こんにちは、スイーツフォトグラファーの本多純です。

今回は、アーティストがお皿をキャンバスに見立てて造りあげた、アート作品のようなデザートを紹介します。

2016年春、新宿駅の南口に新しく開業した商業施設「NEWoMan(ニュウマン)」。そのエキソト(改札の外側に面した区画)に構えているデザートバーが『JANICE WONG(ジャニス・ウォン)』です。

2007年にシンガポールにデザートバーをオープンし、英国「ウィリアムリードビジネスメディア」主催「アジアベストレストラン50」にて2013年、2014年と2年連続アジアNo.1パティシエに選ばれた女性シェフ、ジャニス ウォンさんの名を冠したお店です。

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こちらのお店の大きな特徴は、「パティスリー」ではなく「デザートバー」であること。「アシェットデセール(皿盛りデザート)」と「お酒をメインとしたドリンク」のマリアージュを提供しています。

日本ではまだ馴染みがないですが、世界のレストランではデザートとお酒をペアリングさせて楽しむことは珍しくありません。

お店に入ったら早速、目の前に大きなバーカウンター、そしてたくさんのお酒のボトルが並んでいました。

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ジャニス ウォンさんは、女性アーティストとしても活躍されており、ファッションブランドとコラボレーションすることも。店内にはジャニス ウォンさんが描かれた絵が飾られていました。春の季節に合わせて「桜吹雪」をイメージした作品です。

季節に合わせて、デザートメニューや下記写真の絵を変えていくとのことで、味と店内の雰囲気の両方で四季の変化を楽しむことができそうです。

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この日本ならではの「四季」という要素も、シンガポール以外の国に出店する際に日本を選んだ大きな理由なのだそう。

日本には場所や季節によって様々な食材があり、同じ食材でも異なる味わいがあります。そのため、メニューは日本の食材で作ったデザートに日本のお酒をペアリングしたものを中心に構成されています。

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また、デザート「バー」ということで、カウンターごしに調理の様子を見ることができるのも、こちらのお店の大きな魅力のひとつです。お酒を片手に、注文したデザートがすぐ目の前で作られていくのを見て楽しむことができるのはとても贅沢ですね。

カウンタースタイルのお店にしたのは、見た目の演出のためだけではなく、「出来立ての瞬間を味わうレシピで作ったデザートを、すぐその場で食べてほしい」という思いを実現するためのものだそうです。

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私も今回、日本のシェフである河崎さんに目の前で作っていただきましたので、その様子をご覧ください!

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お皿の上に様々なパーツが盛り付けられ、組み合わさって、ひとつの作品が出来上がっていきます。

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機敏なのに繊細な動きに、思わず息を飲んで見入ってしまいます…。

デザート『Cassis Plum(カシスプラム)』 × お酒『モダン仙禽 2015 無濾過生原酒』

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冷たいカシスのパルフェで出来たボールの中に、ライスパフとエスプーマでふわふわにしたエルダーフラワー風味のヨーグルトを満たし、紫蘇梅酒のゼリーで蓋をします。

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周りにあしらわれているのは、紫蘇梅酒のグラニテ、カシスのゼリー、タケノコを醤油とみりんで煮たもの。

日本の春をイメージして作られたデザートだそうで、カシスとヨーグルトの酸味に、お酒の中では比較的甘めの日本酒をペアリングさせることで、とても爽やかで青々とした甘酸っぱさが口から鼻へと抜けていきます。桜色の見た目といい、春の息吹を味わっているかのような体験です。

デザート『Chocolate H2O(チョコレート H2O)』 × お酒『小笠原味醂”一子相傳”、エライジャクレイグ、レモンピール』

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こちらは、「チョコレートが食べたいけれど、太ってしまうのはイヤ」という女性のお客さまとの会話から生まれた、デザートバーならではの一皿。

チョコレートを50%、水を50%の配合で作られたチョコレートと水の冷たいムースに、塩キャラメルのソース、柚子のソルベを添えて。

ムースがとても柔らかくて、口に入れるとひんやりとした冷たさを感じた瞬間、すっと溶けていってしまいました。ここに、みりんで作られたカクテルを合わせると、キャラメルのような香ばしい余韻がいつまでも残り、低カロリーに作られたレシピなのにしっかりと満足感が得られる一皿に変化します。

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これらのレシピは、皿の上で表現したい色や味、食感のイメージを決めてから、それに合う食材や調理法を組み合わせて作られているのだそう。最初に食材ありきで、その魅力を引き出すように調理する日本料理によく見られるアプローチとは対照的で、表現したい世界観からレシピを考えていくのはアーティストならではのアプローチだと思いました。

また、女性シェフが手がけたレシピならではの見た目の美しさ、風味の繊細さ、まろやかさ、そして調和の世界は、女性のお客様の方がもっと感じていただけるものがあるのではないかと思いました。

うっとりしてしまう繊細な盛り付け、美しい色合い、口の中で多彩に広がっていく味わい、そしてアルコールドリンクとのペアリングを、ぜひ女子会などでゆっくりと楽しんでみてはいかがですか?

スイーツ撮影のワンポイント ②スイーツの持つ「ツヤ」を捉える

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チョコレート、ゼリー、ソース、フォンダン、飴細工など、スイーツにはツヤのあるパーツが多く使われています。そのパーツがきらめいた姿を写し込むことが、美しいスイーツフォトのポイントのひとつです。

太陽や照明から来た光が被写体に当たって、その反射光がレンズに入るように位置関係を取って撮影する…と、本来なら難しい物理の話が必要なのですが、もっとカジュアルに実践できる以下の方法をご紹介します。

① 窓際、もしくは照明の真下にスイーツを置く
窓際なら、スイーツの真横に光が当たっている方向で自分(カメラ)を位置取る

② カメラを前後・上下に動かして好きな高さ・角度で固定する(構図を決める)

③ お皿を回してスイーツの表面が一番きらめく角度を見つけて、撮影する

このときにカメラを動かさないのがポイント! 同時にあれこれ動かしてしまうと、何を調整しているのか混乱してしまうので、あくまでも被写体とカメラは順番にひとつずつ位置を決めていってください。

これから、日差しの強い季節になってきました。直射日光をスイーツに当てると、陰影が強く出すぎてスイーツの表面の微妙な表情が損なわれてしまいます(ものによっては溶けてしまうことも)。直射日光を避けるか、レースのカーテン越しで撮影するのがオススメです。