITE | https://debonneaugure.com |
ADDRESS | 東京都文京区湯島2-23-13 グレースカトレア1F |
TEL | 03-6826-9168 |
OPEN | 10:00〜19:00 ※売り切れ次第閉店 |
CLOSE | 水曜日(不定休あり) |
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