“豆”と聞いたとき、あなたは何を思い浮かべますか?

私が真っ先に思い浮かぶのは、珈琲豆と黒豆。普段の生活では馴染みのない人も多いですよね。私自身も、豆はおいしくて身体に良いというイメージはありますが、身近にあるからこそ深く考えず口にしていた気がします。

年々食に関心の高くなる私が、おいしさに引き込まれてしまったお店。それが「カフエ マメヒコ」です。

豆を専門に扱うカフェと知り、おいしい珈琲を求めて三軒茶屋店に足を運んだ際のこと。隣の席に座っていたお客さまが注文したものは、珈琲ではなく「クロカン」。店内で寛いでいる多くのお客様は寒天の上に大粒の黒豆が乗ったクロカンをおいしそうに召し上がり、会話を楽しまれていました。

私自身も食べる人を笑顔にするクロカンに惹かれ、その場で注文したことを鮮明に覚えています。

そんな「カフエ マメヒコ」の魅力を伺うべく、本日は公園通り店に足を運びました。

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豆には普遍的なおいしさが詰まっている

渋谷駅から徒歩5分。Apple Store近くのビルを2階に登ると見えてくるのが『カフエ マメヒコ』。渋谷に2店舗、三軒茶屋に1店舗を構える人気のカフェです。

今回話をお聞きした場所は「カフエ マメヒコ 公園通り店」。陽の光が入り込む店内は開放感があり、渋谷の喧噪を忘れさせてくれるような心地良い空間です。公園通り店は9時からオープンしているので、朝食や珈琲をゆったりと楽しむことができます。

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今回お話を伺ったのは、日野沙織(ひの さおり)さん。変化を惜しまないマメヒコに惚れ込み、8年前に入社。今ではイベント運営なども手掛けています。

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マメヒコは、珈琲豆と乾物豆(小豆や大豆など)がメイン。店名であるマメヒコの”ヒコ”は、”コーヒー”を文字を逆さに読んで名付けたのだそう。テレビの制作ディレクターだったオーナーが、言葉を逆さにする業界用語から考えたユニークな店名です。

日野多くの人は“豆”と聞くと、カレーとか和菓子のイメージを持ちますよね?特に最近は、豆をあまり食べない方が多いし、小豆を煮るところから餡をつくるとなると時間が掛かりますから。ただ、豆って普遍的なおいしさがあると思っていて。「いつでも変わらずおいしく食べられるものはなんだろう」という思いから、オーナーの井川が“豆”をコンセプトにしたお店を2005年に三軒茶屋でオープンしました。

オープン当時から人気、黒豆と寒天でつくるクロカン

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オープン当時から販売し続けているのが、黒豆と寒天を使った「クロカン」。寒天は砂糖を入れず、寒天と水とゼラチンだけでつくられています。

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白玉クロカン 720円

甘さは煮詰めた黒豆ときび砂糖を使用したシロップのみなので、さらっとした口当たり。ツヤツヤと輝く大粒の黒豆は、豆本来の食感や風味が程よく感じられ、食べ終えた後の満足感もあります。

日野黒豆は3〜4日ほど炊いて、味を染み込ませています。レシピを決める上で素材をどう生かすかを大事にしていて。なんでもやりすぎないのが良いと思っています。

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寒天も白玉も、店内でつくられています。今年の夏から、白玉を乗せたクロカンを販売しはじめたところ、とても人気なんだそうです。

白玉は毎日つくられていて、注文が入ってから茹でています。白玉粉と豆腐のみでつくられた白玉は、時間が経っても硬くならずにモチモチッとした食感。砂糖不使用なのも、こだわりのポイントです。

日野黒豆などは日持ちさせようとすると、どうしても甘さを強くせざるをえません。。マメヒコは店内で食べてもらうのが前提なので、あえて甘さを抑えて仕上げているんです。甘すぎると食べている途中に疲れてしまいますからね。食べ初めは物足りないと感じる人もいるかも知れませんが、一皿丸々食べ終えたときに「あぁ、おいしかったな……」と心に染み入ってくるような仕上がりを目指しています。

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珈琲は札幌の「菊地珈琲」から

おいしいものへのこだわりは、珈琲にも共通しています。

日野珈琲豆は、札幌にある「菊地珈琲」から仕入れています。オーナーが北海道出身なので、馴染みのある土地なんです。たまたまおいしい珈琲とその焙煎士さんとの出逢いがきっかけで仕入れはじめました。オリジナルの豆をつくってもらったり、菊地珈琲でも飲める豆を仕入れて販売しています。

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珈琲はどの店舗も同じメニューで販売されています。味わい深い珈琲はラインナップも豊富なので、食事や気分に合わせて選ぶのがおすすめです。この時期は、毎年大人気の「秋煎り珈琲」が登場。中煎りくらいの珈琲豆を使い、すっきりした味わいと 飲みやすさが特徴です。

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自社農園で育てたマメヒコの豆

マメヒコで使用している豆は、北海道の千歳にある自社農園で全てつくられています。

日野北海道は、豆を育てやすい気候なんです。大豆や大納言あずき、貝豆や紫花豆といったお店で使う豆は自分たちで育てています。一から手を掛け育てることで、つくり手の思いも伝わりやすいですね。

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マメヒコでは定期的にお客さまにも豆撒きや収穫のお手伝いをしてもらう『ハタケの遠足』というイベントを開催しています。年間通して60人ほどの方が集まってくれるそう。

日野自分たちで生産から流通、消費まで一貫してやってみて、モノの成り立ちをお客さまにも知ってもらいたいと思ったんです。豆撒きも脱穀の作業も、手間ひまがかかります。私もはじめるまでは何も知らなかったですし、まだまだ知らないことがたくさんあります。自分が知らない分、お客さまもそうなんだろうなと思って。知って食べてもらうと、考え方や思いも変わってきますよね。消費のサイクルが早い時代だからこそ、なんでも一からやってみて、知っていくことの大切さを知ってもらいたいです。

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農園をやることで、連作障害や不作といった課題にも直面していると話す日野さん。仕入れているだけでは分からない部分を掘り下げて伝えていく機会が少ない時代だからこそ、食べ物という強みを生かして少しずつ広げていきたいと話してくれました。

おいしさを求めるから、配合も変え続ける

マメヒコで大事にしているのが『変化し続ける』という考え方。定番商品もスパンは特に決めずに、もっとおいしくならないかなと常に考え、豆の量や寒天の硬さを微妙に変えてきたそうです。

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「カフエ マメヒコ」の定番商品 円パン 380円

日野同じモノをつくり続けると、どこか業務的な作業になってしまいます。常によくしていきたいというオーナーの想いもあり、さらにおいしくできないかを考え続けています。昔から来てくださるお客さまは「また変わったのね」と言ってくださるんです。今年からはじめた「あんみつ」も人気があるので、クロカンと一緒に育てていきたいです。

今後は大きな変化だけでなく、定番商品を少しずつ育てていく過程も大事にしたいとのこと。秋は農園で採れたかぼちゃを使用したプリンや焼きリンゴなど、季節の定番商品も毎年つくり続けていく予定です。

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日野“おいしい”は、簡単で伝えやすい言葉ですよね。ただ、その言葉は溢れてしまっているので、おいしいの先をどうやって言葉で伝えていくのかが難しいですね。最近はSNSもはじめました。アカウントをカテゴリーごとに分けてマメヒコの良さを伝えることで、カフェマメヒコに興味を持つきっかけになれば、嬉しいです。

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遠くを見つめるのではなく、今ある道を突っ走ってきたと話す日野さん。何事にも『まず、やってみる』という想いが、マメヒコを支え続けている原点なのだと感じました。

日野カフェって、お客さまを取り込める範囲が広いんです。つまり、来る人を選ばないというか。テレビ業界出身ということもあるのか、テレビとどこか似ていると思ってカフエをやっています。マメヒコで、農園や音楽イベントをはじめるようになってきて、出会う世界が広がってきたように感じます。10年以上経ってやっと、目指していたものに近づいてきたと思いますね。

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変化を楽しみながら前に進み続ける『カフエ マメヒコ』。追求には終わりがないのではなく、追求を終わらせたくない。そんなパッションが感じられるお店です。

足を運ぶ度に、新しい発見や出逢いがきっとあるはずですよ。

商品リスト
白玉クロカン
720円