こんにちは、にしむーです。

前回の「フツウニフルウツ」に続き、さらなる素敵なお店はないものかと探しているところに、友人から「岡山に美味しいお店があるよ」との情報が。

調べてみるとそこは、フルーツサンドだけではなく、“スイーツサンド”をつくっている「nid sand」というお店でした。

「ニド・サンド」と読むのかと思いきや、読み方は「ニ・サンド」。サンドの写真は美しいものばかり。このお店のサンドが食べたい!と思い、東京を飛び出し、岡山まで行ってきました。

散歩道沿いに見える手書きの看板

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岡山駅からは歩いて20分ほど。路面電車の走る桃太郎大通りからははずれて、、緑道を気持ちよく歩いて行くと、木でできた看板が見えてきます。よ〜くみると手彫りされた細かな手仕事が光る看板。これは店主の宮脇さんがつくられたそう。お店に入る前から温かく迎えてくれているようです。

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お店に入ると、すぐそこにはサンドイッチのショーケースとニコニコした宮脇さん。この「断面命」の札は一度みたら忘れられません。ちいさなお店の中に宮脇さんのキャラクターがぎゅっと詰め込まれているようです。

お店の名前は日本語?それとも…

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なんだか不思議な名前の「nid sand」。この名前はどこからきたのでしょうか。

「“nid”はフランス語で“鳥の巣”を意味しています。それにsandwichの“sand”をくっつけて。フランス語読みだと真ん中の“d” は読まないんです。だから読み方は“ニ・サンド”。日本語で“二度、三度来てほしい”っていう意味も込めてるんです」

冗談っぽく笑いながら話してくれる宮脇さん。看板だけじゃなく、名前もユーモアたっぷりでお話していてもなんだか楽しい気分になってきます。

お客さまへの気遣いでうまれたイラスト

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宮脇さんワールド全開と言ってもいい、こちらのイラストたち。もともとは専門学校でイラストを学び、その後洋菓子やパンづくりの世界に飛び込んだ宮脇さんならではの気遣いからうまれました。

「混雑しているときは、外までお客さまが並ぶことがあるんです。夏だと外は暑いけど、お茶を出すこともできないのでせめて」

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店内にはさらに面白い張り紙も。

「オススメはあなたの心の中に」という張り紙がなんだか気になっていると、宮脇さんは「いきなりおすすめだけを聞かれるのがきらいなんです。人それぞれの好みもありますし。なのでいつも『好きなものを買っていってください』」と教えてくれました。

宮脇さんらしい答えで、思わずなるほどとうなってしまいました。ここからは、宮脇さんがつくる手づくりスイーツサンドを紹介します。

甘すぎないさっくりスイーツサンドたち

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(↑)まずは、宮脇さんイチオシの「塩大福(390円)」

少ししょっぱめのクリームにあんこ。さらにそのクリームとあんこをとりもつようにさりげなく求肥が入っています。和菓子好きな人にもぜひ食べてもらいたいサンドです。

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(↑)宮脇さんお気に入りの「キウイ甘酒(390円)」

甘酒の香りがふんわりとするクリームが個人的にとても好きな味でした。他のサンドのクリームより少ししっかりとした印象です。キウイの酸味とのトータルバランスが絶妙でこれはクセになってしまいそう。

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(↑)残念ながらもう出番の終わってしまった「いちごカスタード(390円)」

いちごの季節は不動のセンター。こだわりのなめらかでとろりとしたカスタードはとても軽くて、いちごの酸味、甘味としっかり調和しています。

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(↑)宮脇さんのもう一つのお気に入りの「リンゴとパインのカマンベール(390円)」

カマンベールの塩気のあるクリームとさっぱりとした甘さのリンゴを一緒に口に頬張った時の幸福感はなんとも言えません。ふわっとくるパインの香りが夏を感じさせます。

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(↑)ザ・スイーツサンドな「クッキークリームラズベリー(420円)」

これぞまさにスイーツです。クッキーのほろ苦さとラズベリーの果実感で、思っていたよりもずっと軽く食べられました。

岡山でお店を開いたわけ

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もともとはものづくりの道にいたという宮脇さん。どうして岡山の大通りからはずれたこの場所でお店をやろうと思ったのかを尋ねてみました。

「もともとは東京でイラストを学んで、そのあとものをつくる仕事をしたいと思いつつ、進路を迷っていたんです。そのときにお菓子づくりに、ものづくりへの共通点見つけて、もともとお菓子が好きだったのもあって、その世界にいきました」

「お店を開くなら地元の岡山がいいと思ってて。いろんな物件をみたんですけど、ここが直感的にいいと感じたんです。周りからは反対も多かったんですけど、自分のいいと思ったものを信じていきたいのでここに決めました」

自分のいいと思ったものを信じて進んでいけるからこそ、お店も受け入れられてたくさんの方が来てくださるのかもしれません。

ひとりだからつくれる、お店のあり方

「この広さもひとりでやるのにちょうどいいと思って。入り口を入ってのお客さまとの距離感がちょうどいいんです」

「お店は最初からひとりでやるって決めてました。性に合ってるのと、ひとりの方がなんでも気楽にチャレンジできるから。新しい味を思いついたらとりあえず出してみて、人気がなかったら3日くらいで出すのをやめたり(笑)」

確かにそれはひとりだからこそ気軽にやっていけるところなのかもしれません。宮脇さんにはなんだか自分と似たところを感じ、さらにひとりでやっていきたい理由を聞いてみました。

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写真のミニチュアは、お客さまがnid sandのサンドをイメージしてつくってくださったものだそう

「ひとりでやっていきたい、というのは、お客さまとのコミュニケーションを大切にしたいという想いがあるんです。ひとりだからこそ、来てくださるすべての人とお話できますし」

「それに、お客さまと話すことはモチベーションにも繋がっています。何度も通ってくれたり、会話の中で感想を伝えてくれたり。そういった会話の中から、仲良くなるお客さまもいます。nid sandマニアもいるんですよ(笑)」

“スイーツサンド”へのこだわり

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あえて“スイーツサンド”と呼ぶのはどうしてなのでしょう。

「岡山はフルーツがたくさんとれる土地なので、季節のフルーツを使ったサンドをつくっていきたいと思っているんです。でもどうしても季節によってはフルーツが少なくなる季節があるので“スイーツサンド”と名前をつけました」

「味の組み立ては複雑になってきますが、その組み合わせは私の場合は頭の中で出来上がってるんです。そこから試作をしてみて、お店に出しています」

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『断面命』の看板からひしひしと伝わってくるように、断面をつくりだすパンやフルーツ、クリームへのこだわりが伺えます。

「サンドはトータルバランスが大事なんです。パンはご近所の天然酵母のシンプルなパンを使っています。厚さは歯切れの良さを重視しています。かぶりついた時にサクッといくというか。噛んでいくうちに、パン、フルーツ、クリームが同時になくなるようなバランスにしています」

「どんな風に並べたらきれいな断面になるか、というのはいつも悩むところですが、とても楽しいんです」

断面について語る宮脇さんは、自分の子供の話をするようにキラキラとした笑顔でした。

ものをつくることで人に喜んでもらいたい

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最後に、もし宮脇さんがこのお店をやっていなかったら何をしていたのか気になって聞いてみました。

「私はつくることが好きなので、お菓子の世界にいなくても何かしらものづくりはやっていたと思います。ものをつくって、それで人に喜んでもらいたいですね」

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サンドはだいたいオープンから1時間ほどでなくなってしまうそう。お目当のメニューがある方は開店から30分までにはお店に行った方が良さそうです。お店の至るところに散りばめられた宮脇さんのユーモア。

スイーツサンドはもちろんですが、宮脇さんとお話に行ってほしいお店です。サンドを持って、お店の近くにある緑道沿いのベンチで食べるのもオススメですよ。