こんにちは、寺本恵里です。

今回は、京都で創業210年、京菓子の老舗『亀屋良長』の新ブランドとして、今年6月にデビューした「吉村和菓子店」をご紹介します。

私が「吉村和菓子店」を知ったきっかけは、私の友人の会社がこちらのWEBサイトをつくっていたことでした。

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サイトで拝見した「種まき」という商品のかわいらしい見た目と、GI値をおさえた素材を使って、からだに負担がかからないお菓子をつくっていることがとても丁寧に書かれていて、和菓子でここまで素材に本気でこだわられているのは他にないと、興味を持ったのがきっかけでした。

今日は、「吉村和菓子店」のお菓子をつくられている亀屋良長の八代目吉村社長(写真右)と、商品企画をされている奥さまの由依子さん(写真左)にお話を伺いしました。

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きっかけは、八代目の病気

まず、京都の老舗和菓子屋さんが「吉村和菓子店」という新ブランドをつくられたきっかけを教えていただけますか?

八代目きっかけは、私が10年前に病気をしたことです。お肉、魚、乳製品、卵など食べられないものが増えてしまい、白砂糖を含む和菓子の味見も負担になってしまったんです。そこから、自分でも安心して食べられるお菓子をつくりたいと思いはじめました。

由依子さん夫である八代目の病気をとおして、社会的にも生活習慣病の方が増えていることに目を向けるようになりました。オーガニックやヴィーガン、ベジタリアンという言葉も若い人たちにも浸透している社会の変化に応じて、からだに安心なお菓子をつくりたいと思いました。

お菓子をつくること、からだに安心な素材を知るために、どんな勉強をされたんですか?

由依子さんもともと大学時代に食物栄養学科で調理学を専攻し、フランスのコルドンブルーでフランス料理を学びました。帰国して結婚してからは和菓子のことが知りたくて、京都府の菓子訓練校に通いました。

なんて熱心な奥さま…!素晴らしいですね。

八代目和菓子に洋菓子の要素を用いることや、今までつくったことのない素材を提案されることに、最初は抵抗がありました。ですが、取引先やお客さまからも「からだにやさしいお菓子がほしい」という声が聞こえてくるようになって思い起こしました。自分のからだもお客さまのからだも同じ。京菓子はこうでなくてはならない、というこだわりを捨てて、新しいお菓子をつくろうと思ったんです。

そして、『亀屋良長』から新しい展開としてスタートしたのが、“からだにも こころにも やさしい京菓子”をコンセプトにしたお菓子ブランド「吉村和菓子店」の「焼きほうずい 種まき」です。

カラフルで可愛くてからだに嬉しい「焼きほうずい」

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まず、「焼きほうずい」ってどういうお菓子なんですか?

由依子さんもともと干菓子の一種で「鳳瑞(ほうずい)」というお菓子があるんです。卵白を泡立てて寒天で固めたお菓子で、「種まき」はそれを乾燥させたものです。低GI値のココナッツシュガーを使っています。

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そうして生まれた「種まき」は、口に入れた瞬間ぱしゅっと溶けてなくなり、ゴマや炒り玄米がカリカリと残って、今まで食べたことないような食感。噛みごたえがあるのにとても軽くていくつでも口に運んでしまいます。

この自然な色だけでカラフルに仕上げられたかわいらしい見た目で、「種まき」というネーミングも絶妙だと思いました。ゼロからこのデザイン、このネーミングにいきつかれたお話を聞かせてください。

由依子さん北海道の農研機構の方から北海道産のかぼちゃの種や韃靼そばの実、同じ時期に別の取引先からも炒り玄米をいただいて、どれもとてもおいしい!と思いました。これをお菓子に使えないかと思ったのがきっかけです。まず素材に出会って、そこからアイデアを広げていくのが楽しいんです。

インスピレーションの源は「素材」からなんですね。

由依子さんそうですね。あとは、本を読んで日本語のきれいな言葉から発想を得ることもあります。「種まき」は、もともと板チョコみたいなバーにしようと思っていて、4つの種やナッツなどの具材をのせて、それが「畑」に見えるのが面白いと思いました。

なるほど!板チョコという発想も、4色にして「畑」というのもとても面白いですね。

由依子さんだけど、バーみたいなものを割って食べるのは食べにくいかなとも思いました。商品開発やパッケージデザインにも関わってくださっている「SOU・SOU」さんにも相談してみたところ、亀屋良長のロゴマークでもある亀甲型にしてみてはとご提案いただき、焼いてみたら亀甲型の角が出ずに丸い形になりました。

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もともとの生地がメレンゲだから柔らかかったんですね。

由依子さんそれを見て丸がかわいいと思えたんです。スタートの畑のイメージは残したかったので、「種まき」と名付けました。和菓子は四季を大切にするので、今後は、種まきから収穫したような色目で「収穫祭」と名付けてつくりたいです。

糖尿病の方でもコクと甘味を感じられる「美甘玉」

こちらは、「美甘玉(みかもだま)」。亀屋良長が創業時からつくっている代表銘菓でもある「烏羽玉(うばだま)」を味わいを変えてつくられました。

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つるん、ぷるんとした表面は寒天でコーティングされていて、中にはココナッツミルクとココナッツシュガーでつくられた餡が入っています。“糖尿病の方でも食べられる烏羽玉”として企画されたのだそうです。

こちらも、すっごくおいしくて、まるでキャラメルの風味を感じられるほどのコクや甘みがありますね!

八代目私も病気をしてから、健康食品ショップで色々と買ってみましたが、どれもからだには安心でも味わいとしては物足らないものが多かったんです。和菓子をつくる技術さえしっかりあれば、素材を研究し、素材の特徴をつかんで伝統の知恵をミックスさせることができます。そうやって、からだに安心だけではなく、こころからおいしいと思える今までにないものを目指しています。

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からだにやさしいのに、ちゃんと甘みや風味を感じるおいしさの秘訣は、今まで受け継がれてきた伝統技術なんですね。つくられながら、八代目ご自身が安心して食べられるというのも大きいですね。

八代目そうですね、自分のからだをとおして、たくさん実験しました。食べた後にお腹が痛くならないか、気持ちわるくならないか。科学的な根拠はころころ変わりますが、自分のからだが一番良く知っています。

「吉村和菓子店」の今後の展開

最後に、今後はどのように展開されていく予定ですか?

由依子さん健康的なお菓子は自分で買って自分で食べることも多かったんですが、これからは贈り物として「ギフト」もつくっていけたらと思っています。焼きほうずいの新シリーズも出したいですし、わらびもちも計画中です。

「吉村和菓子店」のわらびもち! とても楽しみです。八代目、由依子さん、今日は本当に貴重なお時間をありがとうございました。

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『亀屋良長』さんの店舗は、現在改装中です。

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11月にリニューアルオープンする新しい店舗では、「亀屋良長」「吉村和菓子店」以外も、和菓子と洋菓子の要素を組み合わせたブランド「Satomi Fujita」の3つのブランドコンセプトに合わせたディスプレイをつくるとのこと。四条通りに面して明るい雰囲気の店内で、イートインコーナーもつくられるそうですよ。

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Satomi Fujita / 国産の栗を裏ごしして生クリームとラム酒で仕上げた栗のお菓子「まろん」。
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亀屋良長 / ココナッツオイル、メープルシロップ、ピーカンナッツを粉にして小麦粉と合わせて作られた「焼きココナッツ」。

そしてさらに!11月初旬には、由依子さんが作られたレシピ本が宝島社さんから発売されるそうです。SOU・SOUさんのお皿付き!こちらもとても楽しみですね~。私、絶対買います!

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リニューアルオープンされる11月15日頃までは工事中の店舗北側の仮店舗で営業されています。「吉村和菓子店」のからだに負担のかからないお菓子のおいしさをぜひ味わってみてください!