世界的ブームを巻き起こした「クロナッツ」
世界規模で食のトレンドワードとなった「ハイブリッドスイーツ」。その発信地は間違いなくニューヨークの「ドミニクアンセルベーカリートウキョウ」だろう。
今回ご紹介する「クロナッツ」は、クロワッサンとドーナッツのハイブリッドであることから誕生した言葉だ。
世界中で愛されるオーナーシェフ、ドミニク・アンセル氏が作り出すお菓子。それは、これまでのお菓子とは全然違う。ひとつひとつのお菓子に独創性とストーリーがある。食べた人が経験する「感動」をつなげていきたいというのがドミニク氏の想いなのだ。
実はドミニクアンセルベーカリーのヒット商品には、ちょっとした法則がある。それは、誰も見たことがない、だけど「どこか懐かしい」こと。下記写真の「フローズンスモア」は、アメリカの子供たちがキャンプの焚き火や暖炉でマシュマロを焼くシーンを思い浮かべる。
それを凍らせることでの中にドラお菓子マティックな食感や味の広がりが生まれ、日本でも大ヒットしたというわけだ。
また、「クッキーショット」なら、子供たちが大好きなチョコクッキーとミルクという組み合わせを、クッキーのカップでミルクを飲むという、ライブ感あふれるお菓子に仕上げている。
これもまた、楽しいだけでなくサクサクでスパイスの効いたクッキーカップがおいしく、少しずつかじりながらミルクを飲み、少しずつ水分がしみてミルクもカップも表情を変えていく。
そして、ドミニクアンセルベーカリーの代名詞ともいえる「クロナッツ」! やっぱり「ちょっと懐かしい」ドーナッツの姿をしているが、食べてみるとクロワッサンの生地が幾重にも重なり、中からはクリームがとろり。ダイナミックなようで繊細な、オリジナルだけれど知っているような、そんなお菓子だ。
しかも、フレーバーは毎月変わり、しかも、同じフレーバーは二度と登場しない。毎月、スタッフがたくさんのプランを出し、しっかりとドミニク氏のチェックがあるという。日本のフレーバーはニューヨークでも食べられないので、アメリカ人のマニアが買いにきたこともあるそうだ。
こちら1月のフレーバー「ミルクティーガナッシュ チェスナッツジャム with オレンジシュガー」はまろやかなミルクティーのクリームとチェスナッツ(栗)のジャムをしのばせ、側面には柑橘らしい香りのオレンジシュガーをふるというもの。冬らしいこっくりとしたふたつの甘さに、オレンジの爽やかな香りが春を思わせる。これももう二度と食べられないかと思うと、ちょっと残念な気もするけれど……。
ちなみに2月はバレンタインシーズンにはいちごを使ったものが登場予定。和菓子のようなテイストになるかも?というから楽しみ!
「クロナッツは作るのに3日かかります。でも、ひとつひとつ手作りするので、1日に作れる量はどうしても限度があるんです」
とスーシェフの渡邉亜矢子さん。平日で200個ほど、週末はがんばって250~300個。仕込んでも仕込んでもすぐに売り切れてしまうのだそうだ。
その様子も厨房の中がよく見えるように工夫され、それもまた「お店を丸ごと楽しんで欲しい」というドミニク氏の熱意から。
実は、ドミニク氏はフランス生まれのフランス育ち。古典に重点を置くフランス菓子の修業をみっちりと積んだパティシエだ。そのテクニックとお菓子で人を「楽しませる」「面白がらせる」という気持ちが、世界レベルの人気につながっているのだろう。これからどんな新しいお菓子が生まれるのか、目が離せない一店。
SHOP INFOMATION
NAME | ドミニクアンセルベーカリー |
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URL | http://dominiqueanseljapan.com |
ADDRESS | 東京都渋谷区神宮前5-7-14 |
TEL | 03-3489-1329 | OPEN | 10:00〜19:00(1F/2Fともに) |
CLOSE | 無休 |
※他、臨時休業する場合があります