こんにちは。鹿児島在住の和菓子女子、せせなおこ(@s_nao25)です。
福岡・博多のお土産菓子といえばやっぱり「博多通りもん」ではないでしょうか。
2017年 4月21日〜5月14日に行われた、第27回全国菓子大博覧会・三重でも売り上げ第1位に輝きました。こんなに人気になったひみつを知りたい!
鹿児島を飛び出して、私の地元・福岡に取材に行ってきました。
数ある明月堂の店舗の中で、唯一の路面店である川端店は、地下鉄中洲川端駅から徒歩7分、上川端商店街の中にあります。今回は店長の秋野さんにお話を伺いました。
まず明月堂の歴史を教えてください。
秋野はい。明月堂は1929年に創業しました。創業者である秋丸祐一郎の誕生日が中秋の名月だったことから、「明月堂」と名づけました。製造卸売りで成功をおさめていましたが、「製造だけでなく、直接お客さまの笑顔を見ながら販売したい」という思いから、昭和9年に現在の川端店の場所に店を構えました。
路面店としてはここ川端店1店舗のみ。何か理由があるのでしょうか?
秋野創業当初からあるこの店舗だけは残したと聞いています。このお店は昔からの常連さんも多く、販売員の私たちが逆にお店やこの街の歴史を教えていただくこともあります。常連のお客さまには、昔からの商品であるどら焼や丸ぼうろ、カステラが人気です。
明月堂のコンセプトは「博多西洋和菓子」
秋野戦後は“カステラの明月堂”と呼ばれるほど、カステラが看板商品でした。幻の名菓と呼ばれる「明月饅頭」や初代「博多じまん」というお饅頭も大人気。
しかし、新幹線の開通を機にカステラの老舗や有名和菓子店の博多進出により、売れ行きが伸び悩んだのだそうです。
創業より50年余りにして転換期が訪れます。1985年頃「西洋和菓子」のコンセプトを打ち出し、次々と新商品を発表。しかし、ヒット作はなかなか生まれませんでした。
そんななか、先代社長、秋丸卓也さんは常連のお客さまからの「饅頭が食べたい」という声に対し、検討の余地を見せなかったそう。普段は真摯にお客さまの声を聞く社長がどうしたんだろう…、と従業員も驚いたんだとか。
秋野当時社長は「福岡にはすでに全国でも屈指の饅頭がある。安易なお菓子づくりに向かいたくない。明月堂の大ヒット饅頭『博多じまん』の復活は、一時的には喜ばれるだろうが結果的にお客さまの満足を得ることはできない」と思っていたそうです。ただ、あまりにも多くのお客さまの要望に腰を上げたみたいです。
本当に「博多じまん」や「明月饅頭」が求められるのか。今の若者にどんなお菓子が支持されているのか。さらに、日本中の有名な饅頭を徹底的に調べたそうです。
そこで、以下の3つの条件を掲げ、“まだ誰も食べたことのない饅頭づくり”を始めました。
1.日本中どこにもない饅頭を開発すること。
2.日にちが経つほどにおいしくなる饅頭をつくること。
3.材料はできうる限りの最高のものを使うこと。
傑作まんじゅう「博多通りもん」の完成!
秋野通りもんの原材料で主なものは、いんげん豆、砂糖、小麦粉、バター、卵、生クリームなど。
材料には徹底的にこだわり、焼き時間、気温や湿度、熟成時間を見極め、同じ材料を使っても真似できない特別なお饅頭を目指しました。何度も何度も試作を繰り返し、ようやく完成したのが「博多通りもん」です。
「通りもん」の名前の由来を教えてください。
秋野明月堂の商品は博多にちなんだネーミングが多くあります。
「通りもん」は、毎年5月3〜4日に行われる博多を代表する祭り「博多どんたく」でカラフルな衣装を身にまとい、街を練り歩く人々のことを言います。もともと、博多どんたくとは当時のオランダ語の休日、「ゾンターク」からきています。(※博多どんたく:室町時代に始まった領主への年賀行事「博多松囃子(まつばやし)」を原型とする祭り)
しっとりした生地で、ミルクの香りのする餡が包まれたお饅頭はまさに通りもんの名にぴったりということで、「博多通りもん」と名付けられました。さらに、できたてはもちろん、時間が経つほどおいしくなる、これは傑作だ、ということから傑作まんじゅう「博多通りもん」となりました。
オススメの食べ方はありますか?
秋野冷蔵庫で冷やすのはもちろん、実は冷凍してもあんこが固まらないんです。
また、お饅頭でありながら、洋風仕立てなので緑茶だけでなく、牛乳やコーヒー、何にでも合うのでお好みの食べ方で楽しんでもらえればと思います。
博多のお土産の定番商品として、駅や空港でもよく見かけます。これほどまでに人気になった理由は何でしょう?
秋野ひとつは、福岡・博多にしかないということだと思います。そして、販売員も皆さんに知ってほしいという思いがあり、ただ接客するだけではなく、用途をお聞きしたり、ご旅行ですか?など、会話を大事にしていることかなと。
通りもんをきっかけにお店に入っていただく方が多いのですが、その他の商品を知っていただくために、販売員からのアプローチはもちろん、お客さまのご要望にも耳を傾けることを心がけています。
最後に、今後はどんなお菓子屋さんを目指しますか?
秋野 「博多通りもん」はもちろん、他にもおいしい商品がたくさんあります。福岡を代表するお菓子として、より多くの人に知っていただけたら嬉しいです。
独創性にあふれた、特別なおまんじゅう、「博多通りもん」。人気を集める理由がわかった気がします。秋野さん、ありがとうございました!
SHOP INFOMATION
NAME | 明月堂 川端店 |
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URL | http://www.meigetsudo.co.jp/ |
ADDRESS | 福岡県福岡市博多区上川端町5-104 |
TEL | 092-281-1058 | OPEN | 9:30〜20:00 |
CLOSE | - |
※他、臨時休業する場合があります