かつて、そうそうたる文化人の交友の場だった「銀座サロン」

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原宿の老舗「コロンバン」の歴史はとても古い。宮内省で皇族方の盛儀や日々のお菓子を作っていた創業者・門倉國輝氏が、コロンバンを創業したのが1924年。本場の味を届けたいと、門倉氏だけでなく、パティシエたちもフランスで学んだそう。

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また門倉氏は菓子だけでなく、ヨーロッパの豊かな文化も日本に伝えることに大きく貢献。当時の写真からもそのセンスのよさを知ることができる。

なんておしゃれ!オープンスタイルのカフェやキッチンなど日本にはなかった時代に、冷暖房設備、オリジナルの出版物、ハイセンスな広告、最先端の自動車での集配など、ヨーロッパの文化の豊かさを再現し、注目を集めた銀座のサロンがオープンしたのは1931年のこと。

パリ時代に親交を深めた画家の藤田嗣治による天井画が見事なサロンだったのだとか。天井画は迎賓館に寄贈してしまったそうで、現存してなく本当に残念!

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舞台を原宿に移し、半世紀。変わらぬ思い、見つめる先とは

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銀座でありながらパリを感じることができ、東郷青児氏、菊池寛氏、岡本一平夫妻らの文化人も通う最先端の場所だったコロンバン、現在は原宿にある。

並木道沿いのピカピカの建物群のなかに、レンガ造りに赤いオーニングテントという人目をひく佇まいで48年もかわらぬ様子でそこにある。創業当時、最先端だったコロンバンも今では老舗と言われるように。

店内に一歩入ると、原宿の喧騒からかけはなれた落ち着いた空間で、「上品でレトロ」ということばがぴったりなサロン。ショーケースには、創業者・門倉氏が考案し今となっては日本を代表するケーキになった「ショートケーキ」などがずらり。

ヨーロッパ文化が日本に広まり始めた頃よき時代に思いを馳せながらながら、ここのサロンで過ごすのもオツな原宿の楽しみ方。

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しかし、昔ながらのスタイルだけを守り続けているだけではないのがコロンバン。本社屋上での養蜂プロジェクトのほかにも、自社農場で無農薬の野菜栽培も新しい取り組みのひとつ。

ジャガイモや玉ねぎなど、収穫した野菜は、サロンのランチで提供される。「安心・安全でおいしいものを提供していきたい」そんな想いのもと、これからも規模を広げていく予定なのだとか。

創業91年。「新しいことに挑戦し続ける」というマインドは変わらぬコロンバンらしさ。これが世代を超えて愛され続ける所以なのかも。

SHOP INFOMATION

NAME 【閉店】コロンバン原宿本店サロン
URL http://www.colombin.co.jp

※他、臨時休業する場合があります