こんにちは、CAKE.TOKYO編集部の名和です。月曜日からまいにちパンを1枚ずつ食べて一週間を過ごしていくと、なんだか1日1歩ずつ前へすすめるような気がします。

今回、取材した「うぐいすと穀雨」は、雑司が谷徒歩3分にあるパン屋さん。「tour/”>第10回東京蚤の市」に11月19・20日に出店予定です。「うぐいすと穀雨」という名前を見たとき、どこか遠い場所においてきた忘れてものを思い出したような、不思議な気持ちになりました。今日はお店で、鈴木菜々さんにパンとお店のお話を伺いました。

まいにち食べたいパンのある風景

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鈴木さんのつくるパンの特徴を教えてください。

鈴木時間をかけて丁寧に発酵させることで、小麦本来の甘みや香りを引き出すことができるんです。何かを加えて味を作るのではなく、なるべく塩分や糖分を控えて、手間がかかってでもいい味がでる製法を採用しています。

まずは生地自体にこだわりを持ってつくられているんですね。

鈴木うちでは、5種類の生地を使いわけてパンをつくっています。それぞれ小麦の配合をかえて、試行錯誤のうえ完成したものです。

いっぱいつくれないけど、ほんとうに自分がおいしいと思う味、かたちで、お客さまに楽しんでもらえるものを作っています。時間かけてゆっくりやる、というのもわたしのテーマにあっていますかね。

鈴木さんのパンは、当たりまえの日常が愛おしくなるパンだなぁと思いました。

店内ではセットも。空間ごと五感でいただきます

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【まいにちトーストのセット(700円)】
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【本日ケーキのセット(700円)】

鈴木珈琲は川越にある「Tango」にオリジナルブレンドをつくってもらいました。さっぱりとした口当たりで、小麦の繊細な甘さや香りをひきたてます。

「まいにち」は本当に毎日食べたいくらい、やさしい小麦の味わいを楽しめますね。そして「ウィークエンド・シトロン」は甘さ控えめですが、しっかり皮の残ったレモンジャムのほろ苦さが絶妙にマッチして、ぺろりと食べてしまいます。とても生命力のある味がしました。

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東京蚤の市で買えるパンはどれですか?

鈴木まいにち、あんぱん、ウィークエンド・シトロン、スコーン、ジャム、そして先行販売分のシュトレンとイベント限定のクッキーを持っていく予定です!

まいにちとあんぱんは定番商品ですが、お店での取材時に見ていると、次々と売れていく人気者でした。東京蚤の市で見つけたらラッキーかもしれません。

「うぐいすと穀雨」のパンができるまで

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鈴木さんがパンの道に進むまでのことを聞かせてください。

鈴木高校生からパティシエになるのが夢で、独学していました。大学では写真を勉強しながら洋菓子づくりもやっていましたよ。卒業後はもともと身体が弱かったのもあって、治療と療養に1年を費やしました。

ご病気だったんですね。

鈴木治療中は食べること辛い時期もありました。だから食べることって特別で、普段忘れちゃうんですけど、食べられない時期があると、より”おいしいな”って思う瞬間があって。

健康で、ごはんがおいしくて…当たり前になると、その大切さを忘れてしまいがちですね。

鈴木この時期があったことで、生きていくことにより目を向けられたし、私が感じた大切なことを、自分なりに伝えたいという気持ちが生まれましたね。その頃から、特別な時に食べるお菓子も好きだけど、もっと日常的なものをつくりたいと思ったんです。

完治されてからは飲食の仕事に就かれたのですか?

鈴木はい。お店を持つことを目標に、技術を身につけたくて色々なお店で働きました。パンを作ることがあって、感覚的にこれだ!と思ったんです。それから、パンの道でプロフェッショナルになろうと決心しました。

パン屋さんでも働かれていたのですか?

鈴木はい。表参道の「はいいろオオカミ+花屋西別府商店のお店も表参道にあるので、なるべくしてそうなったとも思えますね。

時の流れを慈しむ場所

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【売り物ではなかったけれど、特別に譲ってもらった椅子】

鈴木さんの想いが、しっくり感じられる空間ですね。お店づくりはどうやってされたのですか?

鈴木お店を持つと決心した翌日、お店づくりの参考に客さんとして「はいいろオオカミ+花屋西別府商店」に訪問したんです。「お店つくりたいけど誰に何を頼めば良いか何もわからない」と話したら、とんとん拍子にことが進んじゃって。

お店をひらくと決めた次の日に!それはまた急なお話ですね。

鈴木そうなんです。でも、目指していた空間にイメージがぴったりで、これはきっとそういう”流れ”がきているんだ、と感じました。あとは勢いですね(笑)。

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お店の名前「うぐいすと穀雨」の由来はなんですか?

鈴木日本の旧暦を紹介する本を読んで、見つけた言葉なんですよ。”穀雨”は春に降る雨の名前で、夏に穀物がぐんぐん育つために必要な”恵みの雨”になります。食べ物って人にとって恵みの雨とも言えますし、絶対にお店の名前にいれようと考えていました。

鈴木“うぐいす”は2月はじめ頃に”春がくる”という意味合いで”うぐいす鳴く”という言葉があります。ふたつの言葉を組み合わせることで、春がきてまた夏を迎えるような、時の流れを感じてもらえたらと。

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”時の流れ”がテーマになっているんですね。

時間が流れて古くなったり、人間だったら歳を取ることを嫌うのではなく、楽しめるような場所にしたいと思っていて。例えば椅子やテーブルは古道具で揃えたり、植物を飾っていますが、季節を感じるだけでなく、枯れて葉が落ちていくところも景色として見てもらえます。

大切な忘れものが見つかる場所で

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「当たりまえに食事ができて、しかもそれがおいしかったり、誰かと一緒に食べられたり、行きたい場所に行けることって、ほんとはすごく幸せでありがたいこと」…鈴木さんの言葉をかみしめながら、トーストをかじる。わたしたちを包む、あたりまえの幸せを思い出して、心がじんわりしました。