こんにちは、ライターの平賀です。

神楽坂はミシュランを獲得した飲食店が多く、「食の街」として名高いエリア。イタリアンやフレンチ、和食など、ジャンルは多岐に渡り、多くのグルメ通が訪れる場所のひとつです。

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今回は、神楽坂駅から徒歩1分の場所にある、「ATELIER KOHTA(アトリエコータ)」をご紹介します。

店内はスタイリッシュな雰囲気。白を基調とした壁とテーブルには9席の椅子が並んでいます。テーブルの向こうには、まな板やフライパンなどの道具類が置いてありました。

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なぜカウンターの前に調理器具が置いてあるかというと、アトリエコータは、パティシエがお客さまの目の前でデザートの調理を披露する、「カウンターデザート」の形式を取っているから。

一般的にお菓子屋さんでは、調理された後のケーキや焼き菓子などが売られています。しかしこちらは、目の前でデザートができあがっていく醍醐味を味わえる、珍しいお店なのです。

CAKE.TOKYOで以前取材したことのあるお店の中では、「JANICE WONG」があります。

新宿NEWoManのデザートバー「JANICE WONG」で体感する、日本酒×デザートのマリアージュ。

「アトリエコータ」のオーナー 吉岡浩太さんは、結婚式場やホテルなどで勤務を経験後、2012年に「アトリエコータ」をオープンさせました。

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目でも香りでも、デザートを味わってもらいたい

こちらで一年を通して人気のデザートは、「クレープシュゼット」。

クレープにオレンジとカラメルを混ぜたソースをひたした、フランスのお菓子です。カウンター前で、吉岡さんにクレープシュゼットを調理していただきながら、お店を始めた経緯やこだわりなどを伺いました。

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まずはクレープの生地を焼きながら、オレンジのキャラメルソースをつくります

なぜ、カウンターデザートのお店を開かれたのでしょうか。

吉岡もともとは、立ち上げに参画した前職のお店で、カウンターデザートを提供していました。その後独立し、今の店でも同じような形態でつくりたいと思ったんです。

カウンターデザートには、4つのメリットがあります。まずはお客さまからすると、誰がどんなふうにつくるのかをその場で見て、視覚だけではなく、香りも感じながらデザートを味わえること。

2つ目は、完成する過程を見ていると、お客さまは待ち時間をそれほど感じずに過ごせること。

3つ目に、溶けるためにテイクアウトとして使用できないアイスと、温かいものを組み合わせたデザートを提供できること。

これまで提供できなかったデザートの組み合わせができるため、調理の幅が広がります。その結果、メニューにたくさんの選択肢が生まれ、斬新なアイディアも提供できるんです。

そして最後に、お寿司屋さんみたいにカウンターの前で調理すると、時間のロスを省いて提供することができます。

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生地を焼く間に、フランベ用のオレンジの皮をカット

メニューはどのように考えているのですか?

吉岡常日ごろ頭の中で考え、色んな材料を組み合わせてつくって、メニューとして出してみます。目の前にお客さまがいらっしゃるカウンタースタイルのため、ときには「こんなものをつくってほしい」という要望をいただいて挑戦することも。「チェリーのスフレパンケーキ」「ピスタチオと杏のパフェ」などは、リクエストを受けて開発したお菓子です。

デザートをつくられる際に、こだわっている材料はありますか?

吉岡当店で使用するバターは、「レスキュール」という、フランスで100年以上も前からあるブランドのものを使用しています。A.O.C(原産地呼称統制)という品質を保証する称号を受けているものです。

品質の良いものを使用することには、もちろんこだわっています。しかし何よりも大切にしていることは、デザートをお手頃な価格でお客さまに提供すること。

お客さまの目の前でつくるため、カウンターデザートは高級なイメージを持たれるかもしれませんが、それほどかしこまったところではないので、もっと気軽に来てくださるお店でありたいと思っています。

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オレンジソースにクレープを入れ、熱したグラン・マルニエをオレンジの皮とともに加えます

同時進行で、一度に調理を進める吉岡さん。写真を撮りながらお話を伺っていたら、あっという間に完成間近です。クレープを少し煮立たせた後に皿に盛り、吉岡さんはカットしたオレンジとバニラアイスを添えてくださいました。

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初夏にピッタリのさわやかなクレープシュゼット

吉岡さんが、素早い手際よさでつくってくださったクレープシュゼット。オレンジとアイスの色合いは、見た目だけで爽やかさを感じる、初夏に食べたくなるような一品です。アイスが溶けてしまう前に、早速いただきました。

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ソースにひたされたクレープはもちっとした食感で、オレンジの酸味が強く効いています。バニラアイスと一緒に食べれば、甘さと酸味のちょうど良いバランスが口の中に広がります。あたたかいクレープと冷たいアイスの組み合わせは、カウンターデザートだからこそ味わえる贅沢なおいしさです。

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オレンジをかじると、濃厚なクレープにサッパリとした後味を加えてくれました。まるで、レストランや結婚式のフルコースで最後に出されるデザートを味わったような贅沢な気分でした。

テイクアウト用のスイーツも充実

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「アトリエコータ」はカウンターデザートだけではなく、テイクアウト用のケーキと焼き菓子も販売しています。

吉岡ケーキの一番人気は「オペラジャパン」です。オペラはコーヒーとチョコレートを使用した、フランスの伝統的なお菓子です。レスキュールのバターを使用するなどして、後味が重たくならないようアレンジしました。

アーモンドのスポンジ生地が4層になっており、その間にコーヒーのシロップやチョコレートクリーム、コーヒーのバタークリームを挟んでいます。

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そしてこちらはクレープシュゼットと同じく、オープン当初から販売している一番人気の焼き菓子「神楽坂チーズケーキ」。

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北海道産のクリームチーズに、バターとアールグレイの茶葉を組み合わせ、少しコクが出た仕上がりです。噛めばしっとりしたやさしい食感で、手で持って気軽に食べられます。茶葉の風味とレスキュールのバターにより、チーズのしつこさを感じさせないお菓子でした。

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取材をしている最中、テレビを見てアトリエコータを知り、買いに来てくださったお客さまがいました。「時間のあるときに、カウンターデザートを食べにきますね」と仰って、神楽坂チーズケーキを買っていかれました。

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オープン以来、30-40代の女性の方を中心に訪れるのだそう。最近では、大学生など若い年齢のお客さまも増加中。お客さまの半数は、リピーターとのことです。

テレビや雑誌に取り上げられ、既に多くの人から注目されているアトリエコータ。吉岡さんに今後の展望を訊いてみました。

吉岡オープンしてから今年で丸5年になりますが、初心に戻って一からお店をつくる姿勢でやっていきたいです。店舗を新たに増やして展開することはせず、デザート、スタッフの腕も含めて、店自体のクオリティを高めていこうと思っています。

吉岡さん、ありがとうございました。

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今回ご紹介したシュゼットに加え、マロンクリームとカシスグラニテ(シャーベット状のもの)を組み合わせた「モンブランカシス」や「ブルーチーズのフレンチトースト」など、通年で出されるデザートはまだまだあります。

使用するフルーツは、季節に合わせて変えているとのことです。食材の組み合わせを聞くだけで、どんな風に調理してくださるのか。味のみならず、その過程も気になってしまいます。

できたてを味わえる醍醐味は、カウンターデザートならでは。アトリエコータはつくったその場でお客さまに届けることで、食材のおいしさを最大限に引き出し、感動も同時に届けているのだと実感しました。

商品リスト
クレープシュゼット 950円
神楽坂チーズケーキ 280円

SHOP INFOMATION

NAME ATELIER KOHTA
URL http://www.atelierkohta.com/index.html
ADDRESS 東京都新宿区神楽坂6-25
TEL 03-5227-4037
OPEN テイクアウト : 平日10:00〜20:00 / 土日祝10:00〜19:00 | カウンターデザート : 平日13:00〜17:00 / 土日祝11:00〜18:00
CLOSE テイクアウト : 無休 | カウンターデザート: 月曜、不定休

※他、臨時休業する場合があります