【シナモンロールに導かれ/川口】人と地球を繋ぐ次世代のシナモンロール「1110 CAFE/BAKERY(イチイチイチマルカフェベーカリー)」
フードイラストレーター
まるやまひとみ
シナモンロールが好きだ。吸い込まれそうな渦巻き、半分に割った時の縞模様。アーティスティックな姿に何度陶酔したことだろう。溶けてしまいそうな甘さと芳香に満たされ、私の奥底に眠るシナモンロールの記憶を呼び起こす。
もっとシナモンロールのことが知りたい。シナモンロールに会いたい。シナモンロールは私をあちらこちらに連れ出し、縁を繋いでくれる。さあ、今日も今日とてシナモンロールを求め西へ東へ…
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埼玉県川口市はかつて鋳物産業が盛んな街として知られ、1917年に創業した「大泉工場」も鋳物工場として業界を牽引してきた。時代の流れとともに鋳物工場はその役目を終えたが、残された広大な敷地は新たな価値を生み出す場へと転換。
4代目社長が掲げる「地球を笑顔で満たす」という理念のもと、「食」を軸とした新たな取り組みが始まった。学び創造し、地球にも身体にもやさしい食を届ける場所として2020年に「1110 CAFE/BAKERY(イチイチイチマルカフェベーカリー)」が誕生。日々自然と共存しながら、未来へとつながる“種まき”を行っている。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
100年企業の新しい挑戦
事前に道順を教えてもらったので迷わず到着。
工場の閉鎖後、不動産管理事業や飲料食品関連事業へと舵を切った「大泉工場」。
その敷地は「OKS KAWAGUCHI CAMPUS(オーケーエスカワグチキャンパス)」として再生され、登録有形文化財の洋館や日本家屋をはじめ、「プラントベース×発酵」をテーマにしたカフェやブルワリーなど、多彩な施設が混在している。
「1110 CAFE/BAKERY」も、その一つだ。
家族連れでものびのびくつろげるソファ席に、自然を眺められるカウンター席
「1110」には、「自然」「生活」「身体」3つの環境が“〇(まる)”になるという意味が込められている。
「自然との共生」をコンセプトに、アップサイクル家具やリユース食器、キッチンで使われる洗剤からコンポストの活用まで、資源の循環を促進。
そしてやさしいのは環境だけに限らず、人にもやさしく。
自然を守るための行動は、めぐり巡って私たちのもとに還ってくるのだ。
目の前に広がる庭の緑と季節の花々が、心まで丸くする。
鋳物工場としての伝統と歴史を大切に受け継ぎながら、サステナブルな運営で現代の社会のニーズに合わせたアプローチを行う。
「食」を通じて健康と環境意識を育む
シナモンロールを筆頭に、多彩なロールパンが並んでいる
カフェの立ち上げにあたり、大切にしているのは「プラントベース(植物性)」の提案、「コンブチャ(KOMBUCHA)」の普及、そして「ナチュラルな素材の使用と循環」という3つのテーマ。
メニューはすべて、卵や乳製品を使わない植物由来。
自社製造の発酵スパークリングティー飲料「_SHIP KOMBUCHA」も提供し、「コンブチャ」の魅力に触れてもらえるきっかけづくりにも力を入れている。
食材は生産者から直接仕入れ、野菜の皮は出汁として活用したのちコンポストへ。
料理として提供されない部分や、お客さんの目に触れないところでも、環境負荷の低減を徹底している。
季節限定のメニューも。大豆ミートで作られる料理も絶品。
活動を知ってもらうこと、一人ひとりに呼びかけることはもちろん大事だが、食を提供する場として「おいしさ」こそが何よりも重要である。
卵や乳製品を使わずに満足感を感じてもらえる料理やスイーツを生み出すことは、決して容易ではなかった。
植物性100%という制約の中で、おいしさの根幹となるリッチな味わいや食感などを再現することは、メニュー開発における最大の壁だったという。
植物由来の旨みを凝縮させたソースを独自に開発したり、スパイスの香りを際立たせるなど、素材の組み合わせをゼロから再構築し、長い時間をかけ試作をくりかえすことで、その課題を乗り越えてきた。
こうした努力により生まれた「1110 CAFE/BAKERY」のオリジナリティあふれるメニューは、「植物性だから仕方ない」ではなく「植物性だからこそおいしい」と価値観を更新してくれる。
多様な選択肢として、肩の力を抜いて味わえる新しい食文化のかたちだ。
好きなロールを選べる「1110 ファーマーズセット」はドレッシングも手作り。
とくに特徴的なのが、OKS KAWAGUCHI CAMPUSの桃の花から採取した「花酵母」を使い、丁寧に焼き上げる自家製パン。
酵母の力でもちもちとした生地に仕上がり、花特有のフルーティーな香りが漂う。
北海道産小麦の弾力感と、ほどけるようなやわらかさも相まって、豊かな風味に。
自然の恵みを生かした酵母が個性を与え、旨みのある生地はスイーツ系にも食事系にもマッチし、メニューの幅が大きく広がった。
なかでも「1110 CAFE/BAKERY」を代表する一品とも言える「ザ・シナモンロール」は、2021年に開催した「フィンランドウィークエンド in 埼玉」というイベントで提供されたことをきっかけにメディアで話題となり、たちまち人気商品に。
イートインだけでなくテイクアウトの利用も多く、早くに品切れになることも。
約一年ぶりに訪れたこの日も、昼頃に到着すると「ザ・シナモンロール」は売り切れ。
気になっていた他のメニューをいただきながらくつろいでいると、シナモンロール愛が通じたのかなんと焼きたてに遭遇!
ツヤツヤと輝くアイシングが食欲そそる、できたての「ザ・シナモンロール」。目でも、そして舌でも、そのおいしさを存分に味わい尽くそう。
吸い付くようなもっちり感!底までおいしいシナモンロール(イラストあり)
illustration by まるやまひとみ
今回いただいたシナモンロールは
●ザ・シナモンロール ¥450(税込)
バットで焼き上げたアメリカンタイプのシナモンロールは、側面サクサク。
はみ出したシナモンがふわりと香り、ひと口目へと自然に誘う。
手で持てば、焼きたての生地は、ふにゃんと指に沈むほどデリケートなやわらかさ。
かぶりつきたい衝動にかられながら、ナイフとフォークで丁寧にカットし、しばし断面を鑑賞。
とろけるアイシングは甘いホワイトソースとも言えるリッチ感
小麦の甘みと酵母の華やかさが融合した生地は、バターを彷彿とさせるミルキーな旨みに驚く。
豆乳やココナッツオイルで仕立てたアイシングは、まろやかなコクを与えながらも重たさはなく、それでいて物足りなさもない。
シナモンのスパイシーさが溶け合うことで奥行きが広がり、それでいて後味は軽く、もうひと口と手が伸びる。
飴状になった底面のカリカリとした食感も、最高のアクセント。
アイシングがじつにクリーミーで、これだけでもおいしくつい、たっぷりと付けてしまう。
じゅわっと染みるシナモンと穏やかな甘さで、すっかり満ち足りた幸せな気持ちに。
窓の外の景色と居心地の良さで、時間を忘れまどろむ。
川口から全国へ。未来に届ける「プラネットロールズ」
手のひらに乗るプチサイズのシナモンロール
●planet rolls(6個入り) ¥3,000(税込)
プラントベースとは思えない満足感を宿す「1110 CAFE/BAKERY」の「ザ・シナモンロール」。
カフェのシグネチャー商品としてだけでなく、もっと多くの人に楽しんでほしいとの思いから誕生したのが「planet rolls(プラネットロールズ)」だ。
「ザ・シナモンロール」をカップケーキのような手軽なサイズにし、カフェとは違う様々なシーンで楽しめる商品として展開。
食物アレルギーを持つ人やヴィーガンの人も含め、誰もがボーダーレスに楽しめるパンとして作られたナチュラル素材のロールパンとして、家族や友人とシェアしたり、ギフトとして贈ったりと、日常のさまざまな場面に寄り添ってくれる。
原材料や製法は店舗と同じだがながら、サイズが異なることで食感の印象にもわずかな違いが生まれる。
サラダとスープを添えてお店のようなワンプレートにしてみたり。
アイシングのぽってりしたフォルムはそのままに、円形の生地にぐるっとシナモンが巻き込まれている。
生地はむちっとして、べっこう飴のようにパリパリに仕上げた底面も健在だ。
冷凍で届くため、食べたい時に食べたい分だけ解凍できるのも嬉しいポイント。
電子レンジで温めるほか、せいろで蒸して温めるのもおすすめ。
ほかほかに蒸しあがったシナモンロールはまるで点心!
もちもちの食感が引き立ち、シナモンの香りもアップ。
朝食にもおやつにもちょうどよく、蒸している間に淹れたコーヒーといただけば極上のひとときが訪れる。
いちごを乗せればショートケーキ風
「1110 CAFE/BAKERY」が目指すのは、単なる飲食店ではなくさらに一歩二歩先の未来。
食べ残しを減らすことや、マイボトルを持参するといった、一人ひとりの小さな選択の積み重ねが、持続可能な社会への道筋を描く。
散歩の途中にふと立ち寄り、自然とライフスタイルに取り入れられる「学びの場」であり、地域に暮らす人たちの「憩いの場」として愛され続ける場所を守っていきたい。
未来のために、今からできることをコツコツと。
私も自然の中で食事を楽しみながら、身体や環境について少し考えてみよう。
SHOP INFORMATION
| SHOP | 1110 CAFE/BAKERY(イチイチイチマルカフェベーカリー) |
|---|---|
| WEBSITE | https://www.instagram.com/1110_cafe_bakery/ |
| ADDRESS | 埼玉県川口市領家5-4-1 |
| OPEN | 【平日】10:00〜17:00 【土日祝日】8:00〜17:00 |
| CLOSE | 月曜日 ※月曜祝日の場合は翌平日 |
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