【東京・茗荷谷】 香りを旅するケーキに出会う「パティスリーレセンシエル」
旅する朝活スイーツライター
林 美帆子
東京メトロ丸ノ内線・茗荷谷駅から徒歩約7分。春には桜で彩られる文京区・播磨坂。その坂沿いに佇む「Patisserie L'essentielle(パティスリー レセンシエル)」は、“香り”を大切にするパティスリーです。
バジルやフランキンセンス、金木犀、そして焼きたてのシュー生地まで。オーナーシェフ・牛島源希さんに、香りからケーキを生み出す発想や、記憶に残るおいしさへの思いを伺いました。実際に味わったケーキとともに、その世界をご紹介します。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
目次
播磨坂に佇む、穏やかな雰囲気のパティスリー
春は桜の名所として知られる播磨坂
播磨坂沿いの角地に佇む店舗。赤いオーニングが目印です。
晴れた日はテラス席もおすすめ
店内は、穏やかで落ち着いた雰囲気です。イートインは店内13席、テラス4席の計17席。天気のよい日はテラス席でもケーキやドリンクを楽しむことができ、テラス席は犬連れでも利用できます。
ショーケースには端正なケーキが並びます
香りを手がかりに、おいしさを組み立てる
「パティスリーレセンシエル」の牛島シェフ
オーナーシェフの牛島源希さんが香りに興味を持ったのは、フランスへ渡る前から。花や香水の文化が身近な南フランスを選んだ時点で、すでに「香りを探してみたい」という思いがあったそうです。香りが日常にあふれる環境で暮らしたことで、その意識はさらに深まっていきました。
ケーキの発想は、食材同士に感じる「香りの共通項」や組み合わせのセオリー、旅先で見た風景やその土地の食材など、さまざまなところから生まれます。理論上は相性が良くても、実際に味わうとしっくりこないこともあるそう。
大切なのは、意外な組み合わせそのものではなく、最後にきちんと「おいしい」と感じられること。牛島さんは「基本的にいつも苦労している」と笑いながら、販売後もよりおいしい形を探して手を加えていくと話します。レセンシエルのケーキは、これからも少しずつ進化していきます。
土地や季節の風景を、ケーキの中へ
シチリア島をイメージした一品
牛島さんは、旅先で見た風景やその土地の食材からケーキを発想することもあるそう。そのひとつが、イタリア・シチリア島をイメージした「シチリア」です。ブラッドオレンジをベースに、火山島をイメージした黒いビスキュイ、タイムやフランキンセンスの香りを重ねています。
四角いフォルムを大切にする理由
同じような四角いフォルムに見えても、中には味わいの変化が設計されています。
ショーケースに並ぶケーキは、四角いフォルムが中心。あえて形を揃えることで、見た目だけではなく「今、自分は何を食べたいだろう」と、味や香りに目を向けてもらいたいと言います。また、四角形は最初のひとくちから各パーツをバランスよく味わいやすいのも特徴。内部には変化をつけ、食べ進める中で味わいに“波”が生まれるよう設計されています。
個性的なケーキ2種を食べ比べ
「ケーキにバジル?」が、ひと口で覆された「ニソワ」
「ニソワ」 ¥662(税込)
「ニソワ」は、ココナッツのムースにトロピカルフルーツのジュレを重ね、そこへバジルの香りを合わせた一品。最初はその意外な組み合わせに驚きましたが、ひとくち食べると、驚きは納得へ変わります。
ココナッツとトロピカルフルーツの軽やかな味わいの中に、バジルがふわりと香り、心地よいアクセントに。牛島さんが話してくれた、「食材の中に香りの共通項を見つけることがある」という言葉を思い出しました。
一見すると意外でも、食べてみると不思議なほど違和感がない。その意外性とおいしさのギャップもまた、「ニソワ」を記憶に残る味わいにしていました。
ひとくちごとに、シチリア島へ旅するような「シチリア」
「シチリア」 ¥662(税込)
取材中に背景を聞いて、絶対に食べてみたいと思ったのが「シチリア」でした。実際にいただくと、上の層には軽やかさがあり、食べ進めるにつれてぐっと重厚な味わいへ。
それぞれ単独でもひとつのケーキになりそうなくらい異なる世界観なのに、一緒に頬張るときれいに重なり合う。そして、ひとくちごとにいい香りがふわりと鼻へ抜けていきます。
牛島さんが旅先で見たものや感じたものを形にすることもあると聞いたあとだったからでしょうか、まるで旅しているような気持ちになりました。
ケーキのお供には「レモンバーベナ」のハーブティーを
「レモンバーベナ」 ¥600(税込)
スタッフの方におすすめしていただいた「レモンバーベナ」。カップに顔を近づけると、やさしい香りがふわりと立ち上がり、思わずほっと肩の力が抜けます。ケーキの香りとも心地よく重なり、ゆったりと楽しめました。
焼きたての香りまで味わう「シューアラクレーム」
「シューアラクレーム」¥509(税込)
「シューアラクレーム」は、トンカ豆が香るカスタードクリームがたっぷり。クリームの存在感がありながら、シュー生地はへたらず、外側のサクッとした食感もしっかり残っています。
取材では特別に、クリームを詰める前のシュー生地も味わわせていただきました。皮だけをひとくち食べて、「皮だけで、こんなにおいしいんだ」と驚きます。外はサクッ、中はしっとり。牛島さんの言葉を借りれば、「ジューシーな皮」です。
取材では特別に「シューアラクレーム」を仕上げる工程を見せて頂きました。
サクッと香ばしいシュー生地の中には、トンカ豆が香るカスタードクリームがたっぷり。
牛島さんが一番意識しているのは、トンカ豆だけでなく、焼きたてのシュー生地そのものの香り。生地を焼き、粗熱が取れたらすぐにクリームを詰められるシュークリームだからこそ、焼きたての魅力を届けやすいといいます。
香りとは、特別な素材を加えることだけではない。素材そのものの香りをどういかし、どのタイミングで届けるか。シューアラクレームからも、レセンシエルの香りへの考え方が伝わってきました。
その時々のケーキとの出逢いを楽しみに
焼き菓子も豊富にラインナップ。かわいらしいボックスは手土産にも。
店内には焼き菓子もずらり。かわいらしい箱に詰められた焼き菓子は、手土産にもぴったりです。
ケーキはその都度補充されるため、店頭に並ぶ種類はタイミング次第。取材後の10:30頃には、すでに3種類ほど姿を消していました。お目当てがある方は早めの来店がおすすめですが、その日ならではの出逢いを楽しむのも素敵です。
牛島さんが大切にしているのは、まず「おいしい」こと。そして、意外性も含めて印象に残るお菓子であること。目には見えない香りが、季節や遠い土地の風景、食べた日の記憶を連れてくる。焼き菓子を手に播磨坂をあとにしながら、次はどんな香りに出会えるのだろうと、もう次の季節が楽しみになりました。
SHOP INFORMATION
| ショップ | Patisserie L'essentielle(パティスリー レセンシエル) |
|---|---|
| 公式HP | https://www.lessentielle.info |
| 住所 | 東京都文京区小石川4-16-7 |
| 電話番号 | 03-6320-8669 |
| 営業時間 | 10:00~18:00 |
| 定休日 | 木曜日、第2・第4水曜日または第5水曜日 |
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