【横浜・元町】ビルの奥で静かに輝く不動の星「Polaris coffee(ポラリスコーヒー)」


フードイラストレーター
まるやまひとみ
西洋の雰囲気漂う横浜・元町ショッピングストリート。
その中ほどにある古い雑居ビルの2階に、2025年3月、バリスタが淹れるスペシャルティコーヒーと自家製スイーツが堪能できるカフェ「Polaris coffee(ポラリスコーヒー)」がオープン。
モーニングから仕事帰りの一杯まで、ここにしかないとっておきのコーヒー時間が待っている。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
コンセプトは「コーヒーをもっと自由に」

扉の向こうは洗練されたシンプルな空間。
不思議な引力に惹きつけられ階段をのぼっていく。看板の北斗七星、白い扉にモノトーンの店内。
通りの喧騒はどこへやら、静かで落ち着いた雰囲気に吸い寄せられる。「Polaris coffee」という店名はこの場所への出店が決まってから名付けたのだそう。

ブルーのカウンターが空間に深みを与える。
日本語で北極星を意味する「Polaris(ポラリス)」。北極星は地球から見るとほとんど動かないように見えるため、昔の人々は北の方角を知る目印としていた。
横浜元町は老舗のブランドショップやレストランが多く、訪れる人の年齢層はやや高め。自身がカフェや街歩きを楽しんだように、若い人たちが訪れたくなる目印になるようにとの想いが秘められている。
席間隔は広く取られていて快適な動線。ソファ席もあり、ワンちゃん連れもOKとのこと。ペットにやさしい街としても知られる元町で、愛犬と散歩に訪れた際に立ち寄れる場所はとてもありがたい。

中央の席からはさりげなく飾られた星の写真を眺められる。
コーヒーの価値観を変え、楽しみを広げたい

ORIGAMI dripperに美しく重ねられたペーパーフィルターに思わず拍手。
注文ごとに一杯ずつ淹れるハンドドリップコーヒー、エスプレッソ、コーヒーをベースにしたアレンジコーヒーなど、気になるドリンクメニューが多数。
コーヒー豆は常時6〜7種類が揃い、フレーバーの説明が丁寧に書かれた紙が用意されている。どれを選んだらいいかわからない時は店主に聞くと、好みに沿ったコーヒー豆や食べたいスイーツにどんなコーヒーを合わせたらいいかなどを的確にアドバイス。お気に入りの一杯が見つかる手助けをしてくれる。

コーヒー豆のラインナップは2種類のブレンドと時期によって変わるシングルオリジン。
ご両親の影響で10代半ばからすでにコーヒーに親しんでいたという店主。横浜生まれということもあり、学生時代は度々元町に遊びに来ていた。その途中でカフェに立ち寄り、コーヒーやラテを飲むのが楽しみのひとつだったそう。自宅でも少しずつこだわるようになり、いつかコーヒー屋をやりたいとの夢を持つ。
当時菓子メーカーに勤務していたが、お客さんの声を直接聞けないことが気がかりになっていた。自らが生み出したものでお客さんに喜んでほしい。
在職しながらコーヒーのスクールに通い、知識と技術を高め、バリスタとしての資格を取得。卒業に合わせて退職し、念願のカフェをオープンした。

独自にレシピを考え、試行錯誤したというスイーツ。
コーヒーの引き立て役としてスイーツにも力を注ぐ。目指す味になるまで繰り返し試作をし、納得がいくまで作った。
食感、口当たり。組み合わせるコーヒーによっていろいろな表情になる。チーズケーキやプリンなど定番の人気者が揃う中、唯一無二といえるフレンチトーストが存在するという。
そんな究極のペアリングスイーツがこちらだ。
まるで星の輝き!黄金色のフレンチパウンドケーキ(イラストあり)

illustration by まるやまひとみ
今回いただいたのは
●フレンチパウンドケーキ(バニラアイス付) ¥900(税込)
●ポラリスブレンド ¥600(税込)
店主が一から作り上げたオリジナルのデザートメニュー。
パウンドケーキはフレンチトースト専用に作られたもので、卵液に浸しても崩れないようどっしりとした仕上がりになっている。
粉の配合にこだわることでキメ細かく硬さのある生地に。パウンドケーキ単体でもおいしそうだが、「パウンドケーキとして出すならそれだけでおいしいものに仕上げたい」と店主。お菓子作りも決して手を抜かない。「フレンチパウンドケーキ」はハーフサイズもあるので、食後のデザートや小腹が空いた時にも。

見た目は完全にフレンチトースト!
白い器に映える黄金色の焼き目。その上に舞う粉糖はまるで天の川のよう。色味からも伝わる卵の濃厚感にそそられる。
ナイフの刃先がカリッとした表面に触れたあと、ほどけるように切れていく。パウンドケーキは口溶けをよくするため砂糖をしっかり使い、その分卵液の甘さを抑えてバランスをとっているそう。
気泡のひとつつひとつにまで染み渡った卵液が噛んだ瞬間に溢れ出し、心地よい甘さが芳醇な香りをまとって喉を通っていく。こんなにも濃厚なのに、粉の質感がはっきりとしているため驚くほど軽い。
パンとは違う歯切れのよさと、ホクホク、ホワホワ、な食感が楽しく、パウンドケーキならではの旨味が幸福感を倍増させる。

メープルシロップの流れに沿って溶け落ちるバニラアイスに幸せのため息が漏れる。
少し食べたところでバニラアイスとメープルシロップをからめれば、ミルキーな風味と甘味が加わることによりコクが増して味も膨らむ。
じゅわんととろける食感、卵と甘さの余韻。なんともいえぬ満たされた気持ちになる。
ここにコーヒーを挟む。この瞬間がコーヒー好きにはたまらないのだ。

口元がそり返ったカップの形状がコーヒーの香りを広げてくれる。
豆によって抽出の仕方を変え、豆の個性を引き出したハンドドリップコーヒー。中深煎りの「ポラリスブレンド」は、しっかりとしたボディと苦味をグアテマラの華やかさが軽やかにカバー。
舌を包み込むような甘味とクリアな後味で立体感があり、リッチなスイーツと好相性。店内でドリンクを注文すると、チョコレートを付けてくれるのがこれまた嬉しい。異なる味とペアリングすることでコーヒー単体では感じられない味覚体験ができる。コーヒーの味の幅が広がるコーヒーを愛する店主らしいサービス。
自分が受けた感動を、今度は与える側に

コスタリカの中浅煎りとブラジルの中深煎り。
コーヒー好きにおすすめしたいのが、好きな豆を2種類選べる「飲み比べセット」。産地や焙煎具合でどんな違いがあるのかを知ることができるので豆選びの参考にもなる。
コーヒーはその場で飲み比べるとそれぞれの特徴が鮮明に現れるから面白い。この日いただいたコスタリカの中浅煎りは、とろりとした舌触りにマスカットのような甘い香りとジャスミン茶に似た後味が印象的。ブラジルの中深煎りは、舌に広がる苦味と鼻を抜ける香ばしさのコーヒーらしい風味。豆の個性をクリアに魅せる店主の腕あってこそのメニューだ。
抽出方法は一杯を淹れる時と同じだが、飲み比べでは一杯あたりの提供量を少なめにして飲みきれるようにしている。
このほか、日本ではあまり馴染みのないエスプレッソに親しみを持ってほしいと、カフェラテとエスプレッソの飲み比べができる「エスプレッソコンボ」も用意。

照明に照らされて光る星飾りが星好きの心に響く。
様々なコーヒーを味わい、淹れることで広がったコーヒーの世界。その感動をお客さんにも体験してほしいと、コーヒーの新しい楽しみ方を提案し続けている。揺るがない信念と探究心が詰まった横浜元町の北極星「Polaris coffee」。
「買い物のついで」という立ち位置ではなく、カフェを目指して街に訪れ、ここをスタート地点にし、街へ繰り出してほしい。
SHOP INFORMATION
SHOP | Polaris coffee(ポラリスコーヒー) |
---|---|
WEBSITE | https://polaris-coffee.jp/ |
ADDRESS | 神奈川県横浜市中区元町4-179 ウィスタリア元町2階 D |
TEL | 045-319-4229 |
OPEN | 9:00~19:00 |
CLOSE | 月・火曜日 |
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