POTPURRI(ポトペリー)」という、うつわブランドを知っていますか? スウェーデン語で『混ぜ合わせ』という意味を表す、現代に暮らす人たちの「着る・暮す・食す」を提案しているブランドです。今回お話を伺ったのは、ポトペリーで作陶をおこなっている岡見宏之さん。

おいしいお菓子には、おいしさを引き立たせる「うつわ」も大事にしたい。そんなことを考えながら、森下にある素敵な事務所で、岡見さんにいろいろお聞きしました。

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テーブルにそっと調和する「ポトペリー」のうつわ —— 今日はよろしくお願いします。「スタイルストア」のスタッフの方におすすめしていただいたことがきっかけでポトペリーさんを知って、北欧スタイルのうつわがすごくかわいいなと思いました。ポトペリーはいくつかシリーズがあるかと思うんですが、まずはその説明からお願いできますか?

岡見はい。シリーズとしてすでに出しているのが、「Våg」と「Stamp」、「Mulet」、「fajans」です。それぞれシリーズを象徴するイメージとして、「(スウェーデン語で)波」、「刻印」、「(スウェーデン語で)くもり空」「ファイアンス焼き(*)」からインスピレーションを受けています。

(*): 繊細な淡黄色の土の上に錫釉をかけた陶磁器のこと。北イタリアのファエンツァが名称の由来。

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(テーブルを見回しながら)カラフルな「Våg」シリーズは、食卓が色づくので華やかになりそうですね。

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岡見購入される方の90%くらいは女性なんですが、シンプルなうつわが好きな方もいらっしゃいますし、カラフルで可愛らしいうつわが好きな方もいらっしゃるので、どのシリーズが好きかは人それぞれですね。

白を基調としたシンプルなデザインの「Mulet」シリーズは、どの食べものでも合いそうで、個人的には一番好きです!

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岡見テーブルにそっと調和しますよね。最近つくるプロダクトは、ちょっとずつ男性的というか、色がないシンプルなものが増えています。こういったものは普段使いしやすいですし自分としても好きなんですけど、こういうものばかりつくっていてもあまり面白くないので、「fajans」シリーズのようなストライプやドットが入ったものもつくることで、バランスを考えています。

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岡見さんが「ポトペリー」を立ち上げるまで

次に、素敵なうつわをつくる岡見さん自身について伺えますか? いつごろから陶芸を始めたんでしょうか?

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岡見陶芸をはじめたのは、大学に入ったときからだったので、18のときですね。大学のサークルがきっかけで。大学時代は、陶芸教室の講師をアルバイトをしていました。そのときつくっていたのが、こういうデザインですね。

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今とはだいぶデザインのテイストが違いますね。

岡見ですね(笑)。すごくクラシカルな作品を作っていて、お見せするのがすごく恥ずかしいんですけど。

その後、就職活動をするときに、あるデザイン事務所で働いている先輩に進路相談をしたとき、「何のデザインをしたいのか」の方向性が絞れていないと言われてしまって。

デザインの方向性……?

岡見つまり、うつわのような“形”をつくるのもデザインだし、うつわの”模様”をつくるのもデザインですよね。どういうデザインをやっていきたいの? と言われたときに、うまく答えられなくて。で、考えた末に、両方を組み合わせた「陶磁器デザイナー」がいいんじゃないか? と思ったんです。

大学時代の陶芸の経験を活かして。

岡見そうです。そこで、北欧のイッタラ(iittala)を代表するように、窯元にインハウスデザイナーがいて「陶磁器デザイナー」という職が認知されているスウェーデンで、陶磁器デザイナーとして働きたいなと思って現地に行ったんです。

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いきなりスウェーデンに?

岡見ただ、スウェーデンは福祉国家なので陶磁器デザイナーとして働くのは雇用の税金面で難しいということが、行ってみてわかったんです(笑)。ですが、現地で話を聞くうちに日本にも「陶磁器デザイナー」として働ける陶器メーカーがあることを知って、帰国後は、地元の岐阜にある「株式会社深山」に就職しました。

そこでは、どんな仕事をしていたんですか?

岡見いつかは独立したいなと漠然と考えていたので、デザイン業務だけでなく、型の作り方や量産の仕方、販売、経営など幅広く働いていました。

何年間働いていましたか?

岡見23歳から31歳までなので、9年間です。途中29歳のときに、独立を考え「辞める」と言ったことがあったんです。ただ、そのときは引き留めてもらって、会社の東京事務所を出す際の責任者を2年間担当することになって。そして、ちょうど2年経って正式に退職をして独立しました。

その当時はもう学べたというか、結局学び切ってはいないことが後で分かるんですけど、そろそろ自分で作りたいなと思っていたので、タイミングとしてはちょうど良かったです。

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「ポトペリー」のものづくりのテーマ

岡見さんがつくるうつわは、例えばどんなところからインスピレーションを得ているのでしょう?

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岡見結構バラバラですね。僕は海外のビンテージのうつわを見たり探しに行ったりすることが好きなんです。逆に、大量製品を販売しているところにも寄ってみて、どんなものを売っているのかを見ることもあります。

そうやってうつわを眺めながら、自分ならではのデザインをつくりあげています。突き詰めると、好みの範疇にはなってしまうんですけど。

岡見さんのうつわづくりのこだわりは何ですか?

岡見自分の好みを出すこと」ですね。始めた当初は、やっぱり「売れる」というか、「使いやすいうつわ」をテーマにつくっていたんです。でも、どこか自分の好きなものを世に出したいという気持ちが強くなって、だんだんと好みに寄っていきました。ただそれが、「好み」に寄りすぎて誰も使わないようなものはつくらないよう意識しています。

いくら自分が好きだったとしても、買うのはお客さまだと。

岡見そうですね。お菓子もそうですが、食生活の中で万人が考える「心地よさ」ってあると思うんですよ。僕は「受け入れやすい」っていう言い方をするんですけど、そういうのは意識はしますね。「好み」に軸足を置きつつも、やっぱり誰かが使うことを考えたうつわづくりを心がけています。

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岡見さんがものづくりをやっていて、「楽しい」と感じるときはどんなときですか?

岡見2つあります。ひとつは、窯を開ける瞬間です。もうひとつは、まっさらな状態から新しい技術に出会った瞬間。この2つが一番楽しい瞬間ですね。逆に、それ以外はだいたいつらいです(笑)。

つくっている途中も、どういう作品にしていくか考えるときも、量産するのか考えるときも。だいたい道のりは大変ですが、その2つがあるから続けていけるっていうのはあるかもしれません。

尊敬している陶芸家さんはいらっしゃいますか?

岡見陶芸家で言えば…、「加藤唐九郎」さん。彼は本もたくさん出しているんですが、本当にストイックなんですね。たぶん、誰よりも研究熱心ではないかなと思っています。「いいものとは?」という哲学を持っているところを尊敬しています。

もっと新しい技術を生み出したい

今後についてはどうお考えですか?

岡見そうですね…、60歳まで今のワークスタイルでやっていき、その後は、もっと好みに寄った趣味の陶芸をやりたいです。手作業でうつわをつくりたいですね。ただ、今でもいろいろやっているので、これからもその境界線は曖昧なままでやっていきたいなと思います。

趣味のような、商業に寄らないことで価値をつくっていって、あとで商業がついてくるみたいな、そんな面白いことができたらいいなと思います。

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岡見そういえば、今度発表するシリーズは、今までと趣向を変えて、シリーズの中で用途に合わせて土を変えているんです。

というと…?

岡見例えば、同じシリーズの中でもこれはフライパンに適した土を使っているんですが、この素材のまま土鍋をつくってしまうと中に熱があまりこもらず、美味しく炊けないんですね。中に熱がこもるような伊賀や粗目の土を使わないと美味しくならない。だけど、その土を使ってフライパンをつくろうとすると、脆くて使えないんです。

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へえー!

岡見なので、違う土を使っていたとしても、上薬を調整して質感を同じように揃える作業をしているんですが、それが結構楽しいです。

昔からの伝統的な伊賀の土は耐熱材がないので、IHコンロなどで熱を加えると非常に割れやすくなってしまうんです。ただ、今は伊賀の土が枯渇してきて昔よりも良質な土がとれにくいので、耐熱材であるペタライトを入れてみて試しているんです。その配合率は何%がいいのかっていのをテストしながら、新商品開発に取り組んでいます。

知れば知るほど、どんどん新しいことがわかることが楽しさにつながっていくんですね。

岡見そうですね。陶芸って、60歳になってやっと「はなたれ小僧」って言われるくらい奥が深いです。それ以前は、そもそも生まれてないっていう状態。おじいちゃんになったときにどういうことをやりたいかを、研究しながら考えていこうと思っています。

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岡見さん、ありがとうございました! 「窯をあける瞬間と、新しい技術に出会う瞬間。この2つが楽しくて、これまで18年続けてこれたんです」という言葉は印象的でした。ものづくりに対する姿勢を垣間見れて、ポトペリーのうつわのことが、もっと好きになりました。

ちなみに、7月には、清澄白河にポトペリーのお店ができるのだそう!ぜひ、ホームページをチェックしてみてください。

NAME POTPURRI
URL http://www.potpurri.co.jp/
ADDRESS 東京都江東区新大橋3-12-6 4F
TEL 03-6659-9401
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