埼玉と東京の中継地点である池袋は、一日に約56万人もの人が駅を利用します(JR東日本調べ)。なんと東日本にある全駅の中で、池袋駅は利用者数が2番目に多いんです。

年末にかけてさらににぎやかになるこの街で、時間を気にせずくつろげるお店があると嬉しいですよね。今回は、東京メトロ「池袋」駅直結の駅ビル「Esola池袋」にある「本と珈琲 梟書茶房(ふくろうしょさぼう)」をご紹介します。

2017年の6月末にオープンした梟書茶房は、ドトールコーヒーショップ(以下、ドトール)を展開する株式会社ドトールコーヒーと、神楽坂の書店「かもめブックス」代表でエディトリアルジェットセットの柳下恭平さんとのコラボレーションによって誕生。

名前の通り本と喫茶を楽しめるお店ですが、梟書茶房は最近よく聞く「ブックカフェ」とはちょっと違ったこだわりを持っていました。

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読書好きの好奇心をくすぐる「シークレットブック」

シャンデリアが吊された店内は、木を貴重とした机と椅子が並んでおり、まるで洋館に入り込んだような気分にさせてくれます。入口の突き当たりにはコーヒーカウンターが設置されており、梟書茶房オリジナルのカップが並んでいました。

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約100坪の広い店内には、複数のエリアが用意されています。入口を入って左手にあるのは、「シークレットな本屋さん」。こちらは柳下恭平さんが選んだ約2,000冊の本を収納しています。なんとすべて袋とじ本(シークレットブック)になっているため、タイトルは購入してカバーを取ってみるまで分かりません。

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本の内容を推測できる唯一の手がかりは、柳下さんによって書かれた100字程度の「あおり文」。タイトルやあらすじを伝えすぎない配慮がされています。あおり文のほかに、シークレットブックには番号が振られているため、好きなナンバーや誕生日から連想して選んでみるのもオススメです。この少ない情報を手がかりに何かピンとくる本に出会えたら、それは運命の出会いかもしれませんよ。

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プレゼントにしても喜ばれそう

店内の右奥には、こちらも柳下さんが選んだ1000冊の本が並ぶ「図書エリア」。こちらの本は自由に閲覧できます。さらにコーヒーカウンターをはさんだ反対側には、図書館をモチーフにした「アカデミックエリア」も設置。ゆっくりと読書を楽しみたい方はこの2つのエリアがオススメです。

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図書エリア
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右側には雑誌の棚も用意

アカデミックエリアの机の下には柳下さんの選書が入れられており、座る席によって置かれている本が変わります。思いがけないところにも、本との出会いが演出された粋なつくりです。

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お気に入りの席が決まっているお客さんもいらっしゃるとのこと

梟書茶房はコーヒーのみならず、パスタやホットドッグ、サンドイッチもご用意しています。おしゃべりとお食事も楽しみたい方は「ラウンジ」や、晴れた日は「グリーンテラス」でくつろぐのもいいかもしれません。

お客さまの目的に合わせてフロアを選べる、梟書茶房はそんな贅沢な空間です(飲食はどのエリアでも可能です)。

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情報を“渡しすぎない”書茶房

通常のブックカフェとは違った工夫がされている梟書茶房。お店をオープンした経緯やスイーツのこだわりなど、ドトールコーヒーの取締役・菅野眞博さんにお伺いしました。菅野さんは1979年にドトールコーヒーに入社。営業をはじめ焙煎工場の工場長などを経験され、長年アツい情熱をコーヒーに捧げてきた方です。また現在は、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)の副会長も務められています。

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ドトールコーヒーの取締役・菅野さん。豆の買い付けのため、世界数十カ国を回られたとのこと

菅野2017年の始め、Esola池袋のリニューアルにともない4階の広いスペースに新店舗をオープンすることになりました。「これほどの規模がある空間に、通常のドトールを開くだけではもったいない」そう考えていたところ「かもめブックス」の店主・柳下さんと出会い、コーヒーと本への愛情をつめた梟書茶房が誕生しました。

店の特徴のひとつが、シークレットブックを並べた本棚です。柳下さんは普段読書をしない方にどうやったら本を手に取ってもらえるのかを、常に考えている方でした。今の時代ってたくさんの本が売られているので、書店に行ってもどれを読めばいいか分からない方が多いそうです。それに書店は新刊本をメインに置くため、昔の名著にはなかなか出会いにくい。

そこで、「だったらこちらから、本の情報をコントロールしたほうがお客さまも選びやすいんじゃないか」と柳下さんは考え、オリジナルのブックカバーをかけたシークレットブックをつくってくださいました。

ミルクレープやシュークリームなどデザートにも力を入れているドトールコーヒーは、梟書茶房でもオリジナルスイーツをご用意しています。こちらの定番商品は、シフォンケーキが本の形になった『BOOKシフォン』。プレーンやショコラをはじめとした5種類を提供しています。今回は『プレーン&ストロベリー』と、『フレンチシフォン』をいただきました。

BOOKシフォン

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プレーン&ストロベリー(税込756円)

プレーン&ストロベリーは、カスタードを使用したアングレーズソースをかけていただきます。こちらは、「イチゴが果物で一番魅力がある」と考える菅野さんイチオシのスイーツ。イチゴと黄色いシフォンの色合いが鮮やかです。中はフワフワでありながら、きめの細かい生地がギッシリとつまっているのでボリューミー。添えられているミントがアクセントとなり、爽やかさを加えています。

使用するシフォン生地は、ドトールコーヒーのグループ会社がつくった焼きたてが毎日取り寄せられているそうです。「『BOOKシフォン』を開発する際は、フワッと感を出すためにけっこう作り直しをしましたね」と、菅野さん。

フレンチシフォン

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フレンチシフォン(税込756円)

『フレンチシフォン』にはメープルシロップ、生クリーム、バナナのカラメリゼが添えられています。シロップと溶けたバターが生地に染み込み、食べる部分によってフワフワとしっとり感を交互に堪能できる贅沢なケーキです。バナナはパリパリとした食感が香ばしく、カラメルの風味も感じながらいただけます。

菅野『フレンチシフォン』は名前の通り、シフォンケーキとフレンチトーストを組み合わせてつくったスイーツです。ドトールコーヒーの現会長が、以前「売れる秘訣は定番と定番を組み合わせること」と言っていました。そのアイディアを参考にしてスタッフと話し合った結果、フレンチシフォンが誕生。温かいデザートですから、これからの季節にもオススメですよ。

『BOOKシフォン』のほかに、パンケーキも人気のスイーツです。

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パンケーキ(税込626円)

梟書茶房だからできる、本とコーヒーの化学反応

菅野さんと柳下さんは、ほかにも面白いコラボ商品を生み出しています。その名は「本と珈琲のセット」。これは柳下さんが選んだ本と、菅野さんがブレンドを考えたコーヒーを楽しめるセットです。

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本と珈琲のセット №4 (税込1,944円)

菅野本の内容ではなく、柳下さんが本を読み終わったときに抱いた感想を伺って、それをもとに、私がセット専用のブレンドをつくります。

どんな気持ちでお店にいらして、帰っていかれるのか——二人でコラボしてブレンドをつくることで、お客さまの気持ちをより一層想像するようになりました。内容はだいたい月に一度くらい変えていて、これまでは「偏愛」「寂寞(せきばく)」などがテーマでしたね。私がどうしてもつくりたいブレンドがあって、その味をもとに柳下さんに選書していただいたこともありました。

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今日は特別に菅野さんがサイフォン抽出をしてくださいました

オープン当初からSNSで話題になり、土日はすぐに席が埋まるほどの人気を持つ梟書茶房。菅野さんに、お店の今後の展望を伺いました。

菅野梟書茶房では、通常のドトールで扱っていない豆を使用しています。また、ゆっくりくつろいでもらうためにフルサービスを提供し、コーヒーは注文後に抽出。スピードを重視する従来のドトールとは真逆のスタイルをとっています。

ここはちょっと非日常的な空間に思われますが、できればもっと気軽に来ていただきたい。そのためには、以前から大切にしている「目遣い、気遣い、心遣いは原価0円」の信条をもった接客を心がけていきたいと思います。

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ドトールコーヒーに入社してからコーヒー一筋38年の菅野さんと、3日に1冊読むとしたら読むのに15年はかかるといわれる、2,000冊のシークレットブックを用意した柳下さん。コーヒーと本、それぞれに対する偏執狂の愛が、梟書茶房には存分に溢れています。ちょっと変わったブックカフェに行きたいと思っている方は、ぜひ梟書茶房に足を運んでお二人のこだわりに触れてみてください。

SHOP INFOMATION

NAME 梟書茶房(ふくろうしょさぼう)
URL https://www.doutor.co.jp/fukuro/
ADDRESS 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋 4F
TEL -
OPEN 10:30〜22:00(L.O. 21:30)

※他、臨時休業する場合があります