こんにちは。鹿児島在住の和菓子女子、せせなおこ(@s_nao25)です。

和菓子好きの私ですが、最近贈りものをするときによく選んでいる和菓子があります。

それが、今回紹介する、日本に古くから伝わる、縁起担ぎをモチーフにした「博多運盛」のお菓子。

贈る側のこちらまで運をもらえるような、とてもうれしい気持ちになるお菓子です。今回は「博多運盛」のオーナー・平山静さんにお話を聞きました。

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博多らしさを伝えるお菓子をつくりたかった

このお店を始めようと思ったきっかけはなんですか?

平山おしゃれで可愛らしい博多のお菓子をつくりたいと思ったのがきっかけです。2014年12月にオープンしました。もともと博多の出身で、なにか“博多らしさ”を伝えられたらいいなと思っていました。

けれど、名前に「博多」とつければ、博多らしいというわけではないですよね。

確かに。

平山そこで、博多らしさとはなんだろう?と考えました。そこで思いついたのが、博多は縁起担ぎを大事にするまち。博多祇園山笠(はかたぎおんやまかさ)もそうですし、何かにつけて博多の商人は縁起担ぎが大好きで。

(※博多祇園山笠:1241年から続く、無病息災を願って行われる櫛田神社のお祭り。3メートル程の山笠を男たちが担ぎ、博多の街を走るのが名物)

そこで縁起担ぎみたいなお菓子をつくったらどうだろう、と。今、いろんなお菓子があるなかで、あげる方ももらう方もうれしくなるような、そんなお菓子をつくろうと思いました。

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左から、れんこん、れもん、いんげん、なんきん(運盛饅頭)
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左から、にんじん、きんかん、だいこん、ぎんなん(8個入りで1998円(税込))

店名「運盛」との出合い

平山そもそも「運盛り」とは冬至に8つの「ん(運)」のつく冬のお野菜を食べて、運を呼び込む、縁起担ぎのことをいいます。「いろはにほへと」の47音が「ん」で終わることから、「ん」には物事の終わりの意味があり、また新しく来る年がいい年になりますように、と願ったことに由来しています。

そもそも「運盛り」を知ったきっかけはなんだったのでしょう?

平山きっかけは私の母です。母はちりめん生地で小物をつくることが趣味で、主人が会社をつくるときにちりめんで運盛りのモチーフの押絵をつくってくれたんです。運盛りのストーリーがとても素敵で。

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運盛を知るきっかけとなったちりめんの飾りもの

そして、今回お菓子をつくるときに何がいいかな?と思ったときに、ふと思い出したんです。なにもない時代に身の回りのもので家族の幸せを願う、家族を思う気持ち、言葉遊びがあらわれていて。

最近薄れてきている「日本人のこころ」を、こういう気持ちを思い出してほしいなと思いました。ちょうど、お菓子の名前もお店の名前もなかったので「運盛」をそのまま使うことに決めました。

運がつまった8種類のあんこ

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8種類のあんこは野菜の餡ですよね。とても珍しいと思ったのですが、商品開発は大変だったのではないですか?

平山大変でしたが楽しかったです。まず材料が国産であることにこだわりました。それぞれ特性があるのでそれをどういうふうに生かしていくのか。どんなお菓子にしようか、というところから始まったので最初は野菜のドライチップという案もあったり。

きっかけが縁起担ぎだったことから、和菓子路線でいきたいな、ということと、博多はお饅頭の発祥の地ということもあり、商品はお饅頭にしてみようというところからアイデアを考えました。

あんことお饅頭は相性が一番いいのですが、お饅頭はどうしても2~3日しか日持ちがしません。おみやげとして使ってほしい、という思いもあったので、日持ちのするどら焼きをつくりました。

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うんどら 8個入 1360円(税込)

可愛らしい見た目のこだわり

お菓子の可愛らしさはもちろん、お店の中も、置いてある小物もスタイリッシュでおしゃれな空間の運盛。見た目のこだわりについて伺いました。

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お饅頭もどら焼きも手のひらにちょこんとのる可愛らしいサイズ。大きさには何か理由があるのでしょうか?

平山はい。運盛りというコンセプトには、運をつくものをたくさん食べて、運を引き寄せる、という意味があります。

仮に一人暮らしのところに持っていっても、大きいどら焼きを8種類と言ってもなかなか食べられない。たくさん食べてもらいたいという思いと、そして何より見た目のかわいらしさから今のサイズに決まりました。

普通、どら焼きは、あんこが中に包まれていて見えないんですけど、色がすごく可愛くできたのでマカロン風にして中を見せるようにしました。例えばどら焼きの皮のサイズはたった5mm違うだけでぜんぜん違うものになります。可愛らしく見えるように徹底してこだわりました。

お店はとてもおしゃれで、かつとても居心地のいい空間です。店舗デザインについて教えてください。

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平山はい。まず、ロゴは旧かな文字の「うん」の字が、六角形の亀甲の形の中にはいったデザインになっています。

お店のどこを見ても「運が」入ってくるように、という願いを込めて、入口の引き戸の取っ手や壁のタイル、紙袋。ありとあらゆるところに亀甲が隠れています。
たくさんの運を持ってかえってほしいという思いを込めました。

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お菓子と一緒に縁起のいいものを贈りたいというお客さまのために店内には、お箸や波佐見焼の焼き物などのお土産スペースもあります。

最後に、運盛のお菓子をどんな場面でつかってほしいですか?

平山そうですね、例えばお見舞いにいくので元気になってほしいから。おばあちゃんに長生きしてほしいから。お隣の子が受験だから。

どんなシーンでも、買う人が相手を喜ばせるために思いやりをもって買いに来られるとすごく嬉しい気持ちになります。自分がもらって、嬉しかったから人にあげたいな、そういうふうに使っていっていただけたらいいですね。

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お互いがお互いを思って「運」を贈り合う。とても素敵な日本の思いやりを、これからもおいしいお菓子を通して伝えていってほしいなと思います。

平山さん、どうもありがとうございました!

SHOP INFOMATION

NAME 博多運盛
URL http://www.unmori.jp/
ADDRESS 福岡市博多区上川端町12-31
TEL 092-282-0017
OPEN 10:00〜19:00
CLOSE 日曜日・祝日

※他、臨時休業する場合があります