熊本駅のどのおみやげコーナーをみても目に入るのが「誉の陣太鼓」。

誉の陣太鼓とは、大納言あずきで求肥をつつみ、太鼓の形に固めたお菓子です。熊本銘菓として、1958年から愛されています。

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今回は、誉の陣太鼓をつくっている熊本の「お菓子の香梅」を紹介します。白山本店にて、あんこが大好きな企画部広報室の湯川さんにお話を伺いました。

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転機となったお菓子、「誉の陣太鼓」の誕生

店内にもたくさんの「誉の陣太鼓」が並んでいますね。まずは、「誉の陣太鼓」について教えてください。

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店内の誉の陣太鼓コーナーには様々な箱にはいった誉の陣太鼓が展開されています

湯川「誉の陣太鼓」は、1958年に生まれました。甘いものが好まれた時代に、新しい味覚が評判を呼び、生産が追いつかないほどの人気商品となりました。創業10年にして誕生したお菓子の香梅の代表菓子です。

すべて手づくりのため、発売当時は1日70個しかつくることができませんでした。日保ちが短く、まわりに砂糖をまぶして日保ちをさせる工夫をしていました。現在は紙缶詰製法という特殊な方法によって、保存料を一切使わず45日間日保ちするようになりました。(通常添加物を使わない和菓子だったら長くても5日ほど)

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誉の陣太鼓 1個 162円(税込)

誉の陣太鼓のおすすめの食べ方はありますか?

湯川夏は冷蔵庫で1時間ほど冷やしていただくと、ひんやりして甘みも抑えられるのでおすすめです。お供にはお茶がおすすめ。特に、ほうじ茶との相性がいいですね。

お客さまの存在が、震災を乗り越える力に

2016年4月16日。最大震度7の地震が熊本を襲いました。地震の影響により、お菓子の香梅も県内の直営26店舗のうち本店以外はすべて休業。銘菓誉の陣太鼓も約2ヶ月の間、製造がストップしてしまったのだそう。

湯川工場も被災し、商品の製造ができなくなりました。誉の陣太鼓は2ヶ月製造をストップ。震災直後は在庫の商品を売り尽したあと、本店以外はすべて休業しました。工場に残っていた小豆は、ぜんざいにして振る舞いました。

震災直後、『営業していますか?』という問い合わせを多くいただきました。あとは、全国から励ましのお問い合わせが多かったですね。

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誉の陣太鼓に次ぐ銘菓「武者がえし」 1個 142円(税込)

誉の陣太鼓の発売が再開されたのは震災から約2ヶ月後でしたよね。待っていたお客さまも多かったのではないでしょうか?

湯川そうですね。6月下旬に製造を再開しました。再開後は、「被災地の支援・応援をしたい!」という方が多く、ありがたいことに全国からご注文をいただきました。

震災を機に、誉の陣太鼓が“熊本のおみやげ”として浸透しているということに気づかされました。多くの方から“熊本のおみやげといえば誉の陣太鼓”、という声をいただき、再出発をするにあたって大きな励みになりました。だからこそ、再開直後の新聞広告には今までのお礼を伝えました。

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:「誉の陣太鼓」の販売再開をお知らせする新聞広告

当たり前だったものが変わり、もちろん大変なこともありました。しかし、お客さまから誉の陣太鼓が愛されていることを強く実感し、社員の雰囲気も変わりましたね。これは、震災がないとわからなかった部分だったと思います。

くつろぎのひとときを彩る“こだわりのあんこ”

店内にはたくさんのお菓子が並び、見ているだけでとてもワクワクします。お客さまを楽しませる工夫があれば教えてください。

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湯川毎月1日に限定で販売する、「初餅(はじめもち)」や、週末限定の「今月のごちそう」など、いつ来店されてもお客さまが楽しんでいただけるように、様々な商品を用意してあります。お茶会に使っていただいたり、季節ごとの商品を楽しみにしている、という声もいただきますね。

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10月の初餅は「黒米餅」

香梅のお菓子の強みはなんですか?

湯川香梅の強みはこだわりのあんこです。それぞれのお菓子に合わせて、専門の餡職人が手間ひまを惜しまず、気候・湿度に合わせて餡を炊いています。香梅のあんこはおいしいという声がお客さまから寄せられるときは、本当にうれしいですね。香梅の企業理念が”くつろぎのごちそう”なのですが、甘いものを食べるとき、人は嫌な気持ちにはならないと思っていて。香梅のお菓子を家族団らんのひとときに食べて、幸せな気持ちになっていただけたらいいなと思います。

歴史ある建物で味わう香梅のお菓子

熊本の観光地としても知られる水前寺公園の中に「古今伝授の間」という歴史のある建物があります。古今伝授の間は約400年前に京都御苑で学問所として使われており、熊本県指定重要文化財にも認定されています。

1998年からはこの建物をお菓子の香梅が維持管理を引き受け、お抹茶とお菓子を楽しむことができます。

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趣ある雰囲気がただよう「古今伝授の間」の建物

用意されているのは、「加勢以多(かせいた)」と「十六夜(いざよい)」という2種類のお菓子。加勢以多はポルトガル語が由来になっており、江戸時代には幕府への献上品ともなった細川家秘伝の伝統銘菓を復元した、とっておきのお菓子なんだそうです。

今回は、「十六夜」をいただきました。

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お抹茶とお菓子のセット 650円(座敷席)

プリッとした淡雪羹に、濃厚な黄身餡がつつまれています。満月の十五夜に比べ、月の出がやや遅い十六夜の奥ゆかしさを表現したんだそう。古今伝授の間から眺める景色は水前寺公園の中で1番綺麗に見える場所に建てられ、時間が止まったような、ゆっくりとした空間でお菓子を楽しむことができました。( ※淡雪羹:卵白を泡立て、寒天で固めたお菓子)

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十六夜(いざよい

湯川お菓子についている名前は「本丸」や「武者がえし」など、熊本城にゆかりのあるものが多くあります。熊本城香梅庵や古今伝授の間では海外のお客さまにも香梅のお菓子を楽しんでいただいています。香梅のお菓子を知ることで、熊本に行ってみようというきっかけになればうれしいですね。

熊本を代表する、お菓子の香梅。おいしいお菓子とともに、前に進んでいく力強さを感じました。湯川さん、どうもありがとうございました!