こんにちは、ライターの寺本恵里です。

京都もすっかり新緑の季節になりました。鴨川や御所の緑のグラデ―ションがとてもきれいで、歩いているだけでも伸びやかな気持ちになります。

2017年4月、京都駅前にそびえる京都タワー内に、新しく「KYOTO TOWER SANDO」という商業施設ができました。お土産がテーマのマーケットフロアでは京都らしい逸品を扱うお店がずらりと並びます。その中でもとびきり目を引くデザインのお菓子屋「UCHUwagashi(ウチュウワガシ)」がありました。

今回は、本店の西陣店へおじゃまして、代表の木本さんにUCHUwagashiのこだわりについてお話を聞きました。

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自分でデザインできる落雁「drawing」

西陣本店は、古い町家を改装されていて、まるで小さな美術館のような佇まいです。

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アートのように展示してあるのが「drawing」というお菓子。こうして自分で絵を描ける、“デザインできる落雁の和菓子”なんです。

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落雁とは、お米や麦、豆など穀物のでんぷん質の粉に、砂糖や水あめと少量の水を加え、木型に押して抜き取って乾燥させたものです。個人的にはお砂糖の塊のような、とても甘い印象のものが多かったのですが、UCHUwagashiの落雁は、和三盆糖を使っていてとても上品な甘さ。口に入れると、ほろほろとほどよく溶けていきます。

伝統的な和菓子は、お茶席などでも季節を表現されたものが多く、UCHUwagashiではそれを「自分でつくれたら楽しい」という発想のもと、この形にもこだわってつくられています。

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こうして2つの落雁を組み合わせて、蝶々をつくるだけでも楽しくてわくわくしますね! 冬になったら雪をつくってみたり、春はお花にしてみたり。自分で季節をお菓子でかたどって誰かをおもてなしできたら、とても素敵です。

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こちらは、動物の形をした「animal」という商品。“子どもでも気軽にお茶席で楽しめるようなお菓子” をコンセプトに考えられたのだそう。ココアとバニラ味、どちらも落雁でははじめての味と風味でした。

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「swimmy mini」は、落雁の魚が金平糖の海を泳ぐかわいさ

「この『drawing』の形は100年変えたくない」と、代表の木本さんは言います。

「たとえば、北欧のテキスタイルブランド、マリメッコで「ウニッコ」と呼ばれるあの大きな花柄は、50年経った今も新しく見え、今も一番売れている柄です。そういうものをつくりたいと思っています」

自分が良いと思うものをすべて自分でつくりたい

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木本さんは、もともとグラフィックデザイナー。これまで、クライアントや広告主の思いを形にするお仕事をされてきました。

仕事をしていく中で、だんだんと「自分が良いと思うものを、すべて自分でつくりたい」と思うようになり、京都らしいもの、京都の文化に寄与できるようなものをと考え始はじめ、和菓子の美しさに惹かれるようになったそう。

図書館などにも通い詰め、京都中の和菓子屋さんにも周り、一からお菓子づくりを勉強されたそうです。

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落雁は、お砂糖と水分だけでつくります。シンプルで、とても芸術的。

味のごまかしがきかないお菓子であり、さらにデザインの形が生きるところが魅力的。何も知らない全くの素人だったため、「Drawing」ができるまでは大変なことだらけだったそう。

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商品開発は、徹底的に客観視すること

こんな商品開発の発想のもとは、徹底的に「常に客観的に見る」こと。

「主観でつくると自分の好きなものしかつくれません。だから、どれだけ客観的でいられるかが大事なんです」

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「お菓子づくりは、新しい会話をするときの手段のようなものです。いわば、その人を喜ばせるための下調べ。お菓子づくりも大事ですが、ちゃんした”おもてなし”と”ものづくり”をやりたいんです」と、木本さん。

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そして、必要がなければ新しい商品はつくらない。100年続くお菓子をつくることは、普遍性があり時代に流されないデザインを磨き続けていくことなのだと分かりました。

100年…。

私自身、100年後は想像がつかないですが、「100年後も老舗でありつつ、フレッシュでトップランナーでいたい」とおっしゃられていた言葉が、とても印象的でした。

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宇宙のように可能性に満ちたお菓子

「UCHUwagashi」のUCHUは、「宇宙のように可能性に満ちた」という意味を込めて名付けられたそう。今回お話をお伺いして、「UCHUwagashi」は100年後も新しく感じる可能性を商品自体がまとっていると感じました。

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お店は現在、西陣店、寺町店、タワーサンド店の3店舗あります。京都に訪れられたら、ぜひ足を運んでみてください。