箱の中に並ぶ、つややかに輝く宝石のような「かのこ」
透き通るようにつややかな寒天に包まれ、箱の中にきれいに鎮座する、小さな「かのこ」たち。「銀座 鹿乃子」でも人気の「姫かのこ」は、5種類のかのこの詰め合わせだ。
どれにしようかな……。迷いながら、右上の「うずらかのこ」を手に取り、ひと口ぱくり。
ふっくらと炊き上げられた豆がほろっとくずれたかと思うと、次にきめ細かで甘さ控えめな餡、そしてなめらかな舌触りの求肥と、次々と和菓子特有のやさしい甘さと柔らかい食感が口の中いっぱいに広がり、思わず顔がほころぶ。
「かのこ」とは、和菓子の種類のひとつ。餅や求肥、羊羹などを芯として、それを餡で包んで餡玉を作り、豆の蜜漬けを外側に隙間なくつけて完成する。江戸時代に歌舞伎役者の嵐音八の実家、日本橋人形町のエビス屋で売り出されたことがきっかけで全国に広まった。豆が隙間なく並ぶ様子が鹿の背中の斑点を思わせることから、この名がついたのだそう。
職人の手で作り出される、極上の和菓子
銀座にお店を構えて約70年になる「銀座 鹿乃子」。看板商品であり、銀座の銘菓ともいえる「かのこ」は、材料や構造を見るととてもシンプルだ。
「だからこそ人の目で見て、できるだけ大きく良質な豆を選りすぐります。かのこは豆が命なんです。誕生当時から北海道産の豆を使い、柔らかくかつ見た目にもきれいに炊くために、釜には職人がつきっきりです。これは今も昔も変わりません。機械や圧力釜も使わずに、一釜ずつ職人の目で確認し、指で触れながら炊き上げます。」そう話すのは、三代目社長の小川敦弘さん。
「かのこ」に使われる豆やそれを引き立てる餡の種類はさまざまだが、「銀座 鹿乃子」では6種類。
栗と黄味餡の「栗かのこ」
大納言と黒糖風味の赤餡(こしあん)の「小倉かのこ」
青えんどうと抹茶餡の「鶯かのこ」
大福豆と和糖の香りをつけた白餡の「京かのこ」
虎豆と赤餡の「しぼりかのこ」
大正金時と塩餡の「うずらかのこ」
それぞれの豆と、一番相性の良い餡を組み合わせている。
「銀座 鹿乃子」が、この「かのこ」をオリジナル銘菓として販売したのは昭和30年頃。当時は大きめのかのこを詰め合わせた「花かのこ」のみだったが、しばらくして女性が食べやすいサイズのものをとひとまわり小さなサイズの「姫かのこ」が誕生した。
「かのこ」と同時にできた「元祖 鹿乃子あんみつ」(520円+税)も大人気の商品だ。喫茶でも食べられるそう。
向田邦子さんや田中真紀子さんなど著名人も大好きだという「かのこ」。鹿の子柄のキュートな化粧箱入りは、年末年始のおもたせにも喜ばれそうだ。
SHOP INFOMATION
NAME | 銀座 鹿乃子 |
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URL | http://homepage3.nifty.com/kanoko/ |
ADDRESS | 東京都中央区銀座5-7-19 |
TEL | 03-3572-0013 | OPEN | - |
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