Bean to Bar特集 第1弾は、みなとみらい線・馬車道駅から徒歩数分のところにある、「VANILLABEANS(以下、バニラビーンズ)」です。
今回は、バニラビーンズの本店である、みなとみらい本店にお邪魔してきました。
お話いただいたのは、バニラビーンズで広報・PR担当 兼 デザイナーとして働く西沢綾香さん。2012年から同社で働いています。店内を見せていただきながら、まずはブランドの成り立ちから話していただきました。聞き手は、編集部の平野です。
29種類もの(!) Bean to Barチョコレートがずらり
西沢バニラビーンズの始まりは、2000年4月なので、今年で17年目になります。代表の八木が「想いを込めたお菓子を世界中のひとに届けたい」という熱意から、インターネットで洋菓子の販売をはじめたのがきっかけです。
西沢徐々にチョコレートに特化して販売するうちに、児童労働や低賃金で働かされているカカオ農園の実状を知り、2007年にフェアトレードチョコレートの導入を開始し、3年後にはすべてのチョコレートをフェアトレード商品に変更しました。
西沢そして2014年に、満を持して、カカオ豆からチョコレートをつくれるよう自社内工房を併設して、ガラス張りでお客さまから見えるようにしたBean to Barの商品を展開するみなとみらい本店をオープンしました。
かなり大きな工房ですが、、チョコレートの種類は、どのくらいあるんですか?
西沢29種類あります。他のBean to Barチョコレートのブランドと比べると、種類の豊富さは特徴のひとつかなと思いますね。
29種類も!
西沢はい。大きく分けて、シングルビーンズ系とフレーバー系で味を分けています。シングルビーンズ系は、カカオ豆の産地別で分けたBean to Barチョコレートを。フレーバー系は、コロンビア産のカカオ豆でつくったチョコレートをベースに、フレーバーをつけています。
ちなみに、どのフレーバーが人気ですか?
西沢そうですね…、サロンドゥショコラにも出展していることもあって、海外で人気なのは「抹茶」や「ゆず」です。日本だと、「スパークリング」や「チャイ」。スパークリングには、ぱちぱちキャンディが入っているんです。「スモーク(燻製)」なんかは、ウィスキーと合わせて楽しむ方が多いですね。いろいろなフレーバーがあるので、いろいろな飲み物と合わせてペアリングを楽しむチョコレートとしても好評です。
パッケージデザインがすごくオシャレだなと思ったのですが、これはどなたがデザインしているんですか?
西沢私がデザインしました。私は、広報 兼 デザイナーなんです。店舗のデザインからパッケージ、Webサイトなど、ほぼ全てを自分たちでつくっています。
これらのおしゃれなデザインは、どこから着想を得ているんでしょう?
西沢食べたときの印象です。あとは、他とのバランス。すべて自社でつくることによって、自分事として自信を持って販売ができるように、という想いが込められています。
西沢ちなみに、みなとみらい本店は、すべて社員で運営しているんです。
ええ! どうしてですか?
西沢私たちはチョコレートに対して想い入れが強いので、商品だけでなく接客面でもクオリティーを上げるため、あえてアルバイトを入れずに、社員だけでスタートしたんです。川崎店は2店舗目ということもあって、アルバイトを実験的に入れているんですけど、希望があれば、社員登用も視野には入れています。
すごいです…。
あえて、実店舗を持つことの意義
話を聞きながら感じたことなんですが、これまでインターネットで販売していたのにも関わらず、どうして実店舗をもち、イチからつくろうと考えたのでしょう?
西沢一言で言うならば、もっと生産者と近い距離でチョコレートづくりがしたいという想いがあったからです。きっかけは、代表がかつてニューヨークに出張に行ったときのこと。
西沢アメリカでBean to Barが人気になっていたのは知っていたんですが、その当時はまだヨーロッパのチョコレートを輸入しているところが多くて。カカオ農園の現状を知っていただけに、カカオ農家さんと手を取り合い、つくる人と食べる人とをつなぐような役割が担えたらと思ったんです。
西沢このプロジェクトがはじまったのは、2012年くらい。物件を探したり、製造する機械を探しに行ったり、カカオ豆の輸入方法を探ったり、契約できる農家さんを探したり。同時進行で動いた末に、やっと2014年にお店をオープンできた感じですね。
フェアトレードチョコレートの導入からBean to Barチョコレートの製造まで、紆余曲折あったかと思いますが、どんなところが一番大変でしたか?
西沢そうですね…、やっぱりフェアトレードチョコレートを導入したときは一番大変だったと八木から聞いています。。1枚あたりの販売価格が約100円一気に上がったので、それに対してお客さまからどんな反応をいただくのかは正直不安だったそう。
実際、反応としてはどうだったんですか?
西沢はじめる前に、メルマガで、私たちのチョコレートに対する思いや農園の現状、どうしてフェアトレードのチョコレートを導入するのかを書いて送りました。そうしたら、メルマガに対する返信が結構来て。「全然協力するよ」とか「いい取り組みだね」って。もちろん離れていった方もいるとは思うんですが、予想以上に、賛同の声は大きくうれしかったですね。
美味しさを追求した先に、CSRがあるべき
西沢店舗をオープンした当時は、日本でほとんどBean to Barが浸透していないとき。そういうこともあって、フェアトレードと同じようなものだと考える方もいて。CSR的な部分が強いお店だと思われるのは、そこはちがうと思っていて。
もう少しその部分について、詳しく教えてください。
西沢メーカーとして大前提にある、「おいしいもの」や「新しいもの」を提供しながら、その裏側では支援もできているという「仕組み」をつくりたかったので、Bean to Barのスタイルを先駆けてはじめたんです。
そもそも、第一に目指すべきなのは「美味しさ」であって。それと同時に、「社会的貢献」もできている、という感じですかね?
西沢そうですね。「実はCSRもできている」っていうことを目指したいんです。「CSR活動を頑張っているから買ってください」っていうスタンスではなく、おいしいから買ってもらう。それが、結果的にCSR活動にもなればいいなと思っています。
店舗デザインもパッケージも、すべてインハウスで
西沢さんは、どういう経緯でバニラビーンズさんに入社されたんですか?
西沢デザイン会社の受託案件ではなく、自社ブランドをデザイン面から育てられるようなところを探していて。偶然、バニラビーンズはインハウスで全部やっているっていうことを聞いて。そこから興味を持って入社を決めました。
グラフィックだけではなく、この店舗デザインもやられているんですか?
西沢そうですね。外部に建築デザイナーさんがいて、八木やスタッフといろいろと話し合いながら生まれてきたアイデアを図面に起こしてもらって、進めました。
デザイナーはどのくらいいるんですか?
西沢Webデザイナーもいるので全て合わせて8人くらい。私は、その中でグラフィックを担当しています。とはいえ、人数は少ないので、最近はイベントを企画したり、新しい店舗のコンセプトを考えたりとか、っていうふうに、仕事の幅が多岐にわたっていますね。
ブーム、だけでは終わらせないために
最後に、今後について伺いました。
西沢Bean to Barって、今すごくブームになっているじゃないですか。比較的小規模で始められるので、そのおかげでたくさんお店がふえてきていると思うんです。でも、ブームでは終わらせないような仕組みをつくっていきたいと思っていて。
というと?
西沢Bean to Barチョコレートが当たり前にあるような環境をつくっていきたいので、今度私たちは、新しい工場を建設予定なんです。そこでは、みなとみらい本店よりももう少し大きめの製造機器を導入して、もっと私たちにしかできないオリジナルのチョコレートを大量に製造し、これまで板チョコレートにするのがメジャーだったBean to Barのイメージを変えて、いろんな商品を開発していけたらと思っています。
!! 今後の展開がすごくたのしみです。西沢さん、ありがとうございました!
西沢さんの「これがオススメ!」
西沢さんのオススメはありますか?
西沢ハイチ産のチョコレートは、結構食べやすくて、初めての人にもおすすめです。あとは「ハイカカオミルク」というちょっとユニークなミルクチョコレートです。ふつう、ミルクチョコレートってカカオ分が30%くらいですが、ハイカカオミルクは68%くらいなんです。カカオの香りがちゃんと立っていながらまろやかなミルクチョコレートという感じで、大人のためのミルクチョコレートです。
SHOP INFOMATION
NAME | VANILLABEANS |
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URL | http://chocolatedesign.co.jp/ |
ADDRESS | 神奈川県横浜市中区海岸通5-25-2 シャレール海岸通 1F |
TEL | 045-319-4861 | OPEN | 11:00~19:00(カフェ L.O 18:00) |
CLOSE | 水曜日 |
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