【シュークリームの日】いつの時代にも誰かの思い出の中にある「パティスリー ラ・マーレ・ド・チャヤ」
フードイラストレーター
まるやまひとみ
毎月19のつく日は「シュークリームの日」。“シュークリーム”と「ジューク(19)」の語呂合わせから制定された記念日です。
私は母とおばあちゃんの家へ遊びに行く時、必ずお土産にシュークリームを買っていました。
家族と分かち合う甘いひとときは、私にとってかけがえのない思い出。
あなたもきっとやさしい気持ちになる、様々なシュークリームをご紹介します。
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晴れの日は富士山も望める葉山港。清々しい空気と、海と山が織りなす美しい自然に、思わず深呼吸したくなる。
そんな葉山の地に、長く愛され続ける一軒の洋菓子店がある。
1972年創業の「パティスリー ラ・マーレ・ド・チャヤ 葉山本店」は、世代を超えて人々の心に残るケーキ屋として親しまれてきた。
葉山の歴史を語るうえではずせない知る人ぞ知る名店は、今日も静かに街を見守っている。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
潮風そよぐ、のどかな別荘地
クラシカルで落ち着いた雰囲気の建物。
JR逗子駅よりバスで「鐙摺(あぶずり)」バス停へと向かう。
バスを降りると店はすぐ目の前。海辺に建つその建物は、イギリス風の洋館を改装したもの。外観は当時の姿をそのまま残している。
店内は「田園の暮らし」がテーマだそう。
扉を開くと、どこか懐かしさを感じる穏やかな空間が広がる。
重厚感のあるインテリアと、やわらかく差し込む光が自然に溶け合うカフェスペースだ。
ケーキと紅茶を味わいながら景色を眺め、ノスタルジーに浸るようなひととき。その格別な時間は、地元の人だけでなく、旅行などで訪れた人たちを癒してきた。
別荘地としてのイメージが色濃い葉山だが、居住地としても人気が高く移住者も多い。
そんな「パティスリー ラ・マーレ・ド・チャヤ」のルーツは、葉山で300年余り続く老舗の料亭「日影茶屋」にある。
「日影茶屋」は「パティスリー ラ・マーレ・ド・チャヤ」からすぐ近く。
最古の記録によると、江戸時代に創業したとされている日影茶屋。
店の前の街道を通る旅人にお茶や軽食をふるまう茶屋から始まったとされている。
明治時代には旅館を経営するなどし、多くの著名人が来訪していたという。
その文化と精神を受け継ぎ誕生したのが「パティスリー ラ・マーレ・ド・チャヤ」だ。
当時の葉山では洋菓子を出す店はほとんどなく、今ほど身近なお菓子ではなかった。
洋菓子というとヨーロッパの印象が強かったことや、日本に西洋文化が流れ込んできた時代背景、そして海外に旅行をしてきた人が現地の味を思い出せるようなお店があればとの思いから、フランス菓子の店を開いたとされる。
バターやクリームを使った洋菓子は特別なお菓子。そんな時代に本格的なフランス菓子の店を開いたのは新しい試みだった。
素材と季節感を大切にしたケーキ
立派な栗にみずみずしいいちご。目移りさせる上品なビジュアル。
コーヒーの風味が染み込んだモカケーキ「ブリジット」や、季節の果物を乗せた「タルトフレーズ」。創業当時から受け継がれるケーキは今もなお人気が高い。
何十年もの歳月の中で手に入らなくなった食材があれば、試作を重ねながら元の味を守り続けてきた。
また、素材を変えずとも、時代に合わせて甘さなどの細かい調整も欠かさない。だからこそ、年月が経って久しぶりに食べた人も「ああ、この味だ」とほっとするのだろう。
中でもぜひ味わってほしいのが、創業からすぐに販売をして以来ロングセラーの看板商品の「スワンシュー」だ。
白鳥の姿を模した芸術的なシュークリーム。
ショーケースの中で優雅に首を伸ばす白鳥。一つひとつ丁寧に白鳥の姿へと仕立てられている。
繊細な作業のため、限られたスタッフしか作ることができないという珠玉の逸品だ。
羽を広げたようなシュー生地と、たっぷり盛られたクリームの白さが重なり、思わず目を奪われる。
クリームが溶けやすいことから昔は涼しい季節にのみ販売されていたそうだが、人気が高く通年で販売するようになったそう。
フランス菓子らしい華やかさと、こだわり抜かれた職人の心意気が生み出す、お店の象徴ともいえるシュークリームだ。
海の見える窓際席で、私だけの優雅なひとときを。
夢を運ぶ、繊細なフォルムのシュークリーム(イラストあり)
illustration by まるやまひとみ
今回いただいたのは
●スワンシュー ¥470(税込)
●マリーアントワネット ¥682(税込)
※2026年4月1日~ ¥480(税込)に価格改定予定
羽を広げたようなシュー生地と、ふんわりとしたクリームの白さが重なり、思わず目を奪われる。
気品あふれる白鳥にしばしうっとり。
白い器が波紋のように見えてくる。
お皿の上を泳ぐ可憐な姿。羽に隠れたクリームも美しい螺旋を描いている。
クリームは、4種類の生クリームを独自にブレンドしたものを使用。コクがありながら口どけは驚くほど軽やかで、ふわっと舌の上で溶けていく。甘さはやさしく、ミルクの風味は豊か。
こちらに語りかけるような凛とした表情。
フォークを入れ、さくりと割れたシュー生地にたっぷりとクリームを乗せる。
香ばしさの奥に感じるかすかな塩気。クリームのまろやかさが重なり合い、ひと口ごとに心地よい余韻が広がる。
心躍る見た目、ほっとする風味。形の美しさだけでなく、味わいのバランスにも長年の想いが詰まっている。
ポットサービスで2杯ちょっとと容量たっぷり。
こちらではフランスの老舗紅茶ブランド「NINA’S(二ナス)」の紅茶を提供。
セイロンティーにバラとりんごを香りづけしたオリジナルのフレーバーティーで、爽やかで芳醇な香り、すっきりとした後味が甘いお菓子にとても合う。
海を見つめひとすすりすれば、体がリラックスし、気持ちも前向きになる。
あの頃に想いを馳せて
フィナンシェにダクワーズ、フロランタン。安心感のあるラインナップ。
焼き菓子もまた、この店の魅力のひとつだ。
フランス伝統の焼き菓子に「抹茶」や「西京味噌」を使うなど、日本料理や和菓子を扱う「日影茶屋」ならではの個性豊かなラインナップも。
葉の形が印象的な「葉山リーフパイ」は、店の前にあるすずかけの木の葉っぱをモチーフにしたひと品。
自然のかたちをそのまま模ったお菓子は、お土産や贈り物としても選ばれ、ひと口食べれば葉山の景色がよみがえる。
すずかけの木は開店とともに一緒に歩んできたシンボル。
「変わらないわね、この街は」
コーヒーをすすり、海を見つめながらご夫人が呟いた。
その言葉が私の心にも沁みる。祖母と食べたシュークリーム、それこそがこの「スワンシュー」なのだ。
「パティスリー ラ・マーレ・ド・チャヤ」のお菓子は誰かの人生の小さな場面に寄り添い、葉山の街とともに歩み続け年輪を重ねていく。
時に懐かしく、時に新しく。
この先もきっと、多くの人の記憶に残る存在であり続けるだろう。
SHOP INFORMATION
| SHOP | パティスリー ラ・マーレ・ド・チャヤ |
|---|---|
| WEBSITE | https://patisseries.chaya.co.jp/ |
| ADDRESS | 神奈川県三浦郡葉山町堀内20-1 |
| OPEN | 【平日】11:00~18:00(L.O.17:00) 【土日祝】10:00~18:00(L.O.17:00) |
| CLOSE | 1月1日 |
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