[3大要素]
いちご / 時期ごとにベストなもの
スポンジ / パプリカで育った那須御養卵
クリーム / 高脂肪の三種類の原乳の生クリーム

「ガトーフレーズ」に込められた、シンプルイズベストな精神

いちごとスポンジと生クリームだけ。シンプルで、ふっくらとおいしそうで、日本人の心のなかにある「ショートケーキ」そのもののような魅力的なビジュアルですね。

和泉ありがとうございます。このケーキに関しては、シンプルな魅力を追求しています。ショートケーキのシンプルなおいしさを極めるため、シロップやジャムなど、3つの要素以外のものは一切使っていません。名前の「ガトーフレーズ」は、フランス語で「いちごのケーキ」という意味ですね。

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いちごは、どのようなものを使っていますか?

和泉通年お出ししているケーキですので、いちごはそのときどきにいちばんおいしい旬のものを仕入れています。4月頃ですと、とちおとめですね。

たまご、味つけ、極上スポンジに隠された秘密

スポンジにはどのようなこだわりがありますか?

和泉スポンジは、特に力を入れている要素です。たまごは那須御養卵。なかでも当店で使っているのは、赤いパプリカを食べさせたニワトリのもの。余計なくさみがなく、味がよいのはもちろん、黄身もほんのり赤みが増して、見た目も美しく焼き上がるんです。

ニワトリのえさまで指定しているなんて、驚きです。

和泉ニワトリのえさはとても重要なポイントで、魚介系のえさを食べているニワトリのたまごは、割った瞬間から魚介の香りがしてしまうんでよ。

そ、それは、シェフレベルの敏感な鼻の持ち主ではないと気づかないかもしれませんが……、たしかにこちらのスポンジは、ほのかに赤みがありますね。

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和泉さらに、生地にはロシア産のブレンドはちみつを加えています。「これしかない!」というくらい気に入っているはちみつで、隠し味に使うことでやさしいまろやかさが加わって、スポンジもしっとりと焼き上がるんです。

もうひとつの特徴は、乾燥卵白。本来はメレンゲのたんぱく分をおぎなうための製菓材料なのですが、うちではスポンジに混ぜ込むことによって、よりきめ細かな質感に仕上げています。

食べごたえしっかり、だけど口当たりしっとり。絶妙バランスをキープする工夫

クリームはいかがですか?

和泉オープンのときから、うちのクリームは脂肪分45%の北海道産生クリームと2種類の生クリームをブレンドして使っています。うちのショートケーキはスポンジが3層になっていて、わりとボリューム感があるので、きれいな形をしっかりキープするためのギリギリの硬さが必要なんです。そのぶん、水分が生地のほうに含まれているので、パサつくことはなく、全体的にはしっとりとしたバランスにまとまるように計算しています。

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シェフが目指すショートケーキの食感とはどのようなものですか?

和泉しっかりとした食べごたえはありつつ、やさしいしっとり感があって、口の中ではスッととけて後に残らないのが理想です。満足感はあっても、トゥーマッチにならないバランス感にはこだわっています。スポンジにシロップを使わないぶん、乾燥しやすいというデメリットが生まれるのですが、うちではストレート刃のナイフを使うことで乾燥をふせいでいます。

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あえてストレート刃のナイフを使うのはどうしてでしょう?

和泉一般的な波型の刃のナイフで切るのと比べて、ストレートの刃で切った場合、断面の表面積が最小限に押さえられるんです。表面積が広いほど乾燥は進みますから、ストレートの刃で切ることで、理想のしっとり感をキープすることができるんです。

道具にまでそんなこだわりがあるんですね……。「しっかりなのにしっとり」が続く理由に脱帽です!

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今までの技術や感性をすべて再構築して練り上げた一品

表面に飾られている、星型のピックもおしゃれです。

和泉これは、店名の「アステリスク(小さな星)」を表したものです。ひとつひとつは小さな星でも、スタッフみんなが集まって大きな輝きを放てたら……という意味があるんです。

また、アステリスクという記号(*)のように、地図の上でポイント、つまり、お客さまの目的地になるようなお店を目指したい、という願いも込められています。

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とてもすてきですね!もうひとつ、「ガトーフレーズ」のほかに人気商品があれば教えていただけますか。

和泉いちばん人気は、こちらの「モンブラン クレメ」ですね。わたしの出身地でもある愛媛県の中山栗をふんだんに使い、中にはマスカルポーネを使った生クリームを閉じこめました。

下にはアーモンドのメレンゲを敷き、仕上げにはキャラメリゼをしたロースとアーモンドをアクセントに載せました。和栗の魅力を詰め込んだ味わいと見た目のインパクトとで、たくさんの方に喜んでいただいています。

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ほっくりとした和栗の上品な甘みと生クリームのリッチなコク、そして底にはしっかりとしたメレンゲ。濃厚だけど軽やかなバランス感が絶妙です。「クレメ」は、フランス語でクリーム状にするという意味。

最後に、シェフにとってショートケーキとはどのような存在ですか?

和泉ショートケーキは、お店の顔。いかにおいしくつくるか、というのはパティシエの永遠の課題です。シンプルだからこそ、素材のこだわりも、技術的なこだわりも、手をかければかけるだけ結果に出やすい。このガトーフレーズは、アステリスクをオープンするときに、今まで習得した技術や感性をすべて再構築して一から練りなおした渾身のショートケーキです。ぜひ一度味わっていただけると幸いです。

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■ 教えてくれた人

和泉光一さん
東京・調布の名店「サロン・ド・テ・スリジェ」のシェフ・パティシエを長年務め、2012年ASTERISQUE(アステリスク)」をオープン。2005年、ワールドショコラマスターズ日本代表、総合3位。2006年、WPTS(World Pastry Team Championship.2年に一度開かれる製菓の国際コンクール)日本代表キャプテンを務める。

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(写真一部店舗提供)

商品リスト
ガトーフレーズ
450円
モンブラン クレメ
590円