甘さと酸味の絶妙なハーモニー
白い六角形の姿が美しい「セラヴィ」は、ここを訪れるたび必ず選んでしまう特別な一品。日本を代表するパティシエ・辻口博啓氏が1996年のソペクサコンクール(仏大使館主催の仏菓子コンクール)で見事優勝を勝ち取った代表作だ。
セラヴィとは、フランス語で「人生」の意味。辻口シェフに由来を尋ねると、「このケーキは自分のすべてを賭けて生み出した、まさに人生そのものだから」。あまりにシンプルで奥深い回答をいただき、なぜだか泣きそうになってしまった。
ホワイトチョコムースにフォークを入れると、中から現れるのはピスタチオのスポンジとフランボワーズとショコラのムース。底にはフィヤンティーヌ(フレーク状に砕いたクレープ)が敷いてあり、まろやかな甘さとさわやかな酸味、サクサクの歯ごたえが口のなかで混じり合い、美味しさが幾重にも広がる。
フランボワーズの先にナパージュ(フルーツを乾燥から守るために使うジャムのようなもの)を一粒落としているのも見落とさないでほしい。光を受けてきらきらと輝くしずくはまるで、人生に寄り添う一粒の涙のようだ。
愛され続けて、プチガトーの殿堂入りに
実はオープンから2年ほどたった頃、あまりにもセラヴィが売れるため、いったん販売を休止したことがあるという。
ところが「どうしてセラヴィを置いてくれないのか」「セラヴィを食べるためにはるばる遠方から来たのに!」とクレームが殺到。お客さまの鬼気迫る「セラヴィ愛」に押されて、再び取り扱うことになったのだそう。こんなスペシャルな逸話を持つケーキ、他にあるだろうか?
「うちのケーキはセラヴィだけではないですよ」と、辻口シェフは困ったように笑う。
けれどやはり、セラヴィなくしてモンサンクレールのケーキを語ることはできない、とも切に思う。580円で味わえる、甘くて切ない人生の味。ぜひあなたにも味わってほしい。
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