こんにちは。写真家の飯本貴子です。

今回は、和菓子店「廚 菓子 くろぎ」(くりや かし くろぎ)を紹介します。

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場所は、なんと、東京大学キャンパス内。春日門をくぐるとそこには、和モダンな建物があります。ルーバー使いが特徴的な店舗の設計は、新国立競技場などの設計でも話題の、隈研吾さんによるもの。

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外の風を感じるテラス席もあって、これからの季節に心地良さそうです。

さっそく、株式会社kurogiの森藤崇さんにお話を伺いました。

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森藤東大構内で新店舗の公募をしていたことが、『廚菓子くろぎ』のはじまりでした。おかげさまで決まったのですがはじめは、何屋をするか何も決まっていない状態でばたばたでした。

和菓子店に決めた背景には、2013年に日本料理が「無形文化遺産」に登録されたのにも関わらず、和菓子がその中に入っていなかったことがありました。

森藤当時、板前は海外で引っ張りだこだったのに対し、日本ではパティシエブーム。和菓子にはあまりスポットが当たっていませんでした。東大生は、これから世界へ羽ばたいていく存在。在学中に本物の和菓子の良さを知ってもらい、その魅力を広めてもらえたらと思い『和菓子店』にすることを決めました。

「廚菓子くろぎ」の看板メニューは、蕨もち、くずきり、あんころもち、塩アイス。最近は、月替わりのかき氷がお目当てのお客さまも多いのだそうです。

森藤2015年の初夏くらいからかき氷を始め、9月には和栗のかき氷をご用意いたしました。本当はその年だけで終わりにしようと思っていたのですが、かき氷好きのお客さまから、止めないで続けて欲しいとの声を受け、そのまま月変わりで出し続けています。かき氷が、お店に足を運ぶきっかけの方も多く、その次に蕨もちなどを召し上がりに来てもらえるのもうれしいですね。

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また、看板メニューの和菓子にはそれぞれ珈琲セットのメニューがあり、「猿田彦珈琲」さんに特別にブレンドしてもらった、和菓子に合う珈琲「絹しずく」を出しています。バリスタの方が、その場で一杯一杯丁寧に淹れてくれます。

容器も、ひとつひとつ形が異なり、とてもかわいいです。

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いざ実食。まずは、人気商品の「あんころもち」からいたただきます。

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このあんころもちは、できたてほやほやで、ほんのり暖かさが感じられます。もっちりとしたお米を優しく包む粒餡は、甘さ控えめ。ほんのり感じる塩気が甘さを引き立てます。

一口ほおばり、一緒にお出しいただいたカフェラテをごくり。「あんぱん×牛乳」という王道の組み合わせのように、あんこにミルクが合うことを実感します。

カフェラテは、ふわふわに泡立ったミルクたっぷり。とてもあっさりとしていて、珈琲が苦手な方も飲みやすそう。酸味がある珈琲だからか、さっぱりとしていてくどくなく、あんころもちとの相性もばっちりです。

次にいただいたのは、「蕨もち」。こちら、一番人気のメニューです。

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私たちが想像する蕨もちとは違い、黒っぽい見た目が印象的。本蕨粉を使用しているのですが、賞味期限は30分なので、注文をいただいてからつくり、つねに出来立てを提供しているとのこと。

森藤蕨もちも、くずきりも、あんころもちも、できたてを提供しています。だから、どれも少し出来立ての温もりがあります。本家の料理店でも、カウンター割烹というスタイルなのですが、全てを目の前でつくっています。

森藤従来の和菓子屋さんは、工場でつくってお店に並べるところが多いです。私たちは、ライブ感を大切にしているので、注文してから出来上がるまで、お客さんにもワクワクしながら待ってもらっています。そういうところは、料理屋発だからこそ意味があるのではないかと思っています。

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粉と水だけだから、どんどん縮んでしまうというのに驚きました。

ちなみに、こちらの蕨もち、贈答用のお持ち帰りの品もあるのですが、こちらは蜜づけにしているので、また少し違う食感とのこと。なんだか、化学の実験みたいで面白いです。

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では早速、いただきます。弾力が凄くて、それがお箸で掴んだ瞬間から伝わってきます。まずは、きな粉をつけて。きな粉の香ばしさが口一杯に広がり、驚きのもちもち、ぷるっぷるの食感に目を丸くしました。(噛み切るのが大変なほど…!)

きな粉も、毎朝煎っているものらしく、香ばしい香りがたまらないです。こちらも、少し塩気があって、甘みを引き立てます。

次は、抹茶風味のうぐいす粉で。抹茶のほろ苦さと、香ばしい香りがくすぐります。香ばしさの正体はうぐいす粉が混ざっているとのこと。

どちらも、黒蜜をかけて食べましたが、ほろ苦さと黒蜜の相性がばっちりで、私はきな粉はそのまま、「抹茶×黒蜜」が好みでした。

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蕨もちには、桜の塩漬けが散らされているのですが、それを一緒にいただくことで、甘みも引き立つし、口の中の甘さもさっぱり。飽きることなく、最後まで楽しめます。自分で好きなように味を楽しめるので、ぜひ自分の好みの味付けを探してみてください!

一緒にいただく珈琲は、今度はブラックで(カフェラテと選べます)。酸味があるのですが、さっぱりしていて、飲みやすい珈琲です。酸味が強い珈琲は、少しの量で満足するのですが、こちらはするする飲みやすく、蕨もちにぴったりでした。

一緒についてる、柴漬けや、和三盆のお干菓子とも相性ぴったり。お抹茶よりも、和菓子に合うのでは…! というのが、一番の驚きでした。

最後に、水羊羹を。

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器の周りは氷で冷やされていて、見た目も涼やかです。つるりと滑り込むように入る水羊羹は、とても舌触りが滑らか。優しい小豆の甘さと、冷たさが沁みる、幸せな一匙です。これから暑くなる季節に、水羊羹で涼むというのも良いのではないでしょうか。

和菓子と珈琲という新しい組み合わせを、目と舌で楽しめる和菓子屋でした。月変わりのかき氷も気になるし、またふらりと訪れたいと思うのでした。