【東京・目黒】店主の人柄がリピートを呼ぶ「zenta coffee(ゼンタコーヒー)」
フードイラストレーター
まるやまひとみ
JR「目黒駅」から歩いて5分ほど。大通りから一本入った静かな場所にお店を構える「zenta coffee(ゼンタコーヒー)」。
2022年から4年間、代官山のアートギャラリーに併設するカフェとして営業したのち、目黒に移転。独立したコーヒー店として再出発した。
派手な看板はない。それでも人が途切れないのは、この店が目的地になる理由を持っているからだろう。
コーヒーとスイーツ。そのどちらにも共通しているのは、味の奥につくり手のあたたかい心が感じられることだった。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
目次
メルボルンで育まれた“つながるカフェ”という原点
大通りから一本入った閑静な場所に佇む、印象的な白い外観
代官山では文化と人が交わる場所を提供してきた「zenta coffee」。オフィスや住宅、個人店が混在する目黒に拠点を移しても、街の風景にすっと入り込む雰囲気は今も同じだ。
過度な装飾を抑えたシンプルな空間
店内にはやわらかな自然光が差し込み、時間帯によって影の表情が変わる。席に座ると、不思議と時間の感覚がゆるむ。
オーナーの善太さんは、世界有数のコーヒー文化を持つメルボルンで、約4年間バリスタとしての経験を積んだ。
手際よくエスプレッソを抽出しながら、客と短い会話を交わす。そんな日常の積み重ねの中で、カフェは単に飲食を楽しむだけでなく、暮らしのリズムをつくる場所でもあると感じるようになったという。
「人と人が自然につながる空間をつくりたい」その理想を日本でかたちにしたのが「zenta coffee」だ。
人との関係性が溶け込んだコーヒーとスイーツ
ブレンドからシングルオリジンまで、幅広いコーヒー豆を取り揃えている
「zenta coffee」では、特定のロースターに限定せず、つながりのある全国各地のロースターからコーヒー豆を仕入れている。
産地による味わいの違いはもちろん、ロースターごとの焙煎による個性も楽しめる。訪れるタイミングによって異なる味に出会えるのも魅力だ。
何を飲むか迷ったときは、善太さんに相談すると、豊富なラインナップの中からおすすめの豆を提案してくれる。
できるだけ機械に頼らずに、自分の感覚を信じる
コーヒーに限らず、どのメニューも善太さんが実際に味わい厳選しているため、つくり手の想いや背景までもがおいしさのスパイスとして伝わってくる。
お店で提供されるスイーツを手がけるのは、信頼するパティシエのみうさん。
幼い頃からものづくりが好きだったというみうさんは、都内のカフェなどで経験を積んだ後、代官山の「zenta coffee」でスイーツ担当として働きはじめた。
「スイーツをつくるうえで大切にしているのは、主張しすぎないこと」。素材の風味や甘さをいかしながら、コーヒーと一緒に味わうことで、それぞれのおいしさが引き立つように仕上げている。
焼きたてのチーズケーキに、みうさんと私の「おいしそう!」の声が揃う
生地を混ぜ合わせる作業を自らの手で行うのは、日々わずかに異なる生地の状態を見極めるため。仕込みを行う様子は、まるで食材と会話をしているかのようだ。
代官山時代から人気の「チーズケーキ」は、目黒への移転を機にレシピを見直した「zenta coffee」いちおしの看板メニュー。
善太さんおすすめのペアリングは「カフェラテ」。コーヒーの濃さは「淡め」「濃いめ」から選べるため、今回は「濃いめ」をセレクト。
肌寒くなりはじめたこの時期にぴったりの、ほっとするひとときを堪能する。
ミルクのやさしさがとろけ合う、チーズケーキとカフェラテ(イラストあり)
illustration by まるやまひとみ
内側が大きくくぼんだタイプとは異なり、表面はなだらかな仕上がり。中心部に向かって、焼き色が美しいグラデーションを描いている。
「チーズケーキ」¥750(税込)/「カフェラテ(濃いめ)」 ¥850(税込)
バスクチーズケーキのようにこんがりと焼き上げた表面とは対照的に、断面はクリームチーズの白さが際立つ。
酸味がおだやかでミルク感のあるクリームチーズを選び、生クリームの脂肪分もやや控えめにしているそう。また、必要最低限の小麦粉と、空気を含ませすぎない混ぜ加減で、独特のなめらかさに仕上げている。
なめらかな先端と少しかための外側を交互に楽しみたくなる
フォークを入れると少し崩れるほどにやわらかく、くちに入れるとしっとりとろける。上質なコクと落ち着いた甘みのなかに、焼き目のほろ苦さがアクセントを添える。なめらかな中心部と表面のビターな味わいとの違いも楽しい。
後味に残るミルキーな風味をほのかな酸味が引き締めたところで、カフェラテをくちに含む。
フラットな表面ときめ細かなフォームが美しい
コーヒーの凝縮した旨味。芯のあるエスプレッソにミルクのまろやかさが重なり、ひとくち目から一体感を味わえる。
ミルクのクセはなく、鼻に抜けるほろ苦い香りが余韻を残す。そのおいしさを生む鍵は、エスプレッソとミルクが交わる瞬間にあるという。
芸術的な手捌きにくぎ付け
味が決まるのは、エスプレッソにミルクフォームを注ぐ最初の一手。手の動きだけで均一にまとめ上げ、コーヒーの香ばしさとミルクの甘い香りを引き出していく。
濃厚なチーズケーキと合わせても、カフェラテのまろやかさがくちの中を心地よく整え、次のひとくちへと誘う。
お互いに、“どちらかだけのおいしさ”ではなく、“コーヒーと一緒に味わうおいしさ”まで考えてつくられているからだろう。
気持ちをゆるめたいときや、気分を切り替えたいときにもぴったりなペアリングだ。
目指しているのは、この先10年愛されるお店
お店を出るときは「いってらっしゃい」と明るく送り出してくれる
目黒に場所を移しても、「人と人が交わる場所」にしたいという想いは変わらない。
会話を楽しんでも、一人で静かに過ごしてもいい。オーナーのさりげないコミュニケーションが、居心地のよさを生み出している。
目指すのは、10年後も目黒の街に愛されるコーヒー屋。
その理想をそっと胸に抱きながら、今日も人と人をつなぐ一杯を届けている。
SHOP INFORMATION
| ショップ | zenta coffee(ゼンタコーヒー) |
|---|---|
| SNS | https://www.instagram.com/zentacoffee |
| 住所 | 東京都品川区上大崎3-5-18 モンテリラ目黒1階 |
| 営業時間 | 月・金・土 10:00〜21:00/火・木・日・祝日 10:00〜18:00 |
| 定休日 | 水 |
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