私がレモンケーキに初めて出会ったのは、4年前。

池尻大橋駅から三軒茶屋方面に向かっている途中、ふと横を見るとお洒落な外観の洋菓子店が。店名は『Roule by 1904(ルウレ)』。誘われるように中に入ると、ケーキの並ぶショーケースの上に、黄色いキャンディーのような包み紙が目に入りました。

キャンディーのようなパッケージに惹かれ、その場で1つお持ち帰り。中を開けると黄色のぽってりとしたフォルムの焼き菓子が目に飛び込みました。それが、しまなみレモンケーキとの出会いです。

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しまなみレモンケーキ 税込230円

中のスポンジは柔らかく、ふわふわとした軽い食感。表面にコーティングされたチョコレートは、レモンの甘酸っぱさが強く感じられます。サイズも手のひらに収まる小ぶりなサイズで、小腹が空いた時に程よく満足感が得られます。

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実はこのしまなみレモンケーキは、お取り寄せグルメでも話題の人気商品。そんなレモンケーキを手がける『Roule by 1904』、本店は東山にあるそうです。本日は本店である「パティスリー1904ディズヌフソンキャトル」にて、オーナーシェフの松野明(まつの あきら)さんに、しまなみレモンケーキのこだわりを伺ってきました。レポートは、丹野がお送りします。

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「パティスリー1904ディズヌフソンキャトル」オーナーシェフの松野明さん

昭和を感じさせる、しまなみレモンケーキ

インダストリアルな雰囲気の店内に映える、しまなみレモンケーキ。なぜレモンケーキをつくろうと思ったのか伺いました。

松野しまなみレモンケーキをつくり始めたのは4、5年前です。ギフト需要の高い40〜50代のお客さまに向けて何か懐かしさをくすぐるものをつくりたいと考えたとき、昭和らしいものがいいかなと思って。そこで懐かしさのあるしまなみレモンケーキと、昭和マドレーヌを販売するようになりました。

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しまなみレモンケーキは単品での販売だけでなく、ギフトセットも好評です。特に8個入りが人気で、お歳暮やお中元時期におすすめとのこと。BOXもイエローで統一されていて、インダストリアルな空間に黄色のパッケージが目を惹きます。

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しまなみレモンケーキの特徴の1つは、キャンディーのような可愛い包装。昭和セット 税込3,110円

レモンケーキ自体がレトロなお菓子だからこそ、おいしさはもちろん、見た目の可愛さや味の新しさを追求したと話す松野さん。パッケージも現代らしいポップなデザインにこだわり、キャンディー型の包装にしたそうです。

松野中身がレトロだからこそ、見た目で現代になじむ装いにしたいと思って。最初は透明の焼き菓子の袋からスタートして、1年後くらいにパッケージをキャンディー型に変更しました。レモンケーキを知らない方は「可愛いね」、知ってる方は「懐かしい」という声をいただくことが多いです。

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私自身もレモンケーキに馴染みがありませんでしたが、キャンディー型のパッケージが目に飛び込んできたとき思わず「可愛い!」と手に取ったのを覚えています。

松野さんのとらえる現代らしさが若い世代にも響いているからこそ、わざわざしまなみレモンケーキを買いに足を運んでしまうのだと感じました。どこか懐かしさを感じさせる味と、キャッチーな見た目が人気の秘密なんですね。

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常温でもおいしいのですが、暑い日は冷蔵庫で冷やして食べるのがおすすめとのこと。スポンジ生地は冷やしてもしっとり柔らかいままで、表面のチョコがパリッとしておいしいそうです。

お子様とも一緒に食べられるやさしい味なので、家族でおやつタイムにしまなみレモンケーキを囲んで食べるのも良さそうですね。

インダストリアルな雰囲気漂う、パティスリー

しまなみレモンケーキを販売しているのは、『パティスリー1904 ディズヌフソンキャトル』。お店は池尻大橋駅と中目黒駅の中間地点に位置し、どちらの駅からも10分ほど歩きます。

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大通りから一本曲がると、住宅地の中に見えてくるのは「1904」という看板。インダストリアルな雰囲気漂う外観です。

店のコンセプトは、「アルチザン(職人)とインダストリアル(工業生産)の融合」。黒が好きと話す松野さん。黒を基調にした内装はこだわりが詰まっています。

松野1904という店の名前は、100年くらい前の工業的な時代からきています。工業化される過程で大事にされてきた精神を取り入れながら、あくまでも職人の仕事という両方のエッセンスを取り入れました。 『パティスリー1904 ディズヌフソンキャトル』は特にインダストリアルな雰囲気を大事にしています。池尻にある『Roule by 1904』はもう少しカジュアルな空間ですね。その地域ごとの雰囲気になじむお店づくりを意識しています。

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本店の店内は黒を基調とした家具や雑貨が使用されており、上品な印象。
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しまなみ産のレモンにこだわる

お取り寄せグルメでも人気のしまなみレモンケーキ。安定した味でつくり続けられる秘訣は、使用しているレモンにあります。

松野しまなみレモンケーキには、しまなみ産のレモンを使用しています。しまなみ産のレモンは殺虫剤や防腐剤を使用していないので、ナチュラルな香りや味が特徴です。流通しているレモンの多くは瀬戸内産が主流ですが、瀬戸内産の中でもしまなみにこだわっています。

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しまなみレモンケーキは、一口目からレモンの甘酸っぱさが強く感じられます。食べた印象はスポンジの甘さとレモンの酸味は半々ぐらい。口当たりもさっぱりとしています。

松野冷凍された搾りたてのレモンジュースを仕入れているので、常に安定した味でつくれています。レモンケーキなので、レモンの酸味をしっかり出したいと考えていて。甘さと酸味のバランスにはこだわりました。

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しまなみ産のレモンを使用したレモンジュースは、発売当時から使用しているとのこと。素材にこだわる松野さんの熱意が感じられます。

松野さんがこだわる、お菓子づくりのポリシー

松野さんがお菓子作りを続ける上で、大事にしているポリシーが「この味ゆえに産まれてくる形」。

松野仕事を続けるうちに、なんとなく出来上がってきた自分のスタイルなんです。味と形ってちょっとバランスを変えるだけで違ってくるもので、方程式があると感じています。言葉だと上手く伝えられないんですが。

店内に並べられているペストリーは、素材がどうしたら良く見えるかを考えてつくられているような印象を受けました。

『パティスリー1904 ディズヌフソンキャトル』は焼き菓子に加えて、生菓子も豊富。特にモンブランはリピーターも多い、人気のペストリーです。

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サクサクの厚いパイ生地の上に、生クリームとカスタード、濃厚なマロンクリームがたっぷりと乗ったモンブラン。マロンクリームは栗本来の深い甘さが感じられ、大人向けの味わいです。

他にも季節のフルーツを使用したケーキなど、ラインナップも変化するそう。

さらに、桃を丸ごと1個使用した白桃のケーキも、フォルムから果物のみずみずしさが感じられます。松野さんの大事にしている想いが、ペストリーからしっかりと伝わってきますね。

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今後は若いパティシエが育ち、既存のお店が安定して続けられたらいいな、と話す松野さん。愛され続けるペストリーを、若い世代の方にも伝え続けて欲しいと思います。

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SHOP INFOMATION

NAME パティスリー1904 ディズヌフソンキャトル
URL http://www.patisserie1904.com/index.html
ADDRESS 東京都目黒区東山2-5-8
TEL 03-3792-1904
OPEN 10:00~19:00
CLOSE 火曜日・第3月曜日 ※第3月曜日が祝祭日の場合は、第3水曜日になります。

※他、臨時休業する場合があります