甘いマロンと無糖クリームのコントラスト

「初めて食べたときの衝撃が忘れられない」という人も多いだろう。それまで黄色いクリームがかかっていた日本のモンブランを、栗本来の自然な色に変えたのはほかでもないアンジェリーナのモンブランだ。
なにが驚いたって、表面の色はまだしも、中が真っ白だったこと。マロンクリームの下にはたっぷりと生クリームが入っていて、ボディはほぼ生クリームといってもいい。フランス産のマロンペーストはきっちりと甘く、中の生クリームは無糖というコントラストに、なにより感動したものだ。
このきっちりとしたコントラストを口に入れたときに、アンジェリーナのモンブランを食べている、という幸福感が生まれる。

そして、もうひとつのポイントは底のメレンゲ。当然スポンジではなく、サブレやパイでもなく、メレンゲというカルチャーショック。サクッと感がしなやかに軽く、そして、マロンクリームと同じくきっちりと甘くするにはやっぱりメレンゲしかない。
このはっきりとした味の対比は、どうにもこうにもくせになる。忘れたころに「ああ、アンジェリーナのモンブランが食べたい」と思い浮かべてしまったら最後、食べるまで「アンジェリーナのモンブラン欲」は収まらない。とても中毒性のあるおいしさ。
これがフランスのモンブランのオーソドックスな構成だと知ったのは後のこと。その後日本にもさまざまなモンブランがやってきて、作られたけれど、やっぱりアンジェリーナのモンブランはほかのものとは代えがたい。唯一無二の「アンジェリーナのモンブラン」なのだ。
