10月17日、CAKE.TOKYOの「Bean to Bar」特集で以前取材した、「Minimal -Bean to Bar Chocolate-」(以下、Minimal)の新作発表会に呼んでいただき行ってきました。
▼ 以前取材した際の記事はこちら
Bean to Barは“嗜好品”になれる。富ヶ谷発「Minimal」の描くチョコレートの未来。
今回の新商品発表会でメインで登場したのは、クリスマスとバレンタインの限定商品。「去年まではバタバタで、クリスマスギリギリにならないと告知ができなくて…」と代表の山下さんが笑いながら話してくださったのが印象的でした。
2017年クリスマス 新作商品3点
今年のテーマは、「with you」。単にチョコレートを食べるだけではなく、恋人や家族などと一緒に過ごす大切な時間をチョコレートが盛り上げてくれるような商品をつくりたい。そう考えて生まれた、とっておきの3アイテムです。
・シングルオリジンチョコレートのクリスマスケーキ
Minimal初のクリスマスケーキ。使用したチョコレートは、白ブドウのような風味が特長の「FRUITY BERRY – LIKE COLOMBIA」。名前の通り、コロンビア産のカカオ豆を使った、マスカットのような優しい酸味と甘みを感じるチョコレートです。しかも、インターナショナルチョコレートアワード世界大会2017で金賞を受賞した、クリスマスにふさわしいフレーバーなのです。
そして、このクリスマスケーキのすごいところは、香料を一切使っていないのにチョコレートのしっかりとした甘味と白ブドウのような香りが感じられるところ。実際に口に入れてみると、まず感じるのがチョコレートの濃厚さ。超濃厚なガトーショコラを食べているような気分です。
サイズは4号サイズ(直径21cm)なので、2〜4人ぐらいでシェアしてもちょうどいい大きさでした。今回試食させていただいたサイズは8分の1サイズでしたが、かなりの満足感があります。
「シングルオリジンチョコレートだけでつくったチョコレートケーキなんだよ」「香料を使っていないのにこんなに華やかな香りがするんだね」と、ケーキを食べながらチョコレートに興味を持つきっかけにもなるなぁと思いました。
これまで僕は、クリスマスといえば有名ブランドのケーキを買うものだ、と思っていたのですが、今年は、Bean to Barブランドのチョコレートケーキを買うのもいいかもしれないと思っています。
予約開始日は、12月2日。店頭・オンラインショップにて予約可能です。受け渡し期間は、12月22日〜25日。予約時に日時指定をして、富ヶ谷本店にて店頭受け取ることができます。お値段は、5,400円(税込)。
・オリジナルマグカップ付きホットチョコレートセット
2つのシングルオリジンチョコレートをブレンドしてつくられた「ホットチョコレート」セットです。お湯を注ぐだけで簡単に、本格的なホットチョコレートの完成です。
こちらも試食させていただいたのですが、ちょっとびっくりしたのが、飲み進めていくうちに少しずつ味わいが変わっていくところ。最初はカシューナッツのようなナッツ系の風味がまず感じられて、その後飲み進めていくと、少しハーブ系の風味が感じられるようになっていきます。
山下さん曰く「クリスマスと言えば、赤と緑。最初に赤をイメージするような風味から、緑をイメージするような風味に変わっていくことで、ホットチョコレートでクリスマスを表現したかった」とのこと。
これから本格的に寒くなったときに、いっそう贅沢に感じられるのは、リッチで濃厚なホットチョコレート。オリジナルのマグカップとともにプレゼントして一緒に飲むのがおすすめです。12月2日から、Minimal全店舗および、オンラインショップにて購入可能です。お値段は、2,484円(税込)。
・Music with Chocolate
音楽×チョコレートのコラボレーション「Music with Chocolate」。事前にアプリをダウンロードしたスマホをパッケージにかざすと、レコードが現れ、自動で音楽が流れる仕組みです。
今年の音楽は、キリンジの堀込泰行さんのカバーによる「Tie A Yellow Ribbon Round The Ole Oak Tree(幸せの黄色いリボン)」。チョコレートは、カシスのようなジューシーな風味が特長の「FRUITY BERRY – LIKE VIETNAM」。
予約開始日は、12月2日。店頭・オンラインショップにて受付可能ですが、限定1,000枚なのでお早めに。お値段は、1,620円(税込)。事前に「STYLUS&GROOVE」アプリをダウンロードしておく必要があります。
2018年バレンタイン 新作商品2点
続いて、バレンタイン。こちらのテーマは、「シーンに合わせた新しいオランジェット」。“朝食(Morning)”と“夜のデザート(Night)”という2つのシーンでそれぞれ楽しむことができる、オリジナルのオランジェットです。
・Minimal Orangette “Morning”
朝に食べることを想定してつくられた「Morning」は、果実味を損なわないようにコンフィしたオレンジに、ローストナッツのようなチョコレート「NUTTY CHOCOLATY COLOMBIA」で仕上げたオランジェット。少し甘くまろやかな風味ながら、1枚でもしっかりとした食べ応えがあります。
・Minimal Orangette “Night”
クローブやシナモンなどのスパイスを加えた赤ワインでオレンジをコンフィにして、甘くスパイシーなオランジェットに仕上げられています。コーティングしたチョコレートに「FRUITY BERRY – LIKE VIETNAM」が使われているのですが、カカオをしっかり焙煎することで、普段のチョコレートには無いスパイスの風味を引き出しています。こちらは、食後のデザートとしてワインやコーヒーと一緒に食べたくなります。
レシピの監修を依頼したのは、本店と同じ富ヶ谷に拠点を構えるフレンチレストラン「PATH(パス)」のオーナーパティシエの後藤裕一さん。何度もやり取りを重ねながら、商品を開発していったのだそうです。特に“Night”は、通常ベリーのような香りがするチョコレートを、あえてしっかりと焙煎してスパイスの風味を引き出すことで、満足感のある味わいを目指したのだそうです。
2018年1月20日から、それぞれ4枚ずつ入った合計8枚で、3,240円(税込)で販売予定です。
そして、今年のバレンタイン催事の出店は、以下の通り。他にもたくさんの問い合わせがあったそうですが、「自分たちの目が届く範囲でお客さまと言葉を交わして伝えていきたい」という想いから、4店舗のみの出店です。
・GINZA SIX : 1/31〜3/4(単独出店)
・東京ミッドタウン : 1/23〜2/14(単独出店)
・サロン・ドゥ・ショコラ : 1/20〜1/28
・阪急うめだ本店 : 1/24〜2/14
その他にも、カカオ産地によるチョコレートの味わいや違いを体験できる「Minimal Flight」や、パーティーなど大人数で集まるイベントにピッタリな「Minimal Party Box」、10月19日には東武池袋に新店舗をオープンする(リンク)など、内容盛りだくさんでした。
今回の新作発表会に先立って、Minimal代表の山下さんが、商品づくりに際してどんなことを考えてつくったのかを説明してくださいました。
チョコレートは、さまざまな可能性を秘めている
僕がCAKE.TOKYOの「Bean to Bar特集」で取材をした2016年1月以降、着実に「Bean to Bar」という文化が浸透してきているように感じます。
中でもMinimalは、ビール(KIRIN)や日本酒(福光屋)、コーヒー(丸山珈琲)とのペアリングコラボ、工房一体型の新店舗(東武池袋店)オープンなど、ライフスタイルにチョコレートとの接点をどんどん増やしていこうとしている印象がありました。
今回、代表・山下さんの商品開発の話で何度も出てきたのは、「Life with Chocolate」というコンセプトでした。
これまで、Bean to Barというと、Bar(板チョコレート)だけのイメージがありました。ただ、カカオ豆を活かす機械の導入や独自の商品開発によって、板チョコレートだけでなくさまざまな商品をつくれるようになりました。
Minimalのビジョンである「チョコレートを新しくする」のもと、チョコレートをそのまま食べるだけでなく、人々の生活の中で豊かに彩るアイテムとして確立させていく。それが、Minimalの考える「Life with Chocolate」です。
山下チョコレートは食べ物に留まることなく、まるで空気のように人と人をつなぐ存在になれると信じています。ライフスタイルに溶けこみ、いつしか本当に空気のように暮らしになじんだとき、それは“文化”と呼ばれるのだろうと思います。
Minimalが最終的に目指す姿は、生産者・製造者・消費者による“三方良し”のビジネスモデルを実現させること。
「一生懸命良質なカカオ豆を育ててくれたカカオ農家と、妥協やごまかしのないおいしいチョコレートをつくる私たち、そして、ライフスタイルに彩りを添える新しいチョコレート体験をしていただくお客さま。生産者・製造者・消費者による“三方良し”の輪が、末広がりの円を描くように大きな強い関係に育つことで、世界はこれからもっともっと大きく変わっていけると思います」と、山下さん。
今回参加してみて、「チョコレートはまだまだ面白くなりそう」と感じた新作発表会でした。Bean to Barを根付かせるために何ができるかを、山下さんは現地に足を運んでひとつひとつ創りあげているのだということがわかりました。
「Minimalのチョコレートは、使い方が決まっていないところが面白い」と、PATHのオーナーシェフ・後藤さんも言うように、コンセプトから決めていき、それに合うチョコレートの風味を合わせていくやり方はすごく論理的だなと感じました。
それでいて、掲げている野望は理性的。その両方を持ち合わせているからこそ、Minimalは面白いのだと感じました。
「私たちは、妥協せずにしっかりと拡大していきます。そうすることで、より多くのカカオ豆を買うことができますから」
最後に力強く語ったこの言葉は、自分の中にストンと落ちてきました。お金を使うということは、そのブランドの応援をするということでもあります。今年のクリスマスケーキは、Minimalのものにしようかなと思ったイベントでした。