はじまりは、モダンフレンチをカジュアルに。

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代々木八幡と代々木上原の、ちょうど中間あたり。車通りの少ない閑静な住宅街には、隠れ家的な名店が多い。2014年、そんなエリアにオープンしたのが「9STORIES」です。モダンフレンチの要素をとりいれながら、敷居の高いイメージのあるフランス料理の間口を、フレンチレストランに行ったことのない人や若者にまで広げようとしています。ランチタイムからいただけるのは、料理やスイーツのほかに、バリエーション豊かなクラフトビールや自然派ワイン。

多国籍料理のデリやお弁当もやっていた開店当初からのスタイルを、この春から一新。フレンチレストランとして、ランチ、カフェ、ディナーという3つの時間帯でコース料理などを楽しめます。

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あたたかみのある木材がふんだんにあしらわれていて、それでいてスタイリッシュな雰囲気の店内。それぞれのテーブルには、緑も、たっぷり。働いているスタッフのみなさんのたたずまいも、どこか凛としていました。

いろんなストーリーが、つながっていく場所

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「9STORIES」が目指すのは、この場所を通して、さまざまな“物語”を交差させること。多様なお客さま、一杯のコーヒー、大切な誰かとの何気ない会話……、それまでは関係のなかったものが、“物語”としてつながりあう。そうやって、お店はできているのだと言います。

あのサリンジャーの名著『ナイン・ストーリーズ』では、ひとつひとつの話に、一冊読み終えることでつながりが生まれます。同じように、ここに来ることで、誰もが些細でもかけがえのないつながりを見つけられるように。

そのために、スタッフのみなさんもひとつの“ピース”として、目の前のお客さまのためを第一に考えています。この日いただいた「ほおずきのミルフィーユ」にも、やはり、見た目と味と同じくらいこだわっているポイントが隠されているのだそう(「ほおずきのミルフィーユ」は2017年11月末まで発売予定)。菊地さんに、詳しく教えてもらいました。

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見た目、口当たり、サプライズ、バランス……。一皿にかける仕事量が、まんぞくの秘訣。

菊地見た目以上にこだわっていること。それは、”ひとつひとつのパーツの完成度”です。特にパイ生地には、通常では考えられないくらいの手間をかけています。

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崩さず食べるのが難しいイメージの“ミルフィーユ”ですが、こちらは、ほろほろとして、驚くほど切りやすいですね。

菊地何層にも折り込んだ生地を、「普通、ここまでしか焼かない」というポイントから、もう一段階深く焼き込んであるんです。そうすることで、しっかりとしていて香ばしいのに、空気をたっぷり含んだ軽い生地に仕上がります。

クレーム・パティシエール(カスタードクリームのこと)も、生地に負けないくらい、しっかりとした固さなんですね。

菊地それでいて、口当たりはスムースになるよう、絶妙な塩梅を目指しています。実は、中間層にはほおずきのコンポートを忍ばせてあるんです。

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コンポートには、アマレット(アーモンドの香りをもつリキュール)が効いていて、フレッシュな酸味を感じられる一方で、奥深い香りもします。トップにのった、プチっとした食感と弾けるような酸味のほおずきとの、コントラストが楽しいですね。“パーツの完成度”とおっしゃる意味が、わかったような気がします。運ばれてきたときの見た目のインパクトも、やはり印象的でした。実の上の、ろうそくの炎のような部分は何ですか?

菊地ほおずきの皮をくるっと上にまとめたものです。”パーツの完成度”とは言いましたが、もちろん、見た目の楽しさにもこだわっています。一皿にいかに多くの“仕事”を詰め込むか。その“てまひま”を増やすほど、お客さまの満足も大きくなると考えています。そして、もっとも大切なのは、パーツごとに主張させるだけでなく、ぜんぶが一体となってひとつのハーモニーを奏でることなんです。

都心に一番近いベッドタウンで

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こうした手仕事のつくりだすおいしさを聞きつけて、最近は、わざわざ遠方からいらっしゃる人も、増えてきているそう。埼玉や神奈川から、予約して訪れるお客さまも多い。驚くほど閑静で、ゆったりとした時間の流れるエリアなので、コース料理をじっくり楽しめるスタイルがぴったり。都心にいちばん近いベッドタウンで働いていると、「ここが東京だということを、うっかり忘れてしまうこともある」そうです。

遠方からのお客さまだけでなく、昔からこのエリアにくらす地元の人や、デザイン・アパレル関係の事務所で働くひとまで、お客さまの層は実にさまざま。そんなエリアにお店を構えるからこそ、「多様なライフスタイルにあわせて、自分好みのつかい方をしてほしい」のだと、菊地さんは言います。一方で、「海外に比べると、日本では、“提供する側”とそれを“消費する側”との距離が、まだまだ大きいと感じられる」とも。

飲食業界で10年以上のキャリアを積む菊地さんは、業界の現状を、そのように捉えていました。

インターネットが普及し、お店の情報が、良くも悪くも一瞬で広まってしまう。だからこそ、お店とお客さまとの間に信頼関係を築くことが、これまで以上に重要になってきます。菊地さんは、お互いの主張をぶつけ合うのではなく、お互いがハッピーになれるような関係を目指しているのだといいます。「そのために、僕らは日々、一生懸命にやるだけなんです」と、甘い笑顔の下の、情熱的でストイックな一面を見せてくれました。

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贅沢な空間のなかで、カジュアルなカフェを楽しめる一方、カフェのような気軽な雰囲気のなかで、ほっぺたが落ちるほどの本格料理を味わえる。そんな、フランス料理のユニークな切り口とプレゼンテーションに、心地よい空間が合わさったのが、「9STORIES」の魅力かもしれません。

■ 商品リスト

「ほおずきのミルフィーユ」1200円

■ 教えてくれた人

菊地祐哉さん
甘い笑顔が印象的な、「9STORIES」のジェネラルマネージャー。いちばん好きなスイーツは、シュークリーム。

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