プラントベースはなぜ地球にも優しいの?
CAKE.TOKYO編集部
大豆ミートバーガーや豆乳ジェラートなど、今や日本のフードシーンのトレンドにプラントベースやヴィーガンは欠かせません。
日本では健康や美容目的で注目されることが多いライフスタイルですが、その本当の目的は別にあるといいます。
ヴィーガンベイクで人気の「ovgo Baker」代表の溝渕由樹さんにプラントベースやヴィーガンについてお聞きしました。
植物性100%のクッキーを作る理由とは
ovgo Baker(オブゴベイカー)
「ovgo Baker(オブゴベイカー)」の目指すところは、動物性素材を一切使用せず100%植物性素材だけで作られたプラントベーススイーツで「人にも地球にも優しい未来に繋がる選択肢を提供する」こと。
そのアイデアは代表の溝渕由樹さんがアメリカを旅したとき、おいしいプラントベーススイーツと出会ったことから始まります。
おいしいプラントベースのクッキーなら、ヴィーガンやベジタリアンの人だけでなく、身体に安心なものを食べたい人、宗教上の理由で食事に制限がある人などさまざまな人々に喜んでもらえる。さらに、ヴィーガン対応のプラントベースのクッキーは環境にも優しいと言います。
なぜプラントベースは環境に優しいのでしょうか。溝渕さんに詳しくお話を伺いました。
ヴィーガンとベジタリアンの違い
オブゴベイカー代表 溝渕由樹さん
「ヴィーガンはライフスタイルなんです。健康や美容のための食事制限をしているベジタリアンとは少し違います。そもそもベジタリアンの定義は流動的で、そのカテゴリーは広いんです」と溝渕さんは語ります。
ベジタリアンとは野菜や果物、豆類などプラントベースの食品を中心とした食事法を指します。その食生活を選ぶ理由は宗教上や健康への配慮、美容目的とさまざま。そして、ベジタリアンと呼ばれる範囲も広く、卵や乳製品が含まれたり、魚貝類を食べたりと多種多様です。代表的なベジタリアン、5種類をご紹介しましょう。
【ラクト・オボ・ベジタリアン】卵と乳製品を含めた菜食
【オボ・ベジタリアン】卵を含めた菜食
【ラクト・ベジタリアン】乳製品を含めた菜食
【ペスカタリアン】肉類は食べないけど、魚介類を含む菜食
【フレキシタリアン】時々菜食を取り入れる食習慣
ヴィーガンもベジタリアンの一種ですが、完全菜食主義とも呼ばれ、肉や魚だけでなく卵も乳製品を口にしません。
「さらにヴィーガンの場合、植物性食品でも精製の過程で動物性のものに触れているものは食べません。例えば、白砂糖。白砂糖は精製する過程で、動物の骨から作られる骨灰を使用しているものがあります。
オブゴベイカーでは、原材料を調達するときにも、製造過程で動物性のものを使用していないかどうかを確認しています。食感などの理由でグラニュー糖が必要な場合は、骨灰を使用しないてんさい糖由来のものを使用するなどしてるんです」(溝渕さん)
なるほど、原材料にまで配慮があるからこそ、オブゴベイカーのクッキーやマフィンはベジタリアンだけでなくヴィーガンの方でも安心して楽しめるお菓子ということですね。
オブゴベイカーの“みんなにやさしい未来”への取り組み
おいしいヴィーガンフレンドリーなクッキーを作っているだけでなく、全ての人が優しい気持ちになれる世界をめざすオブゴベイカー。その取り組みの一環として、2022年12月にB corp認証を取得しました。
B Corpのロゴ。東日本橋店や原宿店、京都店の外観に記されています
B Corp(Bコーポレーション)とは、アメリカの非営利団体B labによる国際認証制度。環境・社会に配慮した事業を行い、一定の基準を満たしている企業に与えられます。日本ではあまり馴染みがありませんが、グローバルに活躍している多くの企業が取得している認証です。
「オブゴベイカーを創業して、環境や動物、あらゆる人々と、未来にとってやさしい食の選択肢を楽しく提供することをミッションとしてきました。ただそういった商品を販売していればいいだけじゃなくて、周りにとっても良いこと、従業員にとって良い環境であるとか、コミュニティに貢献していこうとか、そういうことができた上で “良い活動”ができると思い、B Corpを取得しました」(溝渕さん)
認証に当たって、オブゴベイカーが環境負荷の低いプラントベースの商品を取り扱っている点や、毎年排出した二酸化炭素のオフセットを行っている点などが評価されました。ちなみに、オブゴの人気クッキー「インポッシブルチョコレートチップ」は一般的なチョコレートチップクッキーに比べて、84%も温室効果ガス排出の削減に成功しているのだそう。ヴィーガンスイーツを食べることが脱炭素に貢献している証です。
もっとプラントベースのライフスタイルを身近に!
環境問題にも貢献できるプラントベースやヴィーガン。もっと日常で簡単に楽しむことはできないのでしょうか。
「よくヴィーガンやプラントベースの食事にすると食費が高くなりませんかと聞かれます。そんなときは、豆腐やモヤシもプラントベースでヴィーガンですよと答えています。和菓子のようかんやお団子はプラントベースですよね。どんな砂糖を使っているか分からないので、ヴィーガンかどうかは難しいと思いますが。
特別なことをしなくてもいいんです。日本では、おいしくて動物性を使っていない食品が身近にありますから。例えば、大豆ミートなどをよく見かけますが、そういった食品を食べなくても、おでんや焼き魚を食べれば、ペスカタリアンというベジタリアンの食事になります。どんな食事をするのか、少し意識して選択するだけで環境問題に貢献できるんです」(溝渕さん)
オックスフォード大学の調査によれば、ベジタリアンの食事で63%、ヴィーガンの食事で70%温室効果ガスを減らせる効果があるのだそう。*1
*1 Plant-based diets could save millions of lives and dramatically cut greenhouse gas emissions
UNIVERSITY OF OXFORD
https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/news/201603-plant-based-diets/
プラントベースと環境問題についてやさしく語る溝渕さん
「私たちは声高にメッセージを伝えようというのではなくて、可愛いお店だな、おいしいクッキーだなと思って食べたら、それはヴィーガンだったというスタンスです。プラントベースのお菓子って、おいしいんだと知ってもらって、もっと食べようと思ってもらえればうれしいですね。
製品自体は、脱炭素をがんばって作っているので、それを食べていただければ、環境問題に貢献していることになります。来ていただいた人がさらに発信していく。そこはまだ難しいところはありますが、徐々にファンを増やして、草の根でちょっとずつでも発信していけたらと思います」(溝渕さん)
100%プラントベースなライフスタイルを選ぶのは、難しいかもしれませんが、マイペースで環境に良いものを自分の生活に取り入れていくことはできそうです。そこから人に、地球にやさしい未来が広がっていけば。まずは、おいしいプラントベースやヴィーガンスイーツから始めてみてはいかがでしょう。
取材・文・一部写真 小田中雅子
SHOP INFORMATION
NAME | ovgo Baker Edo St. EAST |
---|---|
ADDRESS | 〒103-0004 東京都 中央区 東日本橋 2-2-8 花生堂ビル 1・2F |
OPEN | 平日11:00~19:00、土日祝10:00~18:00 |
CLOSE | 無休 |
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