【ショートケーキの日】文明開花を象徴するレトロな空間「馬車道十番館」
フードイラストレーター
まるやまひとみ
カレンダーを見ると22日の上に15日(苺)が乗っていることから、毎月22日はショートケーキの日に制定されました。
白いクリームに黄色いスポンジ。そして真っ赤な苺。
いつの時代も変わらず私たちに幸せをもたらしてくれる日本のショートケーキ。
あなたにおすすめしたい、横浜の素敵なショートケーキをご紹介します。
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昭和42年に老舗とんかつ店「勝烈庵」の十番目の店として建てられた「山手十番館」。
その3年後に開館したのが、5階建てのレンガ造りが印象的な「馬車道十番館」だ。
当時の文化を残し、変わらぬ味と佇まいで横浜の歴史を継承している。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
目次
モノを大切に。経年変化も味わいとして
馬車道十番館は明治時代の建築様式で造られている。
地名「馬車道」は、かつて馬車の発着所があったことに由来する。
店の外には牛馬の給水場も残されており、電話ボックスやガス灯のレプリカも。
扉を開けると、一気にタイムスリップしたかのような空間へと導かれる。
2階に吹き抜ける高い天井。ステンドグラスは昼間の日差しが1番美しいそう。
1階は西洋菓子の販売と喫茶室、2階が英国風酒場、3階がレストラン、さらに上には披露宴などにも使える宴会場がある。
どの階も趣があり、開港当時に戻ったかのような気分に。
各階には歴史ある貴重な品が飾られ、馬車道十番館のために作られた照明器具やグラスも大切に維持されている。
優雅なひとときを演出するレストラン。テーブルに飾られた一輪の花がゲストを和ませる。
落ち着いたトーンで心安らぐ空間。家具や食器、内装も、少しずつ手直しを加えながら伝統を受け継ぐ。
色褪せてゆく姿もまた愛おしく、新しいものに変えるのではなく、長い歴史がなければ見られない独特の風合いを大切に残している。
日常からの解放感。それこそが喫茶の役割り。
王道から季節のもの、色や形など、見た瞬間に惹き付けられる
ショートケーキやプリンなど、創業時から変わらぬ形が時を超えて愛され続ける理由のひとつは、横浜を離れた人が、数年後、数十年後に帰ってきた時に昔を思い出せるようにという思いから。
赤レンガをイメージした四角いプリンや、ガス灯が描かれたティラミスなど、誰かの懐かしい記憶に呼びかける馬車道十番館ならではの味。
フルーツには横浜産を使用することもあるといい、今もなお地元の美味しさを探求し続けている。
とくにショートケーキのビジュアルには苺が必須。
その時々のおいしい苺が、訪れる人々に希望を与えてくれる。
夢と憧れが詰まった馬車道十番館のショートケーキ(イラストあり)
illustration by まるやまひとみ
今回いただいたのは
●ショートケーキ ¥726(税込)
●馬車道十番館オリジナルブレンドコーヒー ¥803(税込)
創業時から変わらないという円形のショートケーキは、1人でホールケーキを楽しんでほしいとの思いから誕生した。
型抜きしたスポンジに苺のスライスと生クリームを重ね、ホールケーキをそのまま小さくしたような形に。
ツンツンと立った2個の苺が、ローソクに灯る炎を思わせ、つい息を吹きかけそうになる。
1個は最初に、1個は最後に食べよう。
1つのショートケーキに2個も苺が乗っているなんてとても豪華。
フィルムをはがすドキドキ感。フィルムについたクリームはもちろんすくい取って。
高価なデコレーションケーキはなかなか手が出せない。
それでも喫茶室に訪れた人が、非日常の中で自分だけの特別な時間を過ごせるようにと考えられたショートケーキ。たっぷりの生クリームは贅沢の証。
スポンジはほろりとやさしく、苺の断面から染み出た果汁をしっとりと吸い込む。極上の柔らかさはスプーンですくえそうなほど。
ひとすくいするごとにもりもりと溢れてくるクリームに、自然と顔がにんまりしてしまう。
口の中がまったりとしてきたところで苺がぷちんと弾け、じゅわっと広がる甘酸っぱさで最後まで飽きがこない。
お客様の目の前で注がれるコーヒー。
馬車道十番館オリジナルブレンドコーヒーには、コーヒークリームとホイップクリームが付いてくるのが特徴。
カフェオレのようにしたり、ウインナーコーヒーのようにしたりと、自由に組み合わせを楽しめる。
コーヒーはほのかな酸味を持ち、鮮明でクリアな味わい。クリームを加えることでマイルドな味わいに変わり、やさしいテイストが楽しめる。
ケーキのクリームよりも脂肪分が少なく、新鮮な生クリームなのでさっぱりといただける。砂糖を加えればデザートのようにも。
白い食器についたガス灯のマークが上品で愛らしい。
これを選べば間違いない!信頼のおける横浜銘菓
ガス灯の名がついたギフトボックス。
馬車道十番館といえば「ビスカウト」が思い浮かぶ人も多いだろう。
サクサクのビスケットにレモン、チョコ、ピーナッツのクリームが挟まれたリッチなお菓子。
横浜銘菓としても定番で、急な出張などで手土産が必要になった時は「馬車道十番館のお菓子なら安心」と選ばれる方も多いのだとか。
ビスカウトのほかにも、マドレーヌやクッキーなどの焼き菓子があり、詰め合わせのギフトボックスを一箱購入すれば、馬車道十番館の味を満喫できる。
食べ終わったあとの缶にまたビスカウトを詰め込みたい。
2022年に新たに登場したハーフサイズの「ミニビスカウト」は、フレーバーやおいしさはそのままに、空と海をイメージした缶に収められている。
カップのソーサーに添えたくなるような大きさが食べやすいと好評だ。
西洋菓子コーナーでは曜日限定でパンの販売もあり、狙って訪れるお客様も多い。
パンを使ったメニューは、喫茶室やレストランでも食べることができる。とくに喫茶室のモーニングは大人気。
おかえりと言ってくれるような安心感がここにある。
コーヒーに映り込むステンドグラスが幻想的。
忙しない日々から解き放たれ、甘い時間に満たされるひととき。
どのテーブルに座っても、私だけの特等席にいるようなリラックス感。
子供の頃に訪れた人が大人になって再び足を運んだり、横浜を離れてしまってもまた帰って来たくなる場所であり続けるために。
風情ある横浜を象徴する洋館で、お客様の想いに寄り添っている。
SHOP INFORMATION
SHOP | 馬車道十番館 |
---|---|
WEBSITE | https://www.yokohama-jyubankan.co.jp |
ADDRESS | 神奈川県横浜市中区常盤町5‒67 |
TEL | 045‒651‒2621 |
OPEN | レストラン 11:30~21:00(土日祝11:00~21:00) 喫茶・売店 10:00~22:00 バー 金土月16:00~23:00日16:00~22:00 |
CLOSE | 無休 |
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