時間がゆっくりと流れている欧州の中でも、ひときわのんびりしているのがポルトガル。中世の趣が色濃く残る街並みを歩いていると、僕はどこか懐かしい、日本でいうところの昭和の空気を感じたりします。そんなポルトガル、実は知られざる甘いもの天国なのです。

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ポルトガルには、ショーケースの中にたくさんの甘いものを置いているPastelaria(パステラリア)と呼ばれるカフェがいたるところにあります。そこでは老若男女が朝から晩まで甘いものを、ぱくぱくと頬張っています。

早速僕も、ポルトガル生まれのお菓子「パステル・デ・ナタ」とコーヒーを頼みました。こんがり焼け色のついたカスタードクリームとサクサクのパイ生地。いわばポルトガルの「エッグタルト」です。

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一口食べただけで思わず顔がにやつくおいしさ。口の中がとことん甘くなったところを、コーヒーで追いかける。

ただ、コーヒーがとんでもなく濃厚で、のけぞりそうになるほど苦いんです。世界中でコーヒーを飲んできましたが、ポルトガルのコーヒーはまちがいなく世界トップレベルの濃さです。いつの間にかパステル・デ・ナタとコーヒーの「甘い、苦い、甘い…」のループが止まらない状態に。

次の日、これもまたポルトガル生まれのお菓子の「アローズ・ドセ」を食べてみました。

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このお菓子は、「ライス・プディング」として知られる、お米のスイーツ。ガラスの容器に乳白色のプディングがつやつやと輝き、ほんのり甘いお米の向こうに、レモンとシナモンの香りがふわりと立ち上ります。もったりとしたプティングの味に、気持ちのよいさわやかさを与えています。これもまた、やたらと苦いコーヒーと合うのです。

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僕がポルトガルの甘いものを食べて思ったのが、どれもいい感じに”肩の力が抜けた味”だということです。

言い換えるならパテシエのエゴを感じないというか、昔からのレシピできっちり作ってますよ、という味なのです。だから甘いものからプレッシャーを感じないのです。

何も変えず、ゆっくりと、ありのまま。やっぱり街も味も民族性が出るんです。そんなポルトガルの話でした。

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