【クレープの日】街と人をやさしく見守る「NAGOMI CAFE(ナゴミカフェ)」
フードイラストレーター
まるやまひとみ
クレープは、子どもの頃から特別なおやつ。頑張ったときのご褒美、母の買い物を待つ間、ちょっと遠出をしたときに…。
あなたにとって、クレープの思い出はどんなものですか?
毎月9のつく日は「クレープの日」。より身近なおやつにしたいと制定されました。
童心にかえる、横浜の個性豊かなクレープをご紹介します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
横浜線・大口駅西口から徒歩5分。下町の風情が残る大口商店街を過ぎた先に、赤い壁とクマのぬいぐるみが目にとまる。
2004年に開店して以来、地元の人たちの憩いの場となっている「NAGOMI CAFE(ナゴミカフェ)」。
どの客層にも幅広い目的で利用してもらえるメニューと空間作りを心がけ、大人も子どもも気軽に立ち寄れるリラックスした時間を提供。
実直な店主の人柄が紡いできた縁がこのカフェの支えとなっている。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
お客さんに与える和みのひととき
外では大きなクマたちがベンチでくつろぎ中
白と赤の外壁にグリーンのオーニング、白いパラソルが立つ外観はどこかイタリアの街角のよう。非日常への入口を感じさせる。
やや曇りがちな昼下がり。屈託のないつぶらな瞳で見つめてくるクマのぬいぐるみに心はほっこり。
奥行きがあり、テーブル席も充実。
雑貨やインテリアが好きだという店主は、店内に四つの空間を作りたかったそう。
カラフルなアジアンテイストの席、レトロで落ち着く壁際の席、アメリカンテイストな中央席、おひとり様でも静かに過ごせるカウンター席と、座る位置で異なる世界観へと引き込まれる。
通路も広くベビーカーでも入店しやすい。明るい空間は会話を弾ませ、大人数での利用にも重宝される。
一つの型にはまらず、トライし続ける
しっかりとお腹を満たしてくれるボリューム満点のメニューが揃う。
店主は長年飲食業に携わり、腕を磨き、人脈を広げながら、コツコツとキャリアを積み重ねてきた。
一度飲食業から離れて別の職に就くが、心の中に膨らませてきた「いつか自分の店を持つ」という夢は静かに動き出す。
職場の同僚が、偶然にも閉店する店舗の引き渡し先を探していた。それを機に独立を決め、店をオープンすることに。
当時の大口エリアは、14時にはほとんどの飲食店が閉まり、家族でお茶をしたり、ディナーを食べたりできるお店が少なかったそう。
「14時以降でも気軽に立ち寄れる場所を」と考え、最初に力を入れたのはコーヒーやデザートの開発だった。
そしてランチにはパスタやハヤシライス、ディナーには大山鶏や自家製ローストビーフなど満足感のある料理を用意した。
「自分がおいしいと思ったものを作る」という気持ちから、一つの型にはまらず自由に提供できるカフェスタイルにこだわりを持つ。
新しいことも、とにかくやってみる。挑戦は自分自身の勉強だと店主は話す。
作る様子が外のガラス窓から見え、私もついつい見物。
人との縁も大切にしており、スタッフそれぞれの能力も活かしながら日々メニューに取り入れている。
クレープもそのひとつ。パティシエ経験のあるスタッフがいたことから、ミルクレープをアレンジしてオリジナルのクレープを考案した。
ベストなもっちり感にするため生地を半日休ませるのがポイント。
注文を受けてから焼き上げるため香りが濃厚に。アツアツの生地をサッと冷まし、手際よく飾りつけ。
クレープメニューでとくに人気なのはトッピングのカスタマイズだ。クリームにソース、フルーツ、さらにはシフォンケーキやミルフィーユまで多彩。
沖縄で人気のブルーシールアイスクリーム!
中でもブルーシールアイスクリームは外せない。定番6種類と季節のフレーバー。自分だけのオリジナルクレープが作れる夢いっぱいのメニューだ。
このカスタマイズクレープもおすすめだが、店内では店主が腕を振うプレートタイプのクレープもイチオシ。目でもおいしく感動させるプレートは、パーティーなどにも喜ばれる。
窓越しにできあがっていく様子に目を輝かせていると、心が通じたのか天気が回復し日が差し込んできた。一層高まるワクワクを抑えながら、ヨーロッパを彷彿させる素敵なテラス席へ。
白いプレートに映える華やかな盛り付けのクレープ(イラストあり)
illustration by まるやまひとみ
今回いただいたのは
●イチゴのクレーププレート ¥900(税込)
●ナゴミブレンドティー ¥580(税込)
鮮やかなイチゴとチョコレートソース、所々に散りばめられたイチゴソースがデコレーションされ、クレープに花を咲かせるひと皿。
写真以上のボリュームにびっくり!
クレーププレートのアイスクリームは好きなフレーバーをチョイスできるのが嬉しい。迷いに迷い、沖縄らしい「サトウキビ」に。
カスタマイズクレープのトッピングにある抹茶・あんこ・きなこといった和の食材とも合うようにとラインナップに入れている。こっくりとした甘さの「サトウキビ」は意外にもチョコレートと相性がよく、我ながらナイスチョイス!と自画自賛してしまう。
クレープ、イチゴ、チョコ、アイスとそれぞれの味を確かめつつ、ひと口ずつ組み合わせを変えながら食べ進めるのがこれまた楽しい。
もっとも贅沢なひと口。
クレープの中にもイチゴ。そしてたっぷりのホイップクリームとカスタードクリームが詰まっている。
生地からほんのりバニラの香り。繊細な薄さながらもしっかりとコクを感じる味わいで、生地だけでも旨味が感じられるほど。
素材をじっくり堪能したあとは、よくばりなひと口を求めて全ての素材を丁寧に重ねていく。
口からはみ出しそうになりながらも、リスのような頬にして食べるクレープについ笑みがこぼれる。
甘さで満たされた口内をイチゴの酸味が颯爽と駆け抜け、また次のひと口を誘う。
美しい花柄がエレガントなティータイムを演出。
カップ&ソーサーやシュガーポットと、器にまでセンスが光る。
「ナゴミブレンドティー」はティーポットで約3杯分。時間が経つのを忘れてくつろぐのに最適だ。
紅茶の専門店にブレンドしてもらっているオリジナルブレンドティーは、マリーゴールドなどの甘い香りとフルーティーな余韻。
ストレートで飲みやすく、クリーム系のスイーツとのペアリングはもちろん、食後の一杯にも癒しを与えてくれる。
どれを選んでもおいしく、どこに座っても和める場所に
外に面したテーブル席は、疲れた時に元気をくれそうだ。
店内はWi-Fiも完備。仕事をしたり本を読んだり、友人とおしゃべりしたり、会社帰りにふらっと立ち寄ってみたりー。
学校帰りの学生さんがテイクアウトしてクレープを楽しむ姿も。
幅広い目的で来店するお客さんそれぞれの過ごし方に寄り添い、いつどんな時も温かく迎え入れてくれる懐の深さが、胸の奥まで染み渡る。疲れた時、ほっと安らぐ居場所が近くにある安心感が地元の人たちの支えになっていることだろう。
オープンから21年。赤ちゃんだった子はハタチになり、2世代3世代と家族で来店してくれる喜びを「長く続けたからこそのご褒美」と噛み締めながら、これからも地域の一員として見守り続けたいという店主の優しい表情がなによりも心を和ませる。
次回は、帰りがけにおすすめしてもらったナポリタンを食べに行こう。
SHOP INFORMATION
| SHOP | NAGOMI CAFE(ナゴミカフェ) |
|---|---|
| WEBSITE | https://www.nagomi-yokohama.com |
| ADDRESS | 神奈川県横浜市神奈川区大口通122-16 エステートピア1階 |
| TEL | 045-433-7531 |
| OPEN | 【月~水・金曜日】 11:00~22:00(L.O.21:00) 【土曜日】11:00~22:00(L.O.21:30) 【日・祝日】 11:00~21:00(L.O.20:30) |
| CLOSE | 木曜日 |
人気の記事
-
【大丸東京店にオープン】建築×パティスリー。小住匡彦が描く“唯一無二のスイーツ建築”──「Masahiko Ozumi Paris(マサヒコ オズミ パリ)」東京初出店
CAKE.TOKYO編集部
-
【横浜・みなとみらい】限定新作メニューを紹介!「I’m donut?(アイムドーナツ?)横浜臨港パーク」「dacō(ダコー)横浜臨港パーク」横浜ティンバーワーフに同時オープン!
CAKE.TOKYO編集部
-
【渋谷・宮益坂】10月11日オープン!「I’m donut?宮益坂(アイムドーナツ?)」&平子シェフの新ブランド「Neo Nice Burger(ネオナイスバーガー)」が誕生
CAKE.TOKYO編集部
-
【2025年】駅ナカで手に入る!JR品川駅でおすすめのお土産5選!話題のスイーツをチェック
CAKE.TOKYO編集部
-
【東京・自由が丘】生ドーナツ専門店「I’m donut?(アイムドーナツ)」とベーカリーカフェ「dacō(ダコー)」が2025年8月30日ダブルオープン!
CAKE.TOKYO編集部
おすすめ記事
-
東京・大田区から届いた!噂の二度漬け!「ダブルリッチキャラメル!ポップコーン」はおいしい偶然から生まれた
CAKE.TOKYO編集部
-
【ひとくちのふうけい】山里で輝く、ひとくちの恵み──檜原村の「生はちみつ」
CAKE.TOKYO編集部
-
【京都・お取り寄せ】発酵バター香る和洋折衷もなか「果朋-KAHOU-」の「燦樂-sala-」
CAKE.TOKYO編集部
-
【お取り寄せ】空港で発見!ANAフーズの新食感スイーツ「フルーツを食べるチョコレート」
創り手を訪ねる取材ライター
Yui Ichihara
-
【お取り寄せ】おいしく食べれば、やさしさが広がる。京都「GOOD CACAO(グッドカカオ)」のおやつ
CAKE.TOKYO編集部



