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【神奈川・小田原】小麦の香りを楽しむ「麦焼処 麦踏」のバターロール

UPDATE:

WRITER

若松渚

相模湾を一望する「麦焼処 麦踏」は、店主自らが小麦を栽培・製粉してパンを焼く“農家パン屋”。素朴で味わい深いこだわりのパンを求め、連日たくさんの人が訪れます。
今回は、店主の宮下純一さんに、お店を始めた経緯や小麦への想いについてお話を伺いました。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込です。

目次

歴史ある場所に佇む古民家パン屋

2018年1月11日にオープンした「麦焼処 麦踏」は、小田原と湯河原を結ぶ県道740号線沿いにあります。JR東海道線「根府川駅」からは車で約5分。高台にあるお店の周辺から海と段々畑を一望できる美しいロケーションが魅力です。
お店のある場所には、かつて「天正庵」という茶室がありました。天正庵は、豊臣秀吉が千利休に命じて設けた茶室。「人々が集う場所だった天正庵と同じように、人々が集い、つながれる場所を作りたい」と宮下さんは話します。

小田原市の空き家バンクを通じて出会った古民家

10年近く空き家になっていた天正庵跡地に建つ古民家を選んだ理由は縁側。
縁側マニアの宮下さんは、広い縁側とその前に立つツバキの木にひとめぼれしたのだそう。

広々とした縁側で、パンを食べながらのんびり

お店のある江之浦エリアは柑橘の産地。改装前の古民家は、援農のため出稼ぎに来た人たちが泊まれるよう広々と作られていました。その広さを活用し、地元の作家さんの作品を販売したり、麦踏のパンを使ったメニューを楽しめるカフェを併設したりしています。

フードメニューのほか、ドリンクやデザートも楽しめる「エリカフェ」

地元産のみかんジュースや柑橘を販売

人生を変えたパン職人との出会い

もともと和菓子職人だったという宮下さん。いろいろな経験をしたいと、24歳頃に興味のあったパンの世界に飛び込みました。就職先では、和菓子職人だった経験を買われ、パンだけでなくケーキ部門にも3年間在籍。「製菓製パンの基礎技術を身につけることができたので、結果的には良い経験になった」と振り返ります。

その後、箱根にある「足柄麦神 むぎ師」に就職。オーナーでパン職人の故高橋幸夫さんは、神奈川県伊勢原市にあった名店「ブノワトン」と「足柄麦神 むぎ師」を経営し、地元の農家を応援するため「湘南小麦プロジェクト」を立ち上げた人物。
その高橋さんの妻である郷子さんに面接時、「半年後に閉店するが、それでも来るのか」と問われ、宮下さんは「行きます」と答えたそう。その後、お店は閉店しましたが、「箱根麦神」に改名した新店舗で、宮下さんは引き続きシェフとして働きました。

店主の宮下純一さん

ちょうどその頃、「ブノワトン」のお弟子さんが引き継いだパン屋「ムール ア・ラ ムール」の本杉正和さんと出会います。本杉さんは当時、小麦の育て方などを親子で学ぶ「麦踏み塾」の代表を務めていました。

宮下さんは、「麦踏み塾」に参加した時に初めて小麦畑を見て、今まで遠い存在だと思っていた小麦畑が、こんなにも身近にあるということに衝撃を受けます。パン職人である自分が小麦畑を知らなかったのだから、一般の人はなおさらだと思い、一般の人にもっと身近に小麦を感じてもらうため、自らの手で栽培したいと思うようになりました。

栽培する小麦の品種は、農林61号とユメカオリの2種がメイン

それがきっかけとなり、「あしがら農の会」で農業研修を受け、農家資格を取得。そして、「南足柄小麦塾」を結成し、パン職人を集めて小麦を栽培するようになりました。収穫した小麦は「きんたろう小麦」という名でブランド化し、みんなで分担して使っています。
宮下さんは、「自分で栽培すると、農家さんの苦労がわかる。国産小麦の価値をお客さまに伝え、適正な価格でパンを販売することで農家さんに還元できるようにしたい」と力を込めます。

焼き上がりを考えながら石臼で製粉

小麦の栽培だけでなく、自家製粉も行っている宮下さん。製粉の前の精麦という作業は、「ムール ア・ラ ムール」の本杉さんが代表を務める「ミルパワージャパン」にお願いしています。

精麦は、表層が6層構造になっている小麦の3層目までを削る方法で香りを残す

そして、精麦後は、男鹿石の石臼を使って宮下さんが製粉。部屋を低温に保ち、石臼をゆっくりと回転させ、極力熱が発生しないように挽くのがポイントです。「小麦を挽いた時に香りがしたら、それは香りが逃げている証拠」と宮下さん。焼き上げた時に香りのピークが来るよう手間ひまを惜しまず調整しています。

毎日食べたくなる香り豊かなパン

南足柄産の自家栽培小麦と、北海道や兵庫、熊本の粉をブレンドして焼き上げるパンたち。粉の配合は、バランスを考えてパンによって変えているそうです。ここからは、人気のパンや地産地消のパンをご紹介します。

バターロール¥250(税込)

「自分を表現した名刺代わりのようなパン」と宮下さんが語る、お店で一番人気の「バターロール」。
自家栽培、自家製粉のきんたろう小麦を30%、北海道産小麦を70%使用しています。パンの主原料である粉、水、塩、イーストのほかに使っているのは、バターと喜界島の粗糖のみ。卵も使っていません。
「小麦の香りを楽しんでもらうためのバターロール」と宮下さんが話す通り、噛むほどに小麦の風味が口いっぱいに広がります。
もちもちした食感のパンは、シンプルながらも満足感のある飽きの来ない味わいが魅力です。

ショコラ・オランジェ(右上)、季節の江之浦柑橘のクリームチーズ(右下)、パンオレ(右上)、ちょこくるみ(左下)

●ショコラ・オランジェ ¥320(税込)
江之浦でミカン栽培を行う「八木下農園」のニューサマーオレンジのジャムと、フランス「ヴァローナ」のバトンショコラをはさんだカンパーニュのパン。さっぱりしたジャムとカカオの風味が口いっぱいに広がります。

●季節の江之浦柑橘のクリームチーズ ¥300(税込)
併設のエリカフェで作った江之浦産の柑橘を使用したジャム、クリームチーズ、ハチミツを和えて包んだ地産地消のパン。生地は、バターロールの生地をベースに、より全粒粉に近い生地にしています。柑橘のさわやかな風味とコクのあるクリームチーズが、香ばしいパンのアクセントになった一品です。

●パンオレ ¥250(税込)
小田原にある養鶏場「春夏秋冬」の卵と「きんたろう牛乳」などの地元の牛乳とバターをたっぷり使用。素朴な味わいとしっとりした食感が楽しめます。

●ちょこくるみ ¥300(税込)
「チョコとクルミの組み合わせが個人的に好き」と言う宮下さん一押し。香り高いパンとクルミの食感、チョコレートのまろやかな甘さがしあわせを誘います。

いつか実現させたい小麦バンク

「麦焼処 麦踏」をオープンして今年で8年目。今後の展望の一つ目は、小麦畑の収益化。
今までは、どうにか採算を合わせて小麦畑を継続してきました。収益化のためには、「南足柄小麦塾」の各メンバーが、小麦のブランディングや商品開発、販売などを行っていく必要があると考えています。

小麦への想いが感じられる店内

そして、展望の二つ目は、小麦バンク。一般の人が「あしがら農の会」で小麦の栽培方法を習い育てても、製粉はまとまった量で行うため、家庭では使いきれずに廃棄してしまうこともあるそう。
個人が小さなスペースで育てた小麦をいったん預かり、まとめて製粉してから保管し、小麦の何割かを手間賃としてお店で使わせてもらう代わりに、いつでも引き出せる、というのが小麦バンクのシステムです。
現在は手が回らず、構想段階に留まっていますが、「地元の小麦を使う企業や店舗、製粉会社、冷蔵倉庫企業などがタッグを組めば、日本全国どこでも始められる」と宮下さん。耕作放棄地を活用して気軽に小麦を育てたり、小麦バンクに預けたりすることで、小麦の自給率を上げたいと考えています。

さまざまな人との出会いと、宮下さんの小麦への想いから生まれるストーリー。今後、どのように展開していくのかが楽しみです。

SHOP INFORMATION

SHOP 麦焼処 麦踏
WEBSITE https://kataura-mugifumi.com
ADDRESS 神奈川県小田原市江之浦307
TEL 0465-43-7922
OPEN 10:00~17:00(売り切れ次第閉店)
CLOSE 火・水曜日(祝日は営業)

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