こんにちは。鹿児島在住の、和菓子女子のせせなおこ(@nao_anko)です。

とある雑誌のどら焼き特集でみつけた「ラムドラ」という商品。ラムレーズン×どら焼きという、びっくりする組み合わせに惹かれました。

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調べてみると、なんと鹿児島生まれ。ラムドラの秘密を知りたい!

いてもたってもいられず取材依頼書を送り、ラムドラをつくっている梅月堂に行ってきました。

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鹿児島県日置市、湯之元駅から徒歩5分の場所にお店はあります。

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明るい店内にはジャズが流れています。

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今回お話を伺ったのは、梅月堂4代目の石原良さん。和やかな雰囲気をもちながらも、お菓子に対してあつい想いをもっていらっしゃる、素敵な方です。梅月堂について、とても丁寧に教えてくださいました。

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温泉観光の手土産「湯之元せんべい」

まず、梅月堂の歴史から教えてください。

石原 はい。梅月堂は1921年に創業し、今年で96年になります。看板商品は「湯之元せんべい」です。クッキー生地のおせんべいで、山椒やごま、青海苔、ピーナッツがトッピングされています。

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梅月堂のある湯之元は、江戸時代から栄える温泉郷。温泉に泊まりに来る方のお土産として親しまれてきました。湯之元にあるおせんべいだから、ということで、いつしか「湯之元せんべい」と呼ばれるようになったのだそうです。

石原創業当時からあるおせんべいなのですが、実は、元々は何ものっていませんでした。お店の看板商品になるものを試行錯誤していく中で出合ったのが、鹿児島では馴染みの深い「山椒」だったんです。

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手軽に摘める食材で、甘さと香りと辛味がうまく合うということで70年前から山椒をのせるようになったそう。パリッとした食感、そして爽やかな山椒の香りが口の中に広がる湯之元せんべいは、一枚一枚職人さんが焼いています。

湯之元せんべいの材料は、砂糖、卵、小麦、水。トッピングとして山椒やごま、青海苔と、これ以上シンプルにつくれないというところまで、とことんシンプルなおせんべいです。

気になるオトナのどら焼き「ラムドラ」誕生秘話

一口かじると、ほんのりとバターの香るあんこに、レーズンがプチっと弾け、ラム酒の芳醇な香りに思わずうっとりしてしまいます。続いて、今回取材のきっかけになった「ラムドラ」のおいしさについてお聞きしました。

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私、「ラムドラ」を初めて食べたときの衝撃のおいしさは忘れられません!このおいしさの秘密を教えてください。

石原はい。「ラムドラ」は2016年にできた比較的新しい商品なんです。コンセプトは2つ。1つめは、働いている女性がこれを食べたらまた明日から頑張れるご褒美になるもの。2つめは、和菓子の中で一番とんがったものをつくること。

お米のおせんべいが主流の時代に、小麦粉を使い、山椒の葉を丸ごとのせたおせんべいをつくった“やんちゃ心”をもう一度取り戻そうと思いました。

元々、妻が餡バターが好きで、餡バターのどら焼きをつくってほしいと言われていたのですが、他のお店がすでにつくっているので、それだけでは面白みがないと思っていて。私はお酒が好きなので、ラムレーズンをどら焼きに挟んでみよう!と思いつきました。

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十分ラム酒を吸わせるため、レーズンは今にも弾けんばかりにぷっくりとしている

石原最初はラムレーズンを仕入れて試作してみたんですが、全然おいしくなくて。いろんなところからラムレーズンを取り寄せたのですが、ダメでした。コスト感は合わないし、手間もかかるので当初は製造をためらいましたが、本当にいいものができるはずだと信じていたので、試作を続けました。

他にも、製菓用のラム酒でもつくってみたのですが、それでもおいしくないんですね。やっぱり高くてもいいからやってみようと、本格的なダークラム酒を使ったことでやっと味が決まり、商品化を決意しました。

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どこから食べてもラムレーズンが食べれるように均等に7粒並べられる

開発にかかった期間は、約半年間。梅月堂のどら焼きに合うラムレーズンが完成しました。発売するとすぐに注目され、あっという間に人気商品になったそうです。

どこにも負けないしっとり感「ぬれどら焼き」

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「湯之元せんべい」「ラムドラ」だけでなく、しっとりとした皮が特徴の「ぬれどら焼き」も、看板商品の一つ。

石原実は、梅月堂のどら焼き自体は、60年前に誕生していたんです。2代目の時代に、いくつかのお菓子屋さんが参加した菓子組合が主催する教室がありまして、東京から先生が鹿児島にいらっしゃって、どら焼きの焼き方を習ったそうなんです。

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石原習ったものの、めんどくさい・手間がかかる・難しいなどの理由から、他のお店はやらなかったらしいんです。ただ、うちの2代目だけは他と違うお菓子をつくりたい!という思いからしっとりした食べ口の良い、どら焼きの皮を追求しました。これが「ぬれどら」のはじまりです。

石原さんは大学進学のため上京。そのまま東京で就職し、5年前に鹿児島に戻られました。当時は、梅月堂のどら焼きおいしいよね、という方がたまにいるくらいで、ほぼ無名の商品だったそうです。

石原ふわふわのどら焼きはありますが、しっとりしたどら焼きは他にないのではないかと思い、それからいろんなお店のどら焼きを取り寄せ、食べ歩きました。その上で、自分たちのどら焼きのしっとりさはどこにも負けていない!と思い、湯之元せんべいと並ぶくらいの商品に育てようと力を入れはじめました。

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どら焼きの皮は一枚一枚職人の手によって焼かれる

焼きたてはまだふわふわなのですが、時間が経つとしっとりとした食感に変わっていきます。

どら焼きって、ふわふわしてて皮が厚くて、早く食べてね、というのが主流。そのあと餅粉を入れて、もちもちしたどら焼きが出てきてますが、機械では焼けないとか、手間がかかるとかいう理由で、しっとり系のどら焼きは意外と少ないんです。

4年前、皮はしっとりのいいどら焼きだったが、ぬれどらをつくるにあたり、皮以外の全てを見直したそう。

石原つぶあんと言いながらもよく練られたこしあんに近いものだった餡も、きちんと食感の残るよう「大納言小豆」に切り替えました。粒を残して炊きあげ、糖度を落とし、渋みを残すなどの餡の改善をしました。

和紙に入っていたパッケージも、しっとり感を伝えるためデザイナーさんと話して、中が見えるものに。温泉の湯気と濡れた感を醸し出しています。

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春限定の桜どら焼き(残念ながら4月で販売終了)

実は和菓子に合う「コーヒー」

石原さんは、普段和菓子とどんなものをペアリングしていますか?

石原和菓子だからお茶!と決めつけるのではなく、色んな楽しみ方があることを提案できればいいなと思っています。

例えば、私はコーヒーやお酒が好きなのでそういう食べ方もありますよ、と。ラムドラはもちろん、湯之元せんべいもコーヒーと合うと思うんです。

おすすめは、深煎りで苦味がある、でもスッキリ、かつ熱いコーヒー。

ぬれどらは、いも焼酎のロックや赤ワインと一緒に楽しむ、という方もいらっしゃいます。もちろん、鹿児島はお茶もおいしいので、自由に、好きなように楽しんでほしいですね。

でも、やっぱり梅月堂を支えてきた湯之元せんべいも若い方に食べて欲しい。自由に、好きなように和菓子を楽しむことで和菓子に触れ合う機会が増えるといいなと思います。

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ちなみに店内では、石原さん一押しの喫茶店パラゴン(串木野市)のコーヒーを頂くことができます。

“鹿児島の突き抜けたお菓子”として選んでいただきたい

最後に、今後の目標を教えてください。

石原鹿児島一の和菓子屋さんになりたいですね。従業員は全員が自分たちのお店のことを一番と思っていると感じます。それでも、規模・知名度では、まだ他のお店に負けてしまいます。

けれど、規模で競うのではなく、例えば東京の人が見たときに「鹿児島のお菓子で、ぬれどらっていうのがあるよね!」という風に認知度が上がればなと思います。

あとは、鹿児島の人が県外に持っていくときにいつも「かるかん」になってしまうので、鹿児島の突き抜けたお菓子として、選んでいただけるようになれればなと思います。自分たちが思う一番になれたらいいなと思います。

自分たちのお菓子に自信、誇り、そして愛情を持って大切に、大事につくり、そして届けているのが伝わって来ました。これからもおいしいお菓子をつくり続けて、そして、いろんな方に食べていただきたいと思います。

石原さん、どうもありがとうございました!

SHOP INFOMATION

NAME 梅月堂
URL http://yunomoto-baigetsudou.com/
ADDRESS 〒899-2201 鹿児島県日置市東市来町湯田3320 ほか
TEL 099-274-2421
OPEN 9:00〜18:00
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