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【旅とおやつ。岐阜編その3】想像し、創造する。

UPDATE:

フードイラストレーター

まるやまひとみ

前回、岐阜県土岐市にある光洋陶器株式会社さんに訪れた私は、実際に工場で器が作られていく様子を見学し、その器を使った食事の楽しみを学ばせていただきました。
今回は「KOYO BASE」の工房で体験したワークショップの様子と、器が彩る素敵なカフェメニューのご紹介です。

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込です。

▼関連記事はこちら▼
【旅とおやつ。岐阜編その1】画面の向こうから飛び出した世界。
【旅とおやつ。岐阜編その2】なにげない日常に華を添える。器から食卓の提案を。

目次

この世にひとつだけ。器に命を吹き込む絵付け体験

絵付けに必要な道具はすべて揃っているので手ぶらでOK。

「KOYO BASE」併設の「BASE Studio」には、絵付け体験ができる工房があります。
好きな形の器を選んでオリジナル食器が作れる人気のワークショップです。
事前予約制なので、公式サイトをチェックしてみてください。
体験は転写シートを自由に切り貼りする「転写体験」と、絵の具を使って好きな絵を描ける「絵付体験」の2種類から選べるので、私は絵の具を使った「絵付体験」に挑戦しました!
手順や注意点など、スタッフさんが丁寧に教えてくれます。

本焼き前のマットな器も豊かな風合いでとてもきれい。

素焼きされた器があり、プレート、カップ、丼などから1点好きなものを選びます。
種類豊富なのでどれにしようか迷ってしまいますが、今回はスイーツを乗せて使えるようなプレート皿にしました。
せっかくならCAKE.TOKYOの記事でも登場させたい!
そんな想いもあって、時間をかけてデザインを考えます。
見本の器もあるので、参考にするとイメージしやすいですよ。

器をロクロの上に乗せて回しながら絵付け作業。

鉛筆は焼くと消えるため、お皿に下描きが可能。初めての方でも安心です。
絵の具は水が多すぎると色が薄くなってしまうので、ほどよいバランスで。
絵付けは平面の画用紙に描くのとはまったく違う感覚なので緊張!
震える手をおさえつつ、丁寧に丁寧に筆を置いていきます。

いろんなスイーツを乗せて使えるものを目指して…

途中で「あ!」と声が出てしまうような場面もありましたが、なんとか描ききりました!
色は薄いように見えますが、焼くと色が濃くなるそう。
ちゃんとイラストになっているといいな!
あとはプロの手に委ね、お店に預けてきました。

預けた器は職人さんが釉薬をかけて焼成し、できあがったら自宅まで配送してくれます。
もちろん直接店頭で受け取ることもできますよ。

世界に一つしかない器を作り、使える喜び。
職人さんもまた、自分たちが作った器が誰かに届き使ってもらえることに喜びを感じているのでしょうか。
当たり前にあるものが、どれほどの時間をかけて作られているのかが実践を通してわかる貴重な体験でした!
完成品もお楽しみに!

これぞ真骨頂!器の個性が引き立たせる(イラストあり)

illustration by まるやまひとみ

デザートにいただいたのは
●チョコレートムース ¥550(税込)
●ORIGAMI Cup 飲み比べセット ¥1,000(税込)

ひと仕事終えたような気持ちで、カフェでほっと一息。
カフェダイニングでは、選りすぐりのコーヒーに自家製のスイーツといったメニューも充実しています。
スイーツも器もイチオシ!とおすすめしていただいたチョコレートムース。
お皿を大きく使った心地よい余白。
リムについたドット柄の凹凸がやわらかな表情を生み出します。

光の加減で影の形が違い、月の満ち欠けのよう。

岐阜にある「関牛乳」さんの低温殺菌牛乳を使うことで、濃厚なチョコレートムースをすっきり軽やかな後味に。
ふんわり仕上げた生地は、コーヒーと合わせるのにちょうどいい甘さで重さを感じずにいただけます。
個性的な模様と贅沢な器の使い方がスイーツを魅力的に演出。

器にわずかなカーブがあり、ムースもきれいにすくえる。

キンと冷えたチョコレートムースが口内の温度でゆるやかに溶け、トップに付いたローストアーモンドのチョコクランチを合わせれば香ばしさとコリっとした食感でカカオ感が増幅。
コントラストを楽しみながら、少しずつ変化する口当たりをじっくりと堪能します。

ちなみにお皿のリムの色はパールホワイトとパールピンクの2色。
紅白で揃えると普段使いだけでなく、ハレの日にも使えそうです。

こっくりとしたチョコレートにはやはりコーヒーが欠かせません。
今回選んだのは、1種類のコーヒーを異なる形状のカップでいただく飲み比べセット。

サーバーにたっぷりと淹れてくれるので、じっくりじっくり比べられる。

Flavor Cupシリーズはカップの形が最初に与える印象を変える設計で、手前左から、
PINOT Flavor Cup=風味、Aroma Flavor Cup=酸味を、BARREL Flavor Cup=甘味をよりしっかりと感じられるという、コーヒーの新しい楽しみ方です。
持ち手がないのは手からも温度を感じてもらえるように。
器を通して「感じる」という一貫したテーマが伝わってきます。

コーヒーは味の違いがわかりやすいよう、バランスの取れたものを選んでくれます。
この日はシングルオリジンのルワンダ。ベリー系のジューシーな味わいです。
PINOT Flavor Cup(風味)でいただくと、広がりのある飲み口から香りがダイレクトに伝わるため、華やかな余韻が長く続き、酸味と甘味のバランスも抜群。
Aroma Flavor Cup(酸味)でいただくとより甘酸っぱく果実の印象が前面に出ましたが、ルワンダらしい明るさを楽しめました。
BARREL Flavor Cup(甘味)でいただくと甘味がじんわり広がって、冷めたあともコーヒーの奥深い味わいが伝わってきます。

カップの形が違うだけなのに、舌のどこに当たるかで味の感じ方が変わる人間の特性をとらえた工夫に感動です。

ころんと丸みを帯びたホローボウルはちょっとしたお菓子がぴったり収まる。

飲み比べセットにはカフェで購入もできるシュガーナッツが付いているのが嬉しいポイント。
ずっと飲んでいるとだんだん感覚が麻痺してくるので、こうしたものを間で挟むと口がリセットされたり、コーヒーの感じ方も変わってさらに楽しいです。

コーヒーはスイーツの味に合わせて焙煎度やフレーバーを選ぶことがありますが、カップで
たとえばスパイスカレーと合わせるならPINOT Flavor Cup(風味)。
チョコレートムースと合わせるならBARREL Flavor Cup(甘味)と、カップでペアリングを楽しむのもいいですね。
爽やかさのある食事やフルーツ系のスイーツにはAroma Flavor Cup(酸味)を合わせてみたいです。
以前ペアリングのコーヒーセミナーに行った時の学びが活かされた気がします!

ショップには器だけでなく、カフェのメニューにも使われているコーヒーや地元の特産品が多数販売されています。

コーヒー豆の色が映える陶器の艶やかな白。

コーヒーはブレンドが2種、シングルオリジンが2種で、シングルオリジンは季節毎に入れ替わります。
名前も特徴的で、浅煎りは成形後の器を素焼きする時の温度から「ブレンド800」、深煎りは最終工程となる本焼きの温度から「ブレンド1300」。
焙煎度と焼成の温度がリンクしているのがユニークで、素敵な発想だなあと感心しました。
さらに、決まった焙煎度に合わせてコーヒー豆を提供するロースターさんが変わるというのも面白いところ。
この時は千葉県にあるロースターさんのコーヒー豆でしたが、全国各地の様々なロースターさんが登場するそうですよ。
次に行った時はどこのロースターさんなのか、新しい出会いを繋げてくださるところも素敵で楽しみが広がります!

岐阜で100年続く醸造場「大竹醤油醸造場」さんの味噌。

味噌や山椒などの調味料に、細寒天、お茶なども。
歴史ある光洋陶器さんだからこそ見つけられる岐阜の良いものが多角的に発信されていて、ここだけの出会いがたくさんありました。

岐阜の景色が一望できる空間で、器と器が織り成す新感覚の味わい、発見と学びを得ることができます。
みなさまもぜひ一度訪れてほしいです!
私もたっぷりフルコースを堪能し、最後にたくさんお買い物をして土岐を後にしました。

雄大な自然。爽快な青空。心も体もリフレッシュ!

器は使ってこそ力を発揮する

新しくお迎えした「ORIGAMI ドリッパー」と「ドリッパーホルダー」。

記事の中で登場していた「ORIGAMI」は、岐阜県土岐市の陶磁器メーカー「K-ai」さんと光洋陶器さんが開発したバリスタ向けのオリジナルブランド。
世界中のコーヒー店で愛用されているだけでなく、自宅でもより質の高いコーヒーがいただける家庭用としてもコーヒー好きの間で親しまれています。
ギャラリーのように並ぶドリッパーやカップ…ついつい惹かれて新しいドリッパーとホルダーを買ってしまいました。
ちょうどウェーブ型のペーパーフィルターが発売になったばかりで、そちらも欲しかったので…
ホルダーは樹脂製ですが木目調になっていて、白地に黒い吹きのデザインがかっこよくて一目惚れ。
ドリッパーはSサイズのマットグレー。工場見学で拝見した、型から出てきたばかりの姿に感動したあの感覚を、ドリッパーを使うたびに思い出したくて選びました。
独特の形状によりお湯の抜けが早く、クリアな味わいになります。
お湯の注ぎ方に気を配りながら丁寧にゆっくり淹れることでコーヒーの風味が格段によくなりとてもおいしいです。
コーヒー器具は使わない間もインテリアとして暮らしに馴染むのも好きなところ。
豊富な色数から自宅に合わせてコーディネートできるのが「ORIGAMI」製品に惚れている点です。

小ぶりなエスプレッソカップのこんな使い方も!アイデアが素敵〜!

器を棚の奥にしまいっぱなしにしていませんか?もしあったら、出して使ってみてください。
使っているうちに愛着が湧いてきて、大好きな器になるかもしれませんよ。

使う人や目的を想像し、求められるもの、求める以上のものを提案する。
光洋陶器さんが私たちに届けてくれる器が日々を輝かせ、料理を魅力的に、そして器を魅力的に味わわせてくれています。

おやつは思い出を連れてくる

「おやつ 創房優」さんにて、あれもこれもとカゴに入れたおやつたち。

2泊3日で過ごした岐阜の旅。
旅先から連れ帰ったお菓子とコーヒー、お気に入りの器でおやつにすれば、思い出がどんどんよみがえります。
傳六茶園のほうじ茶クッキー、キャラメルクッキー、ミニシュトレン、チョコスコーン。
ポリポリさくさく、大切に食べようと思っていても、開けたらすぐになくなってしまう不思議。

「KOYO BASE」さんで買ったホローボウルに「おやつ 創房優」さんのクッキーを。

ほうじ茶クッキーのほうじ茶パウダーは、岐阜で無農薬茶を生産しているお茶農家さんから直接仕入れているこだわりのもの。
地元の食材を使ったものは、その地域に住む方だけでなく、遠方から来た人たちがその地の名産品を知るきっかけにもなります。
香り満点、包み込まれたチョコとともにほどよいビターさとほろ甘さが広がるクッキーでした。
キャラメルクッキーは、キャラメルをまとったアーモンドのパリパリがやみつきに。

キャンディのように包まれた「ミニシュトレン」。

シュトレンというと、大きな塊をひと切れずつカットして食べるものという印象が強いですが、こちらはふた口ほどで食べ切れるサイズ。
中身はシュトレンそのもの!カラフルなドライフルーツがどんどん溢れ出します。
スノーボールクッキーのような軽い食感なので食べ過ぎ注意なおやつです。

ゴツゴツとした見た目のチョコスコーンは、手で割ってみると存在感のある大きなチョコレートが。
外はカリッとしていますが、中は米粉らしいふんわり感と口溶け。
生地の風味の良さを実感できるので、粉物好きの方にもおすすめです。
どれもコーヒーとの相性抜群でした!

作り方によってしっとりしたりほろっとするのも米粉のおもしろいところ。
米粉のおいしさと楽しさを届けたいとする店主さんの愛情が伝わってきます。

口の中でゆっくりと広がるチョコレートの甘さで幸せな気持ちに。

何気なく触れているものに関心を持ち、誰がどのようにして作っているのかを目で見て手で触れて知ることの大切さを実感しました。
生地を作り、素材を組み合わせ、焼いて、きれいに包んで…
お菓子も焼き物も、どの工程が荒っぽくなっても美しいものはできません。
ひとつひとつに時間をかけ、相手を想い作られるもの。

3部に分けてお届けした私の岐阜旅、私にとってかけがえのない、たくさんの学びを得た充実の時間でした。
また違う場所、違う季節によってさまざまな出会いがあるでしょうね。

まるやまひとみの【旅とおやつ】、これからも続けていきたいです。

このような機会を与えてくださったみなさまに本当に感謝をしています。
やさしい人たちに巡り会え、岐阜がさらに大好きになりました。
取材にご協力いただいたみなさま、お忙しい中、本当にありがとうございました!
また必ず伺います!

SHOP INFORMATION

SHOP KOYO BASE
WEBSITE https://koyobase.com
ADDRESS 岐阜県土岐市泉町久尻1496-5(光洋陶器株式会社敷地内)
TEL 0572-55-5501
OPEN 11:00〜17:00(CLAY Table L.O.16:30)
CLOSE 火曜日・水曜日
※祝日の場合は営業

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