みなさんはどんなアイスがお好きですか?

バニラやチョコレートももちろん良いけど、ときどき、素朴な甘さも欲しくなるときが多くなり、ここ最近、あんこの深い甘さに魅了されてからは、「小倉アイス」を好んで食べるようになりました。

実は、発祥のお店が東京にあることを知り、今回取材依頼をしてお店を訪ねました。

100年以上の歴史を持つ、湯島の甘味処

地下鉄千代田線湯島駅から徒歩5分。小さなお店が立ち並ぶ商店街に見えて来たのは、小倉アイスと書かれた、赤いPOPが目を惹くお店「甘味処 みつばち」。

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「甘味処 みつばち」は、小倉アイス発祥のお店。明治42年に氷業をスタートした「甘味処 みつばち」。今年で108年目を迎えました。あんみつや氷菓など、季節に合わせた甘味を販売しています。甘味の持ち帰りはもちろん、店内奥の喫茶でゆっくりと過ごすこともできます。

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小倉アイスは102年と歴史が深く、湯島で長く愛され続けています。当初は平家の店舗だったため、席数も現在より3倍以上大きかったようです。

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喫茶スペースはゆったりとくつろげる雰囲気。座椅子には和柄を使用した布がひかれていて、のんびりと甘味を味わうことができます。

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今回注文したのは、みつばち定番の甘味「小倉アイス」。

みつばちの小倉アイスは、小豆と塩と砂糖と水のみで出来ている、至ってシンプルな構成。乳脂肪分0なので、舌触りはなめらかで軽い食感が特徴です。さっぱりとしているのに、小倉そのものの甘さが強く感じられます。

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小倉アイスは手のひらに収まるサイズ感。少し溶け始めた頃が、食べごろだそう。白玉や求肥などのトッピングも出来るため、好みにカスタムして楽しむのもおすすめです。

「小倉アイス」発祥の秘話

今回お話を伺ったのは、4代目店主の嶋田さん。小倉アイスが出来たきっかけや、こだわりを伺いました。

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嶋田氷業を営んでいた時期、氷に小豆を入れたものを「氷あずき」として販売していました。当時冷夏で余ってしまった小豆をもったいなく思い、たまたま購入したばかりのアイスクリームの製造機の中に氷と小豆を混ぜてみたところ、偶然「小倉アイス」ができたんです。

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当時はアイス自体が高価なものだったため、旧岩崎邸庭園に住んでいた方などが好んで召し上がるようになってから、徐々に庶民に広まっていったそう。

今でこそ小倉アイスはコンビニやスーパーでも購入できる身近なアイスですが、当時は貴重で珍しいものだったとは知らず、びっくりしました。

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持ち帰り用の小倉アイスは、最中(もなか)に挟まれた状態で販売されています。最中に挟むスタイルは、昭和時代から続いている食べ方とのこと。

嶋田当時は5人前サイズの大きな最中に小倉アイスを挟み、持ち帰り専用で販売していました。昔は家族も多かった時代なので、自宅でカットして大勢で食べて頂いていましたね。その後、喫茶がスタートした頃から徐々に一人前サイズの最中で販売するようになりました。

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現在は、大きいサイズの製造ができなくなってしまったそうです。家族皆で分け合って食べるのも、小倉アイスの楽しみ方の一つだったんですね。

素材は自家製にこだわる

みつばちの甘味は、素材にこだわってつくられています。

嶋田小倉アイスは100年前と変わらず、あずきと塩と砂糖と水でつくっています。最近はアレルギーを気にされる方が増えて素材を変えるお店もあると思いますが、みつばちの甘味は自家製にこだわってシンプルな素材のままつくり続けていますね。

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みつばちで使用されている餡子は、自家製のものを使用。北海道産の小豆を仕入れ、一つ一つ手作業で良いものだけを選りすぐってつくっているとのこと。

嶋田最近まで、自分のお店で餡子や寒天を作るのが普通だと思っていたんです。他のお店だとお店で手作りせずに企業から仕入れているところも多いと知って、驚きましたね。餡子の種類も、季節に応じて変えてつくっています。

小倉アイスと同じくらい人気の甘味が、小倉あんみつ。自家製の餡子や抹茶の求肥が添えられています。寒天は伊豆産、赤えんどう豆は北海道産と産地にもこだわってつくられたあんみつは、素材そのものの味わいが楽しめる通年で人気の甘味です。

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小倉あんみつが人気の秘密は、好みでかけられる自家製の黒蜜。店内で注文すると、好きなだけ黒蜜をかけることができます。

嶋田沖縄産の黒糖で出来た濃厚な黒蜜は、黒糖本来の甘さを味わうことができます。「蜜が美味しい」と言ってくださるお客さまも多く、持ち帰り用の黒蜜も販売しています。持ち帰り用のあんみつにも黒蜜が付いているので、ご自宅でバニラアイスなどにかけて食べてもおいしいですよ。

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黒蜜は黒糖本来の甘さがしっかりと感じられますが、あんみつに添えられた杏の酸味が効いているので、さっぱりとした口当たり。小倉アイスと合わさると、餡子の甘さがより引き立ちます。

たっぷりと黒蜜をかけて食べると、どろっとした黒蜜が寒天に絡まりさらに味わい深くなります。寒天は食物繊維なので体にも良く、黒蜜も好みで量を調整できるのもうれしいポイントです。

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湯島でこれからも愛され続けたい

来店されるお客さまは、年配の方やファミリー層、男性1人で来店される方も多いそうです。最近は外国人観光客のお客さまも多く来店されるようになったと、嶋田さんは話します。

嶋田最近は外国人のお客さまも多く、アジア系からヨーロッパの方まで幅広く来店されます。そういう方たちは、日本語を話せる方が多いので、こちらも安心して接客できています。湯島天満宮や上野などの観光スポットも近くにあるので、周辺の散策ついでにふらっと立ち寄れる場所です。

立地の良さや日本らしさを感じさせる街の雰囲気に魅了される人が多いことも、人気の理由なのかもしれません。抹茶やあんこは海外からも注目されているだけに、今後も観光客の方が増えていきそうです。

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昔ながらの味にこだわり続ける「甘味処 みつばち」。

100年以上経っても味を変えていないのは、素材の良さを大事にし続けるつくり手の思いがあるからこそなのだと感じました。

湯島の温かみのある街並みに溶け込みつつも歴史を築いてきたお店だからこそ、これからも長く訪れる人に寄り添い続けてくれると思います。

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ちなみに「甘味処 みつばち」は、通信販売も行っています。母の日や父の日、お中元にもおすすめです。ぜひ大事な人への贈り物に、小倉アイスを送られてみてはいかがでしょうか。

商品リスト
小倉アイス 400円
小倉あんみつ 670円

SHOP INFOMATION

NAME 甘味処 みつばち
URL http://mitsubachi.tokyo
ADDRESS 東京都文京区湯島3-38-10
TEL 03-3831-3083
OPEN 【平日】売店 : 11月~2月 11:00~21:00 / 3月~10月 10:00~21:00 | 喫茶 : 11月~2月 11:00~20:00 / 3月~10月 10:30~20:00 【土曜、日曜、祭日】売店 : 10:00~21:00 | 喫茶 : 10:30~20:00
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