ふわっと柔らかい生地に甘い餡子が包まれた、どら焼き。口にほうばるたびに優しい甘さが広がり、思わずニンマリしてしまう魅惑的なおかしだ。

小さい頃は餡子が苦手で、祖父母が好む味というイメージだったのに。今では餡子を恋しく想うほど、大好物となってしまった。街を歩いているときにどら焼きを見つけると、亡き祖父が美味しそうに餡子の詰まったどら焼きを食べていた姿を思い出す。

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そんな祖父を思い出しながら、豪徳寺の周辺を散歩していたある日。ふと目に入ってきたのが、和菓子屋「まほろ堂 蒼月」。

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ショーケースの中には、招き猫の焼印が押されたどら焼き”ねこどら”が販売されている。豪徳寺は招き猫発祥の地と言われていて、駅周辺のお店には商売繁盛を願って招き猫の置物が並んでいる。ショーケースを見渡すと、可愛らしい招き猫のどら焼きと目があってしまった。まるでこの招き猫が、お店まで導いてくれたような感じがする。

丸みのあるどら焼きは、可愛い手のひらサイズ。ひと口ほうばると、優しい餡子の甘さが口の中に広がる。餡子はつぶあん。あっさりとした甘さで、柔らかい生地はほんのりとバターの風味が感じられる。

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焼印されている招き猫は食べるのが勿体ないほど、表情が可愛い。幸せそうな顔立ちは、食べた人に福を与えてくれる顔つきだ。

この「まほろ堂 蒼月」でどら焼きをつくっているのは、店主の山岸史門さん。どら焼きづくりのこだわりを伺いました。

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店主の山岸さん

バターの風味と、優しい餡子がおいしい

山岸「まほろ堂 蒼月」はオープンして、3年ほどになります。どら焼きはオープン当時から販売していますが、最初は招き猫の焼印を入れていなかったんです。いつか焼印を入れたいと思っていましたが、お店のオープンが忙しくなかなかタイミングが掴めなくて。2017年、玉電110周年の記念で、豪徳寺と東急電鉄で招き猫のデザインを使用した商品をつくろうという話が商店街にあがってきたんです。そのタイミングで、どら焼きに招き猫の焼印を入れるようになりました。

招き猫は、商店街で共通のデザインを使用。巾着、手ぬぐい、ケーキなど、お店ごとに違う形で招き猫の商品を販売している。

山岸昨年11月から招き猫の焼印をはじめたら、地域のお土産として買ってくれる人が多くなって。焼印をはじめたことで、販売数が増えてうれしいですね。

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山岸どら焼きは小ぶりで、餡子がくどくならないようにつくっています。私自身も、甘さが控えめの餡子が好みなんですよ。餡子はどら焼き用に、柔らかめで練っています。焼くときは、生地がくっ付かないように鉄板にバターを塗っています。中に練りこんではいませんが、ほんのりとバターの風味が感じられますよ。

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どら焼きは餡子よりも生地の甘さの方が強く、くどさはない。サイズも小ぶりなので、食べ終わったときに「もう少し食べたい」と名残惜しくなる味わい。

どら焼きは、電子レンジやプレートで温めて食べるのがおすすめとのこと。ホットケーキのように、どら焼きの上にバターを乗せて食べるのも美味しいのだそう。

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青豆大福は、新鮮さにこだわるから常温当日まで

どら焼きと同じくらい人気の商品が青豆大福。青豆大福はこしあんで、ほんのり塩味が感じられる素朴な味わい。餡子の甘さは控えめで、幅広い世代から人気を集めている。

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山岸中に入っている豆は青豌豆を使用しています。豆の青臭さを軽減させるのと、餡子がスッキリした甘さなので豆に塩味を効かせています。青豆大福は餅っぽさを出すために、餡子よりも餅の比率が多くなってます。女性にも食べやすいように、サイズは小ぶりにしています。餡子の濃い大福が苦手な方でも、食べやすいと思いますよ。

大福は新鮮さが命。100%のもち米を使って、毎朝餅をついているとのこと。保存料を使用していないので、美味しく食べられる期限は常温当日。日持ちがしない分、出来たてで豊かな味わいを楽しむことができる。

山岸日が経つと、お餅は固くなってしまいますからね。食べるなら、15時のおやつの時間帯がオススメです。出来たてすぎると、まだ餅が締まっていないので柔らかすぎてしまいます。熱が抜けたときが食べ頃です。柔らかめが好みの方は、午前中にお召し上がりください。

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どら焼きは1週間、常温保存が可能。手土産に購入される方も多いようで、脱酸素剤を入れて日持ちできるようにつくっているとのこと。

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女性のファンが多い、「まほろ堂 蒼月」。お客さまは小さな子供連れの主婦やご年配の方など、幅広い層に人気がある。

山岸平日は豪徳寺周辺に住んでいる方の来店が多いですが、週末は遠方からわざわざ足を運んでくれる人も増えています。豪徳寺周辺の方は、ほとんど口コミで来店されることが多いですね。オープン当時も宣伝はチラシ配りと、電車の広告だけでした。食べた人から餡子がおいしいと言っていただけると、とても嬉しいです。

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万人受けする和菓子にこだわりたい

オープン当時から人気の定番商品、どら焼きと青豆大福。はじめはどら焼きをメインに、和菓子販売をスタートしようと考えていたそう。

山岸最初、万人受けするお菓子をつくりたいと思っていて。主力商品はどら焼きにして、青豆大福は2番手を予想していましたが、オープン当時は青豆大福の方が人気でしたね。招き猫の焼印を入れてから、どら焼きが売れるようになりました。今はどちらも同じくらい、人気の商品です。

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独立を決める前から、どら焼きと青豆大福をつくろうと決めていた山岸さん。お店をはじめる前は、和菓子職人として仕事をされていたそう。

山岸独立する前は和菓子職人として「蜂の家」で働いてました。万人うけするオーソドックスなものを作りたいと思っていて。そこに自分なりのアイデアを入れていきたいと考えていました。現在販売している青豆大福は、昔働いていた「志むら」で販売している、青豌豆を使ったロール状の大福「福餅」がきっかけです。

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壁に掛けられていた、和菓子のイラスト

自分のお店をオープンしようと思ったきっかけは、自分のペースで和菓子をつくり続けたいと思ったから。

山岸和菓子づくりを自分のペースでゆっくりと続けたいという想いと、母親と一緒にお店をやりたいという想いがありました。地元が三軒茶屋なので、世田谷周辺で場所を探していたんですが、他の地域もいくつか探す中で今の物件を見つけて。内見をしたときに、ロケーションの良さと明るさ、中に入ったときに感じた気の入り方が決め手で、ここに決めました。

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「まほろ堂 蒼月」がオープンする前、もともとはラーメン屋だったという店内。用意していた和菓子のショーケースに合わせてリフォームした爽やかな白を基調とした店内は、ほっとくつろげる空間になっている。

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山岸メインの和菓子以外に、シーズンと月毎に変わるものを用意しています。定番のどら焼きや青豆大福は、今後も味は変えずにつくり続けていく予定です。

美味しさと心地よさが流れる「まほろ堂 蒼月」。食べた人の心にそっと寄り添い続けてくれるような、そんな温かさのあるお店でした。

世田谷線を眺めながら、和菓子片手に季節を感じるのも楽しみ方のひとつ。豪徳寺から駅まで帰る途中、ふらっと足を運んでみるのもオススメです。

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商品リスト
ねこどら
190円
青豆大福
170円