【横浜・あざみ野】気分はピクニック!個包装に頼らない新しい買い物のかたち「丘の上のパン屋」
フードイラストレーター
まるやまひとみ
横浜市の中でも街路樹の数が最も多いとされる青葉区。空は大きく、風は軽い。
「丘の上のパン屋」がある美しが丘は、都心からそう遠くない場所でありながら、緑豊かな邸宅街で洗練された雰囲気を持つ。
こんな場所にお店を開きたい、ここでパンを焼き続けたいと、都内の名店で腕を磨いたのち、2018年4月に地元である横浜に「丘の上のパン屋」をオープンした。
「日常のなかにあるちょっとした贅沢を。」をコンセプトに、私たちのふとした一日にほんの少しの高揚感をもたらす。
自然豊かな環境に溶け込みながら、地域の人々とともに歩み、サステナブルな取り組みにも力を注ぐ「丘の上のパン屋」。
おいしいパンを届けるだけでなく、その先にある豊かな循環を育む姿勢も、この店の大きな魅力。そんな取り組みについては、記事の後半にてご紹介。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
パンと緑が調和するパン屋さん
ポッと小高くなった場所に現れる一軒家。
東急田園都市線「あざみ野駅」または「たまプラーザ駅」からバスで「蓬谷戸」まで向かい、ゆっくりと坂を上がっていくと、小さな公園を越えた先に見えてくる「丘の上のパン屋」の看板。
背景には木々が生い茂り、芝生に包まれた小さな丘。ここまでの距離が、遠足に訪れたような達成感を生む。
これもまた、住宅地にありながらわざわざ行きたくなる理由のひとつだ。
庭の景色に木のテーブルや椅子、ベンチが馴染む。
「丘の上のパン屋」という店名は、地名である“美しが丘”の「丘」から生まれた。
絵本のタイトルのようなやさしい言葉の響き。あえて日本語で「パン屋」と名付けたのには、地元の人たちが親しみやすい店でありたいという想いも伝わってくる。
造園業を営むご実家の力を借り、敷地に芝を植えた。花を育て、テラス席を設け、空間づくりに徹底してこだわった。
それは「自然も含めて丘の上のパン屋を楽しんでほしい」との思いがあるからだ。
晴れ渡る青空を眺めながら焼きたてのパンを食べれば、パンだけでなく“空気の味”までおいしさになる。
リズミカルな石畳に導かれ、店の入り口へ…
オープンには主力のパンたちが勢揃い。
店内はドライフラワーに囲まれ、木の陳列棚がパンに一層ぬくもりを与える。
食パン、クロワッサン、塩バターロール。ふっくらこんがりと焼き色をつけたパンたちが、選ばれるのを今か今かと待つ。
国産小麦と天然酵母を中心に、水や塩などパンづくりに必要な素材までひとつひとつを吟味。
「自分の目で見て信頼できるものを使う」ことを大切にし、できるだけ身体にやさしいものを選んでいる。
時代に逆行することへの違和感
色とりどりの果物が並ぶ様子はまるで花壇。
「パンを作る事が楽しい」という感覚を手放さない。技術や経験を重ねてもなお、その原点を忘れないこと。
シェフの素直で真面目な姿勢が、「丘の上のパン屋」の素朴で贅沢なパンを作り出している。
香りが誘い、視覚も味覚も満たすパン。トレーの上はいつの間にかパンでいっぱいだ。
しかし、パン屋を手伝うようになったシェフの奥様は、レジで一個ずつ包装されたビニール袋が家庭で捨てられていく現実に気づく。
「ゴミを減らそう」と呼びかけられる世の中で、自分たちはこんなにゴミを生み出しているのか、と違和感を持つように。
クリームが乗っていたり表面にツヤのあるパンにはフィルムをかける。
そんなある日、近所のお客さんが自宅のお皿に買ったパンを乗せ、ふきんをかけて持ち帰ったそう。
そのスマートさに感動し、これを応用し容器持参を促す「パン屋さんにはパン容器を持って行こう運動」と題した活動をSNSで発信。
持参したタッパーやカゴなどでパンを持ち帰ってもらうというものだ。
途中コロナ禍もあり難しい局面に立たされることもあったが、この地域に暮らす人たちの意識の高さが背中を押し、創意工夫を重ねながら活動の輪を広げている。
その想いに私も共感し、「丘の上のパン屋」での活動を機に個包装なしで持ち帰る工夫を模索。
この日も容器を持参して買い物をしてきたので、パンの魅力とともにその様子をご紹介。
布と容器でおいしさキープ!カラフルなパンで元気をチャージ
illustration by まるやまひとみ
今回いただいたのは
●完熟苺のデニッシュ ¥580(税込)
●パン・オ・レザン ¥360(税込)
●野菜カレーのフォカッチャ ¥590(税込)
●無農薬玄米粉パン ¥390(税込)
●長時間発酵バゲット ¥360(税込)
パンを目の前にするとつい買いすぎてしまうので、テラスで食べられるのはありがたい!
私は洗えるカゴとタッパー、みつろうラップ、和さらしを持参。直接パンが触れたとしても洗うことができるため衛生的だ。
タッパーなら重ねられるので、その分パンをたくさん購入できるのも利点。
「長時間発酵バゲット」
長時間発酵バゲット ¥360(税込)
低温で長時間熟成させることにより小麦の旨味が引き出され、濃厚な香りと軽やかな口当たりを生む「長時間発酵バゲット」。
皮はガリガリと歯を刺激してくるが、中はもっちりと弾むやさしいくちあたりでサンドイッチにしても絶品。
ハード系のパンや食パン、玄米粉パンなどシンプルなパンは、トースターでリベイクすれば焼きたての味わいが戻るので、さらしに包むだけでもおいしくいただける。
「野菜カレーのフォカッチャ」
野菜カレーのフォカッチャ ¥590(税込)
「野菜カレーのフォカッチャ」は、濃厚かつスパイシーな自家製カレーの上に季節ごとに変わる旬の野菜をふかふかフォカッチャに乗せて焼いたもの。
チーズのしょっぱさが野菜と小麦の甘味を際立たせ、畑の風景を想像しながらじっくり味わいたくなる一品だ。
こうした惣菜パンやサンドイッチには、みつろうラップが重宝する。もちろんタッパーでもオーケー。
しっかり包むことで匂い漏れも軽減され、カラフルなみつろうラップで包むと気分も上がる。
外で食べる時はトレー代わりに敷いておけるのでおすすめ。
「パン・オ・レザン」と「完熟苺のデニッシュ」
パン・オ・レザン ¥360(税込)/ 完熟苺のデニッシュ ¥580(税込)
繊細な折り込みのデニッシュ生地に、あふれるほどのサルタナレーズンがたっぷり巻き込まれたしっとりジューシーな「パン・オ・レザン」。
そして近隣の「小泉農園」で収穫されたばかりの“わがままいちご”をデニッシュの小舟にこんもり乗せた「完熟苺のデニッシュ」。
採れたて果実がみずみずしいまま重なる季節の菓子パンだ。
果汁に満ちたいちごとコクのあるカスタードが喉をうるおす。
生地が割れやすいクロワッサンやデニッシュ、クリーム入りの湿気りやすいパンには蓋ができるタッパーが活躍!
蓋の上にパンを乗せ容器をかぶせれば形が崩れにくく、取り出す時に手が触れて崩れる心配もない。
これはケーキの持ち帰りにも使われているアイデアなので、覚えておくととても便利だ。
新しい価値ではなく、原点にかえる行動
カゴに入れるとピクニックに出かける気持ちになり見た目もおしゃれ。
「丘の上のパン屋」は、横浜を拠点に地球にやさしい生活を広める活動を地域の方々と協力しながら、2年の歳月をかけオリジナルのパン専用バッグ「Bread bag」を開発。日本製のオーガニックコットンで作られており、洗濯機で洗える丈夫さも魅力。
地球環境に配慮しながらも、おいしくパンが持ち帰れる画期的なアイテムだ。
家にあるもの、100円ショップで買えるものから始めてみよう。
いずれは「個包装削減を推進するパイオニアになりたい」という奥様。
その活動の原動力は、シェフや働くスタッフの理解や、共感や協力をしてくれる人たちの応援の声だという。
また、お客さんに対しても実践のしやすさを重視して案内。保存容器やマイタンブラー持参者にはエコ割やタンブラー割を提供し、無理なく楽しんでもらえる工夫を提案している。
店のパンに合うようブレンドしてもらったオリジナルコーヒー「丘パンブレンド」と。
美しいこの丘の自然を守ること。身近なところから一歩を積み重ねることが、未来への道を作っていくはずだ。
坂道を上るにつれて視界が開け、空の割合が増えていく。パンを選び、風景の中で味わう。
ほんの少しだけ特別な時間が、これからもずっと当たり前にありますように。
SHOP INFORMATION
| SHOP | 丘の上のパン屋(おかのうえのぱんや) |
|---|---|
| WEB | https://okanouenopanya.com |
| https://www.instagram.com/okanouenopanya | |
| ADDRESS | 神奈川県横浜市青葉区美しが丘西3-8-8 |
| TEL | 045-530-9683 |
| OPEN | 9:00〜17:00 |
| CLOSE | 日曜日、月曜日 |
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