【旅とおやつ。岐阜編その1】画面の向こうから飛び出した世界。
フードイラストレーター
まるやまひとみ
風に吹かれ、青空をバックに黄色く色付いた葉っぱが楽しそうに舞う11月中旬。
秋から冬へと移りゆく季節の途中に、私は岐阜県に向かっていました。
地方に行く機会はよくあるのですが、岐阜県は初めての場所。
今回ご縁があり、二軒の素敵なスポットを取材をさせていただきました。
その模様を3つの記事に分けてご紹介しますので、旅気分でご覧ください。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
おやつで優しさを創る、小さなおやつ屋さん
開店まであと10分。扉の隙間を抜けてお菓子の香りがふわり。
焼きものの街・多治見。土岐市のお隣に位置するこの地は、ミュージアムやギャラリーが密集しているアート好きにはたまらないエリア。
趣のある古民家に多くの商店が並ぶ「本町オリベストリート」は、多治見を代表する観光地です。
その中心にある「陶都創造館」は、歴史ある美濃焼や若手作家による作品など、和から洋まで多種多様な陶器体験ができる複合施設。
この施設の1階に2024年10月、新しくお菓子屋さんがオープンしました。
建物の正面から右脇に入り、広場のようなところを奥に進むともうひと入口が。
扉を開けるとすぐに見えてくる、大きなガラスに囲まれた米粉おやつの専門店「おやつ 創房優」です。
朝一番に焼き上がったマフィン。定番に加え、季節のマフィンも。
店主さんを知ったきっかけは、YouTubeチャンネル「優しいおやつの時間」の配信。
公開当初からファンで、SNSもチェックしていました。
「米粉だから美味しいおやつ」というテーマで、自宅でも簡単に作れるおやつレシピを動画で公開。
落ち着いた雰囲気と静かな音楽、調理音が心地よく、見ているだけでもほっとするんです。
6畳の部屋から始まったというYouTubeの動画撮影。
「創房優」は、小さな場所(房)で優しさを創るという意味があり、「いつか大きくなることがあっても、はじまりを忘れないように。」と、お師匠さんが付けてくれた大切な名前なのだそう。
画面の向こうにあった小さな空間が、リアルな姿で、焼きたてというタイムリーな提供で味わうことができる場所。
夢への第一歩を、店主さんの故郷である多治見でスタートさせました。
一番人気のくるみクッキー。山積みになったテトラ型のラッピングが可愛い。
「おやつ 創房優」のお菓子は米粉で作られていて、素朴で温かみのある焼き色が特徴的。
“おやつ”という言葉にもそうしたやさしい印象が含まれており、お店の雰囲気も時の進みが遅くなるようなまったりとした空気を感じます。
その空気にふわふわと漂う甘い香り。
次から次へと焼き上がるお菓子に誘われて、ついつい買いすぎてしまいそうです。
お皿に乗せたそばからどんどんとなくなっていく。
土日のみの営業とあり、開店前からたくさんのお客さん。開店後も焼きたてを求めて訪れる人たちがひっきりなしに並んでいます。
この日は地元のメディアにも掲載されたばかりだそうで、そちらを見た方でいつも以上に大忙しだった様子。
それでも丁寧に、愛情を込めて作ったお菓子を大切に包んでいく店主さん。
順番を待つ人たちも、はやる心を抑えてその様子を見守っていました。
初めて訪れた人もこの焼き色を見ると和んでしまう。お菓子には不思議な力があります。
レースカーテン越しに外を眺められる窓際。
店内はイートインも可能。カウンター席とテーブル席が用意されています。
ドリンクメニューも充実しているので落ち着いて過ごせますよ。
私も焼きたての香りに我慢できず。
店主さんもお気に入りだという自然光がやわらかく注ぐ奥のテーブル席でいただきました。
やさしいだけではない、満足度の高いリッチなおやつ(イラストあり)
illustration by まるやまひとみ
いただいたのは
●ブルーベリーマフィン ¥420(税込)
●加賀棒茶 ¥400(税込)
まだほんのりと熱を残したマフィンは水分を含んでいてしっとり。
フォークを刺すと途端にお辞儀してしまうほどのやわらかさが愛おしい。
こぼれんばかりのクランブルにブルーベリー。
なんて良い匂い…つい鼻を近づけてしまいます。
表面のほろほろと、生地のほわほわ。
おおらかでホームメイド感のある姿に目を輝かせてしまう。
断面に水玉模様を描くブルーベリーが心地よい酸味と甘みをもたらし、たまごのコクと香りが生地の中から満ち溢れます。クリームチーズから溶け出したほのかな塩気が味わいを引き締め、リッチだけれどさくさくとフォークが進む一品。
スプーンひとさじ添えられた長野県産りんごジャムをちょこっと付ければ明るい果実味が加わって、生地に隠されたラム酒が呼び起こされたような華やかな甘さ。
ひとくちごとに心がときほぐされるような癒しの味です。
晩秋を感じられる美濃焼の湯呑み。
急須で一杯ずつ淹れてくれる加賀棒茶。
店主さんは以前、地元の岐阜を離れ、石川県・金沢の学校に通っていたのだとか。
その当時アルバイト先で教わった淹れ方で、加賀棒茶の香ばしさと上品で奥深い味がしっかりと抽出されています。
多治見にお店をオープンする時は思い入れのある金沢の味を取り入れたいと思いカフェメニューに。
加賀棒茶の持つふくよかさが、「おやつ 創房優」の焼き菓子にぴったり。
ついつい時間を忘れてしまうほっこりおやつ。
後ろ髪を引かれる思いを振り切り、お持ち帰りのおやつを抱えて別れを告げました。
またお会いできますように!
次来た時は、カウンター席で本を読みながらおやつを楽しむのもいいなあ…
初めてのお菓子作りにも米粉が活躍
店主さんの著書「やさしい米粉のおやつ」
動画配信や製菓材料メーカーへのレシピ提供を精力的に行っている店主さん。
2024年10月に発売した「やさしい米粉のおやつ」は、焼くまで5分の気軽なものから少し時間をかけて仕上げていくレシピまで、丁寧な説明でわかりやすく紹介されています。
写真からも生地の質感が伝わってきておいしそう。
米粉は小麦粉と違いふるう必要がなく、材料を順番に混ぜていくだけでできるものもあって初心者にも扱いやすい食材。
ひとりで食べる幸せもありますが、たくさん作って誰かとのおやつを楽しむのはもっと幸せです。
動画と合わせてぜひご覧ください。
散歩の相棒にしたいオリジナルグッズも。
お店の近くには多治見を代表する河川「土岐川」があり、駅からも散歩にちょうどいい距離。
ここでおやつを買って、近くでピクニック気分を味わうのもよさそう。
景色ものびのびとしていてとても素敵なところですよ!
余談。帰りの新幹線が2時間遅延。我慢できずカフェのある駅の待合室で食べたチョコスコーンがとびきりおいしく体の疲れが癒されました…これも旅ならではですね。
今回の旅は2泊3日。
思い出いっぱいのおやつを頬張りながら岐阜での素晴らしい出会いを振り返ります。
【旅とおやつ】、次回は岐阜に訪れるきっかけとなった、この街ならではの素敵なスポットをご紹介します!
SHOP INFORMATION
SHOP | おやつ 創房優 |
---|---|
https://www.instagram.com/soboyu_recipe | |
ADDRESS | 岐阜県多治見市本町5-9-1 陶都創造館1階 |
OPEN | 10:00〜15:00 ※おやつが無くなるまで |
CLOSE | 月〜金 |
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miki
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