2016年10月から、自由が丘を拠点にする「亀屋万年堂」と「自由が丘ベイクショップ」がコラボして「亀屋のあんぱん」というあんぱんを、1日200個限定で発売しました。

前編では、どういうきっかけでこのあんぱんが生まれたのか、どうやってできたのかを聞きました。後編では、そのあんぱんのこだわりについて聞いていきます。聞き手は、引き続き編集部の平野です。

自由が丘の新定番「亀屋のあんぱん」。亀屋万年堂×自由が丘ベイクショップがつくる、自由が丘生まれのコラボあんぱん。(前編)

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「ロール編み」が特徴の亀屋のあんぱん

「亀屋のあんぱん」で、これまでにないロール編みのあんぱんが珍しいなと思いました。どうしてこのような編み方のあんぱんをつくろうと決めたのでしょう?

引地パンの形についてはベイクショップさんからの提案だったんですが、見た目におしゃれさがあること、変わり種すぎないことですね。和菓子の伝統的な「あんこ」と、編み方の伝統的な「ロール編み」をコラボレーションすることで、新しくもあり親しみやすくもあるかなと。

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それに、私としては、あんこが主役であってほしいと思っていたので、あんこがどの角度からも見える方がいいなと思って。

洋風な印象がありつつも和の雰囲気もあるのは、そういう意図だからなんですね。そうだ、あえて「一日限定200個」と打ち出したのはどうしてですか?

蓑毛お話を聞く中で、亀屋万年堂さんは創業当初から“手仕事”を大事にしていることを感じました。私も先日工場を見学したんですけど、実は、日々人の目で小豆の状況を見ながら製餡しているんですね。それを伝えるための手段として限定表現を使いました。

もちろん、ベイクショップさん側でも、1日1,000個つくるのは現時点で難しい。200個しかつくれないとあえて打ち出すことで、亀屋万年堂の大事にしている「手仕事」とか「一個一個想いを込めてつくっていること」を伝えることに関してはマッチするかなと思っています。

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次に、あずきに対する想いを聞かせてください。今回のあんぱんに使っているあんこは、甘さ控えめでおいしかったです。他の商品との違いはありますか?

引地私たちはずっと北海道産の小豆を使っています。同じ小豆を使っていますが、亀屋のあんぱんの粒あんは、糖度を低めに調整するんです。

おやつのイメージが強いあんぱんですが、これは食事にもぴったりですよね。小豆以外の豆もごろごろ入っていて、塩気のある赤えんどう豆がアクセントになっているなぁ…と。あと、パン生地も、菓子パン生地ではなく食パン生地を使っていると聞きました。

奥角上品な甘さのあんこに少し塩っぽさのある「ラウンド生地」を組合わせました。生地も何パターンか試しました。細かい調整を重ねたら、4,5回かな。1回に試作が5種類できたとしても、一口ずつ食べて5個食べるだけでそれはもう毎回お腹がいっぱい…(笑)。

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引地亀屋のあんぱんは、朝食やランチ、おやつはもちろん夜食など、シーンを選ばす食べたくなる“食事としてのあんぱん”を意識しました。それに小豆は栄養分が豊富なんですよ。ミネラルやポリフェノール、たんぱく質も高い。

なるほど。おすすめの食べ方や、飲み物があれば教えてください。

引地コーヒーも合うでしょうけど、やっぱり「あんぱんには牛乳でしょ」っていう人もいますからね。

蓑毛(笑)。うちのフードプランナーは、ちょっとトースターであたためて、切った断面にバターを塗ってコーヒーと一緒に食べたいと言っていました。カロリーが気になりますが…(笑)。

引地和菓子屋から言うと、パンのある生活の中に、“あんこが一緒にある生活”を広めたいので、どんなふうに食べたらおいしいのかも提案していきたいですね。

2人が考える「自由が丘」らしさ

ここまで話を聞いてきた中で思ったのですが、おふたりが考える「自由が丘」ってどんなイメージですか?

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奥角駅降りてすぐの美観街(自由が丘一丁目)には飲み屋街や、緑道のようなゆったりできるスペースだけでなく、TODAY’S SPECIALやIDEEのようなセレクトショップもある。商店街と住宅街がうまく融合している“混沌さ”かなと思います。このエリアに住んでいるからこそわかる、生活圏内に何でもある良さ。それが、僕の自由が丘のイメージですね。

引地あとは何より、地元の人たちが自由が丘を愛していて、積極的に街づくりに関わっているところ。日本一の加盟店数を誇る商店街の組合があるのも、その一つだと思います。それらが「自由が丘ブランド」をつくりあげている要素な気がしますね。

亀屋のあんぱんは、そういうイメージを出したいっていう意識はあったんですか?

奥角全てが自由が丘で完結できるって「自由が丘」ならではで良いなと。店舗什器も自由が丘の人たちが造っているんです。

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引地僕としては、「亀屋のあんぱん」という存在が自由が丘で愛される商品になれれば嬉しいですね。遠くからわざわざ買いに来てもらうというよりは、自由が丘界隈に住んでいる方を中心に、人と人との関係をつなぐ存在になれたら。

それができたら、亀屋万年堂の和菓子づくりの根底にある、「人と人との和を育むお手伝いをさせていただく」をひとつ、叶えられるんじゃないかと思いますね。

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今回のお話を聞いて一番面白かったのは、引地社長のこの言葉。

「もし、全然関係ないパン屋さんとのコラボだったら違ったかもしれませんが、自由が丘にあるパン屋さんとのコラボということで、街の活性化にも貢献できるんじゃないかなと思い、もうぜひ!という感じでした」

魅力あるコラボレーションは、同じ業界だから生まれるのではなく、“場所”からスタートするのもありなのだなということでした。自由が丘に縁のある人たちが、自由が丘の人たちに愛される、自由が丘生まれの商品をつくる。それぞれ専門性がちがう人たちのバックグラウンドが共通するだけで、こんなに面白いことができるのか、とワクワクしました。

「非常に反響が大きいので、可能性は感じている」と言う引地社長。「まだまだあんこから始まるネタはたくさんある」と言う奥角さん。僕らは、そのネクストあんぱんを心待ちにして待っていようと思いました。

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