【シナモンロールに導かれ/神武寺】スウェーデンの空気に包まれる洋菓子店「Lilla Katten(リッラ・カッテン)」
フードイラストレーター
まるやまひとみ
シナモンロールが好きだ。
吸い込まれそうな渦巻き、半分に割った時の縞模様。
アーティスティックな姿に何度陶酔したことだろう。
溶けてしまいそうな甘さと芳香に満たされ、私の奥底に眠るシナモンロールの記憶を呼び起こす。
もっとシナモンロールのことが知りたい。シナモンロールに会いたい。
シナモンロールは私をあちらこちらに連れ出し、縁を繋いでくれる。
さあ、今日も今日とてシナモンロールを求め西へ東へ…
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京急線「神武寺駅」。駅から徒歩20秒ほどで、“小さなスウェーデン”にたどり着く。
今年10周年を迎えた「Lilla Katten(リッラ・カッテン)」は、ご夫婦で営むスウェーデンのお菓子と絵本を販売するお店。
店名はスウェーデン語で「小さなねこ」を意味し、愛らしく親しみやすい雰囲気をまとった外観が目を引く。
10月4日に制定されているスウェーデンの記念日「シナモンロールの日」を目前に、スウェーデンの文化に触れる一日をここで過ごす。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
ひっそりと佇む小さなスウェーデン
店舗はオーナーご夫妻が自らリノベーションしたそう
大学時代にスウェーデンへ留学して以来、現在に至るまで長くスウェーデンと関わり続けてきたオーナーご夫妻が営む「Lilla Katten(リッラ・カッテン)」。
スウェーデン語の絵本を通信販売するかたわら、スウェーデンの文化をもっと身近に感じてもらいたいという思いから、逗子の隣町へ移り住んだことを機に、2016年8月に実店舗をオープン。
扉を開けると、ふわりと漂うスパイスの香り
店内には絵本だけでなく、手づくりのお菓子やパン、現地で買い付けた雑貨なども並び、スウェーデンのお茶時間「FIKA(フィーカ)」が楽しめるよう、カフェスペースも設けられている。
ショーケースいっぱいに並ぶケーキに、種類豊富なクッキー。自然が多く、静かな空気が流れる「神武寺」の街並みに、緑豊かなスウェーデンの風景がそっと重なる。
国旗やダーラナホースなど、スウェーデンの装飾が楽しい
「スウェーデンにある田舎のおばあちゃんち」をイメージし、オーナーご夫婦が自ら手を加えてつくり上げたという店内。
華やかすぎず、日々の暮らしの中でふらりと立ち寄れる。そんな距離感も、「Lilla Katten(リッラ・カッテン)」を通してスウェーデンを身近に感じられる理由のひとつだ。
ガイドブックには載っていない、現地の文化や日常をありのまま伝えたい。その思いを大切にしながら、お客さんにスウェーデン文化を発信し続けている。
お菓子の向こうにあるスウェーデンの暮らし
スウェーデンから訪れた人も「なつかしい」と喜ぶケーキ
季節を大切にするスウェーデンでは、「フィーカ」や祝祭の場に甘いお菓子が欠かせない。そんな場面で食べられる伝統的なケーキや焼き菓子を実際に味わうことができるのも「Lilla Katten(リッラ・カッテン)」の魅力だ。
お菓子とパンの製造を担当する筒井さんは、和菓子づくりを学んだ経歴があり、繊細な作業で培った技術を洋菓子づくりにもいかしているという。
ショーケースには、スウェーデンを代表する「プリンセスケーキ」や「ブダペストロール」、「シルビアケーキ」など、日本ではめずらしいケーキがずらりと並び、どれを選ぶか迷う時間も楽しい。
なかには「Lilla Katten(リッラ・カッテン)」 だけのオリジナル商品も
クッキーは10種類以上がラインナップ。スウェーデンでは「フィーカ」の際に「7種類のお菓子」を用意してもてなす習慣があるという。
ユニークな形のクッキーは見た目にも楽しく、ほろっと素朴な味わいに癒されて会話も自然と弾むことだろう。
スウェーデン伝統のお菓子には国旗のマークがついている
今回の取材のメインは「シナモンロール」。生地に練り込むカルダモンは、オーナー自ら挽いているそう。粗挽きにすることでカルダモンの豊かな香りを引き出し、スウェーデンのシナモンロールならではの奥ゆかしい味わいを生み出す。
広げた生地にシナモンとバターを塗り込み、丁寧に巻いてカット。仕上げにたっぷりとトッピングするのが、粒の大きな「ニブシュガー」だ。見ているだけで、甘くとろける香りが想像できる。
シナモンロールには、やっぱりコーヒーを合わせたい。
店内の撮影を終え、早速シナモンロールとともにコーヒーを注文。フィーカの準備万端で席に着く。
コーヒーとお菓子で心をほぐす!国民が愛するシナモンロール(イラストあり)
illustration by まるやまひとみ
欲張りな私は、シナモンロール3種類を食べ比べ。定番のシナモンロールに加え、「りんごのシナモンロール」と「かぼちゃのシナモンロール」も常時販売しており、開店後すぐに売り切れてしまうこともある人気商品だ。
イートインでドリンクを注文すると、棚に並ぶカップの中から好きなものを選べるのもこのお店ならではの楽しさ。
この日は、スウェーデンの陶器ブランド「グスタフスベリ」の「ベルサ」シリーズのカップをチョイスし、ワクワクしながらシナモンロールとコーヒーが運ばれてくるのを待つ。
「シナモンロール」¥260(税込)/「コーヒー」¥550(税込)
うずまき型に成形するのもスウェーデンシナモンロールの特徴。日本では手に入りにくい「ニブシュガー」はスウェーデンから取り寄せているといい、これもこだわりのひとつだ。
ドリンクを頼むとクッキーをひとつ添えてくれる心遣いもうれしい。
窓からさす光にかざして眺めたくなるかわいらしいビジュアル
現地のシナモンロールは噛みごたえのあるむぎゅっとした生地が多いが、こちらのシナモンロールはふわっとソフトな食感。渦巻き状にすることで外側はふっくら焼き上がり、中心に近づくほどシナモンフィリングが濃厚になってしっとりとしたくちあたりに。
生地自体の甘さを抑えている分、シナモンの甘さと風味がじわじわと広がってくる。そこにカルダモンの清涼感が加わることで不思議とすっきりとした後味に。
「かぼちゃのシナモンロール」¥340(税込)/「りんごのシナモンロール」¥340(税込)
続いていただくのは、シナモンフィリングと具材を一緒に巻き込んだお店オリジナルのシナモンロール。
「かぼちゃのシナモンロール」は、ペースト状にしたかぼちゃがみっちり詰まっていて、かぼちゃの存在感がしっかりと感じられる満足感のある一品だ。
また、トッピングされたかぼちゃの種が、香ばしさとカリッとした食感をプラス。ねっとりとなめらかなかぼちゃにシナモンの香りが重なり、豊かな風味が広がっていく。
噛んだ瞬間に果汁がじゅわっとあふれ出す「りんごのシナモンロール」
「りんごのシナモンロール」は、丁寧に手づくりした煮りんごをたっぷりと巻き込んだ一品。りんごのみずみずしさが生地にもなじみ、しっとりとしたくちあたりに仕上がっている。
りんごの甘酸っぱさを引き立てるのが、カルダモンのさわやかな香り。コーヒーはもちろん、紅茶とも合わせたくなるシナモンロールだ。
窓際の花がコーヒーの表面に揺れ、カップの模様が映える
東逗子のコーヒー屋にブレンドしてもらっているというコーヒーは、お菓子との相性を考え、ほどよい苦味を効かせたコクのあるテイスト。
くちの中に残ったシナモンロールの甘さに、コーヒーの香りがスッと通り抜けていく。
目に入るカップの緑に癒されながら、シナモンロールをまたひとくち。
日常に、ひと息つく習慣を
7種類を揃えたクッキーの詰め合わせでおうちでもフィーカ
スウェーデンで暮らしてみると、実は人見知りなところや几帳面なところなど、スウェーデン人と日本人は似ている部分も多いという。
コーヒーとお菓子を囲み、気軽に言葉を交わす「フィーカ」の文化は、私たち日本人にとっても必要な時間なのかもしれない。
少しだけ、触れたことのない世界に飛び込んでみると新しい気づきを得ることができる。
特別な場所に行かなくてもいい。日常の中でささやかな楽しみを見つけに、いつもは通り過ぎてしまう駅で降りてみよう。そこに小さな出会いがあるかもしれない。
あなたもぜひ「Lilla Katten(リッラ・カッテン)」でフィーカを楽しんでみてはいかがだろうか。
SHOP INFORMATION
| ショップ | Lilla Katten(リッラ・カッテン) |
|---|---|
| 公式HP | https://lillakatten.com |
| SNS | https://www.instagram.com/lillakatten_shop |
| 住所 | 神奈川県逗子市池子2-11-4 神武寺ハイム103 |
| 電話番号 | 046-874-9701 |
| 営業時間 | 12:00〜17:00 |
| 定休日 | 日曜日、月曜日、祝日 |
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