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【シュークリームの日】いつまでも愛したい、ひたむきさに満ちた洋菓子店「西鎌倉 レ・シュー」

UPDATE:

フードイラストレーター

まるやまひとみ

毎月19のつく日は「シュークリームの日」。“シュークリーム”と「ジューク(19)」の語呂合わせから制定された記念日です。
私は母とおばあちゃんの家へ遊びに行く時、必ずお土産にシュークリームを買っていました。
家族と分かち合う甘いひとときは、私にとってかけがえのない思い出。
あなたもきっとやさしい気持ちになる、様々なシュークリームをご紹介します。

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湘南モノレールの「西鎌倉駅」を降りると、空気がふっとやわらぐ。
自然に囲まれたゆるやかな坂道。この街らしい起伏が歩くリズムを少しだけ変える。
交差点からバス通りを進んでいくと、坂の途中に現れる洋館風のかわいらしい建物。
「西鎌倉 レ・シュー」は、1996年に元オーナーシェフの倉内正巳(くらうちまさみ)氏が「フランス風創作洋菓子 レ・シュー」としてスタートした洋菓子店。
地域に根差した店でありたいと、ここを目指して“わざわざ”足を運んでもらえるようにあえて観光地からは外れた場所に出店。
2003年に現在の場所へと移転をし、一度は店を閉めるも新しいシェフを迎えて再出発。
そこには地元への強い想いと誇りが込められていた。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です。

目次

ここが目的地となるように

看板を目印に顔を向けるとそこにあるのはヨーロッパの小さなお城。

絵はがきにしたいほど、西鎌倉であることを忘れてしまう素敵な外観。
広い駐車場があるのも鎌倉での暮らしを象徴している。
住宅街に囲まれたこの地域では車で移動する人も多い。買い物の途中で立ち寄ったり、ほっとひと息ついたり。

木と自然光がマッチし、鳥のさえずりが聞こえてきそう。

扉を開ければそこはまるで童話の世界。
木の色合いと曲線が温かな印象を生み、店内のところどころに花の装飾もほどこされ、ディスプレイにまでセンスとこだわりが感じられる。
身近にある非日常も、また行きたくなる理由のひとつ。

室内にいながら木陰のテラスにいる気分。

コンサバトリーのようなおしゃれなサロンスペースも。
ケーキとともに、オリジナル焙煎のコーヒーをいただける。
再オープン時は使わない予定だったが、カフェのようなサービスはできないけれど、わざわざ来てくれたお客さんがくつろげるようにとスペースを設けた。

なくしちゃいけない。その想いが明かりを灯す

細部までこだわりが詰まったケーキ。

そのおいしさが評判を呼び、以前のお店では手狭になってしまったことから現在の場所へ移転を決意した「西鎌倉 レ・シュー」。
26年間寝る間も惜しんで駆け抜けてきた倉内シェフは、体力面や変化する環境から継続が厳しくなり2023年に営業終了を発表。
長年親しんできた地元の人たちからの惜しむ声が絶えなかった。
すると「西鎌倉 レ・シュー」を残したいという企業から声がかかり、再度体制をととのえることに。

そこで名前が上がったのが、かつてここでパティシエとして腕を振るった荒井文弥(あらいふみや)氏だった。

湘南で採れたはちみつを使った湘南ハニーベアケーキなど、人気商品が詰まったギフトボックスもおすすめ。

荒井シェフは「パティシエとしての基礎はここで全てたたき込まれた」といい、倉内シェフもその人柄と腕に信頼を寄せていた。
店を任せるなら“レ・シューイズム”を理解している人にお願いしたい。
「自分に店を背負えるだろうか」との不安はあったが、それ以上に「思い入れのあるこの場所をなくしたくない」という気持ちが大きかった。
こうして地域に愛されてきた味は、新しい世代の手によって静かに、そして確かに受け継がれている。

店名を冠した王道たるシュークリーム。

創業当初からの看板商品であるシュークリーム「レ・シュー」はいわばお店の顔。
特徴はなんといってもサクサクのパイ生地と、華々しさを放ついちごだ。

実はシュークリームは「レ・シュー」の他に2種類ある。
ぽってり濃厚なカスタードを挟んだシンプルな「シュークリーム」と、中にミルキーなとろとろカスタードを絞ったまんまるの「クッキーシュー」。
異なる食感のシュー生地に合わせ、カスタードに使う卵やくちあたりを変えている。
お客さんそれぞれにお気に入りのシュークリームがあり、来客のおもてなしにと大量注文が入ることもあるのだそう。
いちご好きの私は迷わず「レ・シュー」。
粉糖と生クリームの白さに赤の差し色。ドレッシーな姿は何度見ても美しく、何度食べても飽きることがない。

春爛漫、気持ちのいい陽気に誘われてサロンスペースで小休憩。

ダブルの生地とダブルのクリーム!よくばりなシュークリーム(イラストあり)

illustration by まるやまひとみ

今回いただいたのは
●レ・シュー  ¥453(税込)
●HOTコーヒー  ¥297(税込/イートイン価格)

シュー生地をパイ生地で包んで焼き、カスタードと生クリームを絞った二層構造。
飾られたいちごは完熟の濃厚さがその色味からも伝わってくる。

サロンスペースでいただく際はお皿に乗せて提供してくれる。

奇をてらわずシンプルに素材が引き立つおいしさのバランス。
濃厚でありながら重たくないのは、カスタードと生クリームの絶妙な配合と生地の食感によるもの。

どことなく、おだやかな表情をしているように感じられる。

まずは頭にかぶったシューの帽子を取り、そびえ立つ生クリームをそっと乗せてみる。
シュー生地はくちに入れた瞬間しゅわっと溶けてしまった。生クリームのミルク感が静かに舌を覆う。
次は思い切って底までザクっとフォークを入れる。
繊細な生クリームに対し、弾力のあるまったりしたカスタード。くちの中でひとつになると、甘さやコクを高め合い、パイからほとばしる芳ばしさがひと味違ったくちあたりと旨味を作り出す。
ひとくちごとに異なるクリームのバランスと一体感のあるパイの軽やかさに、いちごの甘酸っぱさを足した時の幸福感たるや…

ケーキの味わいに寄り添うこだわりの一杯。

セルフサービスのコーヒーはテイクアウトもできる。
コーヒー豆は藤沢市にある自家焙煎コーヒーの店「LITTLE HOUSE」にお願いし、お店のケーキに合うよう焙煎してもらっているブラジル。
強すぎず、フルーティーすぎず。ショートケーキでもチョコレートケーキでも、どんなケーキにも馴染む安定した味だ。
バス停がお店の目の前にあるので、次のバスを待つ間のリラックスにも。

街と人と共に歩む店へ

これなくしてレ・シューは語れない!

どのケーキも「西鎌倉 レ・シュー」には欠かせないものだが、「レ・シュー」と並んで代表されるのが「にしかまプリン」。
プロ御用達という高品質卵「日光金乃卵(にっこうきんのらん)」が使われている。
卵黄は濃く、まろやかな甘み。仕上がりの色を鮮やかにするだけでなく、存在感が際立つ奥行きのある味わいに。

トッピングの生クリームですら沈んでしまいそう。

当時主流だった「固めのプリン」と真逆をいく「とろけるプリン」。
その革新的ななめらかさはひとくちで衝撃を与える。食べるというよりも飲むに近いかもしれない。
卵と乳の素材が前面に出る職人技の火加減。
固まるか固まらないかの境界線。一瞬でも見逃せば固体にも液体にもなってしまう。

したたるプリン。とけてなくなる儚さが記憶に残る。

しっかり甘く、バニラビーンズがリッチさを底上げ。
ほのかな苦味で風味を広げるカラメルソースと生クリームが混ざり合えば、このうえない幸せが訪れる。

受け継ぐのはレシピや味だけではない。
この場所でお菓子を作り続けるという意思そのものだ。
「ここにあってよかった」と言ってもらえるお店にすること。
思いを持って来店してくれた人たちに、全力の思いを返したいと話すシェフ。
時に新しさを追い求めながら、積み重ねを土台にして、次の一歩をつくっていく。
坂の途中にある「西鎌倉 レ・シュー」は、街に暮らす人たちの日常の途中にあるお店としていつでもあなたを待っている。

SHOP INFORMATION

SHOP 西鎌倉 レ・シュー(にしかまくら れ・しゅー)
WEB https://www.leschoux.co.jp
Instagram https://www.instagram.com/leschoux1996
ADDRESS 神奈川県鎌倉市西鎌倉1-1-10 (駐車場完備)
TEL 0467-31-5288
OPEN 10:00~18:00
CLOSE 水曜日

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