ハーゲンダッツ特集、インタビューの第1回は、1984年の日本上陸以来、不動の人気を誇る「バニラ」。ハーゲンダッツの哲学がぎゅっと詰まった大定番フレーバーについて、担当の渡辺淳巳さんにうかがいました。
30年以上、人気ナンバーワン!
ハーゲンダッツの「バニラ」といえば、誰もがいちどは食べたことがあるのでは……というほどの大定番ですよね。何度食べても飽きないし、いつも変わらずおいしくて、私たちも大好きなフレーバーです。
渡辺ありがとうございます! ハーゲンダッツが日本に上陸した1984年から常に人気のフレーバーで、お子様からご年配の方まで、幅広い年齢層の方から支持をいただいています。実は「バニラ」は、1961年の創業時からレシピは一切変わっていないんですよ。
ということは、50年以上もそのまま? すごいですね……。創業時にこのおいしさが完成されてしまっているところに、ハーゲンダッツのゆるぎないこだわり精神を感じます。改めて、「バニラ」の魅力について教えてください。
渡辺おいしいアイスクリームの生命線となるのが、原料のミルクなのですが、そのミルクのおいしさがいちばん分かりやすいフレーバーが「バニラ」だと思います。ハーゲンダッツのミルクは、北海道の根室・釧路地区の契約酪農家が育てている乳牛のミルクのみを使用しています。
アメリカの商品にはアメリカのミルクが、日本の商品には日本のミルクが使われているのですね。その国ごとにその土地のミルクを使っているなんて、感動です……。
渡辺根釧地区にある浜中町では乳牛のエサとなる牧草にこだわるのはもちろん、牧草を育てる土壌のphバランスの検査も定期的に行い、土壌の管理を行っています。こうした取り組みがおいしいミルクの安定供給を可能にしているんです。
酪農エリアが決まっているだけでなく、土壌の分析までしているなんて、ものすごいこだわりですね。
渡辺私も出張で行くことがあるのですが、ここで作られるミルクは本当においしいですよ。実は私は、昔は牛乳があまり好きではなかったんです。飲み終わったときの、のどにまとわりつく感覚がどうも苦手で。
けれどハーゲンダッツの原料となるミルクは、味自体はとても濃厚でコクがあるのに、飲み終わった後はさっとなくなって、余計な後味が残らない。とてもさっぱりしたさわやかな飲み心地なんです。
バニラは、手摘みのマダガスカル産レッドビーンズ
口のなかでふわりと広がる、深みのあるバニラの味わいもたまりませんね。
渡辺ありがとうございます。バニラ香料は、マダガスカル産のレッドビーンズを使用しています。
レッドビーンズというのはバニラビーンズの一種ですか?
渡辺バニラビーンズは主にブラックビーンズとレッドビーンズの2種類に分けられますが、ハーゲンダッツの創始者・ルーベン・マタスが選んだのがマダガスカル産のレッドビーンズでした。
レッドビーンズは複雑で深い香りが特長で、ハーゲンダッツの濃厚な味わいのミルクの存在感に負けることなく、お互いのおいしさを引き立て合ってくれるんです。ちなみにバニラビーンズの収穫から加工作業まで、そのほとんどは機械ではなく職人の手によって行われているんですよ。
大量のバニラビーンズを、手作業で?手間も時間も、惜しみなくかけられているのですね……。
渡辺機械を使えば短時間でできてしまう作業もありますが、やはりバニラの風味を追求するとなると、熟練の職人の目と経験が頼りです。時間はかかりますが、低温でじっくりと丁寧にエキスを抽出することで、より深く華やかな香りを出すことができるんです。
ちなみにハーゲンダッツの「バニラ」には、なめらかな舌触りを保つため、バニラビーンズの粒は入っておりません。
なるほど、だからあんなにクリーミーなんですね。シンプルなフレーバーに、こんなにもたくさんのこだわりと取捨選択が詰まっているなんて……。お話を聞いたいま、今まで以上にハーゲンダッツの「バニラ」が好きになりました!(つづく)