珈琲ほど、スイーツに合う飲み物はないと思っています。お菓子を引き立て、単体でも幸せを運んでくれる希有な存在。そんな珈琲好きが高じて、編集部の平野は、札幌出張に際して「森彦」「RITARU COFFEE」「BARISTART COFFEE」の3つのお店を訪ねました。北海道は、スイーツ王国であると同時に、おいしい自家焙煎珈琲が飲めるコーヒー屋さんがたくさんあるのです。3店それぞれが考える珈琲観について聞いてきました。

はじめてRITARU COFFEEの「KUNSEI COFFEE(以下、燻製珈琲)」を知ったのは、渋谷LOFTの3階でした。

LOFTは、新しくて素敵なものが集まっているイメージがあり、よく立ち寄るお店のひとつ。あるとき、3階のコーヒーコーナーに「KUNSEI COFFEE」と書かれたシックなパッケージに目が留まりました。

「燻製の珈琲…?」

LOFTスタッフさんに聞いてみると、自家焙煎した珈琲豆を北海道産の木を燻し煙をくぐらせた、ほんのり燻製の香りがする珈琲なのだそう。箱は、エゾマツの粉末を混ぜた紙「エゾマツクラフト」を使用している、“メイドイン北海道の珈琲”。

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そして今回、別件で北海道出張と重なったため、どういう意図でこの珈琲をつくったのか、どんなこだわりを持った珈琲なのか聞くため、代表の三上悦司さんを訪ねました。この話を読んだら、きっと飲んでみたくなるはず。聞き手は、編集部の平野です。

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“シンプルさ”と“力強さ”で伝えるRITARUの世界観

先輩に燻製珈琲セットを贈ってもらって飲んだのがきっかけでRITARU COFFEEさんを知り、サイトを拝見しました。すごくクールで、世界観が伝わってくるデザインと写真ですね。

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三上ありがとうございます。2010年にお店をオープンしてから、3年目にサイトデザイン、年輪のロゴ、パッケージ、紙袋などを一新しました。

お店に興味を持ってくださった方はサイトを見てくださると思っていたので、RITARU COFFEEがどんな珈琲を提供しているのか、どんなことを目指しているのか、外部の協力者であるCOMMUNEの上田さんと一緒に、1年以上かけて、考えに考え抜いてつくったサイトです。

僕はあのサイトに惹かれて、北海道に行く機会があったら絶対に行きたいなぁと思っていたんです。まずは「燻製珈琲」について教えてもらえますか?

三上この珈琲は、4年目の2014年にスタートした珈琲です。数種類の珈琲豆を焙煎、ブレンドテストを何パターンも作り、香の優しいブナ、タモ、ミズナラ、エンジュなど広葉樹で燻した、北海道産の珈琲です。ぜひ飲んでみてください。飲む前は、「燻製の匂いが強くて渋いんじゃないの?」って思った方も多いんですが…。

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おいしい…。木の匂いがほんのり香りますね。挽き立ての珈琲は格別です。

三上これこそが、木の香り、北海道の香りなんです。北海道の木を使うことで、これまでの珈琲にはない体験がつくれたら、と思って。味としては、コクと苦みと風味がしっかりあるけど、キレがある。スッと消えるような味を目指しています。

日常で飲むときに「一杯で満足するコーヒー」は、それはそれで成立していると思うんですが、何回も飲みたいものをつくりたい。そのため、スッと消えるような後味の軽さを大事にしています。

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東京でも売っていたのでびっくりしました。

三上実は、渋谷LOFTが最初の外部の取り扱い店なんです。イベントに出店させてもらったことがあり、丸山珈琲さんや猿田彦珈琲さんなど有名な珈琲豆があった中でお客さまの反応も良く、取り扱ってもらえることになりました。今は16店舗くらい。少しずつですが着実と広がっています。

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珈琲に合うスイーツ「RITARU ROLL」

RITARU COFFEEの看板スイーツの「RITARU ROLL」についてもお話伺えますか?

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三上「RITARU ROLL」は、製作を外部に委託しているんですけど、つくる段階から何度も打合せをしていてできたクレープなんです。“珈琲に合うスイーツ”というコンセプトでつくった商品です。これも、試食して食べてみてください。

ありがとうございます。…、切り口がきれいですね。

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三上ケーキ屋さんのパッケージって、どれもかわいいですよね。もしお土産に持っていくんだったらテンションが上がるものがいいなと思って。これはココアクレープです。中には軽めのクリームを挟んでいます。

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想像よりも、あっさりとした味わい。珈琲に合わせて、少し薄味にしているんですかね?

三上そうなんです。軽い食感を大事にしています。お菓子屋さんからしたら物足りないケーキなのかもしれないですけど。それこそ私たちの珈琲と同じで、もうちょっと食べれるという“軽さ”を大事にしています。

クレープの層がロゴの年輪を表しているんですね!

三上実はこのRITARU ROLLの年輪を表すココアは、色を出すのが難しかったらしいです。

本当はもっと濃くなるものなんですか?

三上いえ、もっと薄くなっちゃうんです。逆に黒くするんだったら竹炭みたいなもので、真っ黒くできるんですけど、“木の風合い”というイメージとリンクしないので。実はひとつひとつ手で巻いているので、少しずつ形が違うんです。

創業のきっかけは、珈琲とその空間が好きだったこと

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三上さんは、RITARU COFFEEをどうして創業したんですか?

三上何がきっかけか…、って言われると、最初から?というか。珈琲が好きだったのと、お客さんとしてその場にいるのが好きだったんです。そこから、自分が珈琲を提供する側に回ってみたかったんです。

僕は1976年生まれなんですけど、ちょうど70年代〜80年代は、すごく喫茶店文化が花咲く時期でした。物心がついた高校生ぐらいのときに、喫茶店があったんですね。

そこから通うようになって、コーヒーだけでなくその空間も好きだなぁと感じたんです。で、やってみようと決意しました。やるんだったら自分で豆を焙煎できた方がいいなと思って、札幌市内の珈琲専門店で10年間、焙煎、ハンドドリップの修業を積みました。10年経って、物件や資金面で、ここしかないというタイミングで独立してRITARU COFFEEを創業しました。

そして、3年目に年輪ロゴの新デザインに変更したんですね。

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三上そうです。どうしてこのタイミングで? って聞かれると難しいんですけど、営業をしていく中で、次の展開を考えたときに、ここかなと思ったんです。COMMUNEのデザイナーの上田さんという素敵な方と出会えたことも大きいのですが。

他にもロゴコンセプトはあったんですが、年輪だったら、お店を運営するいろんな人の手が加わり層になっていく感じや、じっくり育てていくことを伝えられるんじゃないかと。

またRITARUの名前は、「利他+足る」から来ていて、いろんな人の力を借りて今があると思っているので、それをシンボリックなものにしたいと思いました。普遍的でかっこいいデザインにできたと自負しています。

RITARU COFFEEで珈琲の間口を広げたい

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三上珈琲に興味を持ってくださる方は、最初は「苦い」「重たい」というイメージを持っている方が多くて。お世辞かもしれないですが、「これまで飲めなかったのに、飲めるようになった」とか「好きになった」と言ってくださるお客さまもいて。

僕らは、コーヒーをまだ知らないような、これからカフェに行こうとするような、そんな人たちの入り口であってほしい。“珈琲の間口を広げたい”という想いがあるんです。

そういう意味では、全国店舗があるLOFTさんとか東急ハンズさんに商品を置いてもらえるのは、知っていただくきっかけになるのですごくありがたいです。その後、SNSやサイト、パッケージを見たり、北海道に来る機会があればお店に覗いてもらえたり。そのときに何かを感じていただけるようなお店づくりをしたいと思っています。

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間口を広げるということは共感するんですが、逆にサイトは、かなり本格感、重厚感に溢れていますよね。

三上間口を広げる上で、幹となるサイトは自分たちの伝えたいことを濃縮した物にしようと思ったんです。もちろん、ブランドイメージとリンクするよう場所で販路を広げようとしているんですけど、広がっていくことは多少なりとも薄まっていくことになるので。

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ちなみに、来店されるお客さまはどんな方が多いですか…?

三上オープンしてからなんですけど、今だと7割近くが女性ですね。

えっ!逆かと思っていました!

三上少し話は変わるんですが、私が大人になってから思うんですけど、”なにげない日常の余白”というか、まっすぐ帰れるけどどこかに寄って一息入れられる場所があるって幸せなんですよね。

珈琲を飲みながらぼーっとしてもいいし、週末の旅行の準備をしても良いし。スターバックスさんが「第三の場所だ」って打ち出していてやっていると思うんですけど、僕もRITARU COFFEEをそういう場所にしたいと思っているんです。

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“仕事終わりの余白の時間をつくる場所”になっているんですね。21:30までやっている場所もなかなかないですし。わざわざ行きたい場所になっているんだなぁ。

二度行きたくなるお店は、独自の世界観を持っている

北海道の珈琲ってどこもおいしいですよね、値段も東京と比べて手頃だし、ひとつひとつ個性がある。僕が泊まっていたホテルの近くに「BARISTART COFFEE」があって、そこはミルクを引き立てるためのラテをつくっていたんですね。わかりやすいコンセプトでしたし、北海道ならでは、を活かしていました。

三上北海道の珈琲店はクオリティーが高いと思っております。森彦さん、徳光珈琲さん、丸美珈琲さん、横井珈琲さんなど、私よりも長く経営されている先輩たちはもちろん、人気のお店はそれぞれの世界観というか、何かゆずれないものを持っていますよね。

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三上お菓子もそうなんですけど、妥協ってどこでもできるんです、デザインも珈琲も。うちはまだまだ努力している最中なんですけど、細部にこだわり続けることこそがまた来たくなる“何か”をつくるんだと思います。品質が高いものは当たり前で、それと同じくらいデザインやストーリーが大切だと思っています。

思い入れのある場所には、2回目も来たくなりますもんね。1回目はミーハーな気持ちがあって行くけど、2回目行きたくなるところって、三上さんのいうようなこだわりがあったり、人に薦めたくなるところだと思います。

三上まさに。そう言って来ていただけるのはすごくうれしいです。北海道の珈琲が東京でも少しでも広まってくれるとうれしいなぁと思います。

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SHOP INFOMATION

NAME RITARU COFFEE
URL http://www.ritaru.com/pc/index.html
ADDRESS 札幌市中央区北3条西26丁目3-8
TEL 011-676-8190
OPEN 10:00〜22:30
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※他、臨時休業する場合があります