こちらのデザート、なんだと思いますか?
パリパリした表面が特徴の人気ケーキ・クレームブリュレ……ではありません。スプーンを入れると、中から出てくるのは、ふわふわの……氷。そう、かき氷です。
渋谷駅と代々木公園のあいだ、都会の喧騒から少し離れた路地裏に建つ、かき氷店・セバスチャン。休日には予約で3時間待ちにもなる超人気店です。
こちらで提供される、ケーキのような「かき氷=ドルチェ氷」は、どのように生み出されているのでしょうか。
フレンチ時代の経験を生かし、素材にもこだわったドルチェ氷
「コンセプトは、”まるでケーキのようなかき氷”です」
そう話すのは、“ドルチェ氷” 生みの親・川又浩さん。元フレンチシェフで、現在はセバスチャンの店主です。
2011年に、スペインバルとしてセバスチャンをオープンしましたが、当初のメニューにはかき氷はありませんでした。転機となったのは、一枚の写真。
川又僕の知人がバルに遊びに来て、京都祇園の『NITI』で食べたかき氷の写真を見せてくれたんです。
そこに映っていたのは、まるでモンブランのようなかき氷。それは、川又さんが知る従来のかき氷とはまったく異なるものでした。
川又感動したんですよ。『世の中にはこんなにすごいかき氷があるのか!』って。
かき氷の面白さに魅せられた川又さんは、自分もかき氷を作ろうと決めました。
かき氷ブームとともに、様々なお店が独自のコンセプトでかき氷を作っています。お茶屋さんはお茶のかき氷、フルーツ屋さんはフルーツのかき氷。では、セバスチャンではどんなかき氷を作るのか。
いろいろと考えた末に、川又さんはフレンチの経験を生かして ”まるでケーキのようなかき氷” を作ることに決めました。
川又メニューを考えるときは、ケーキの本などは一切見ないですね。フレンチ時代の経験から考えたり、あとは、お客さんに『どんなデザート食べたい?』って聞いたりしますね。例えば、そこでいちご大福をリクエストされたら、『よし、じゃあいちご大福のかき氷をつくろう』とチャレンジしたりしています。
そんな川又さんのこだわりは、かき氷にかける「ソース」。フレンチシェフ時代にデザートを作っていた経験から、フルーツソース作りには自信とこだわりを持っているそうです。作り方はもちろん、素材選びからこだわりを発揮しています。
素材にこだわる分、値段も他のかき氷よりも少し高いそう。しかし、昔に比べて今は「お金を出してでも良いものを食べたい」という方が増えています。本当に美味しいかき氷を求めて、日々途絶えることなく、たくさんのお客さんがセバスチャンに足を運んでいます。
見た目にも、味にも、食感にもこだわったドルチェ氷の数々
こちらのかき氷は、セバスチャンの1番人気・レモンとミックスベリーのレアチーズ仕立て。
氷をふわふわに削り、レアチーズソースをかけ、氷を削り、ソースをかけ……、この工程を3度繰り返し、最後はレアチーズソースとレモンピールをアクセントに、ミックスベリーソースとココアクッキーをかけて出来上がり。
幾重にも氷が積もった実物のインパクトは、写真の比じゃありません。ひとりで完食できるのか……? と疑問も湧きましたが、女性でもひとりでペロリと食べ切ってしまうそうです。
川又レアチーズソースだけだと濃厚すぎて重いんですよ。だから、重く感じさせないように、レモンを入れているんです。
口に入れると、とっても濃厚なレアチーズの味に、舌が魅了されて、「美味しすぎて幸せです」という言葉が思わずこぼれました。
レモンピールの軽い酸味が後味をさわやかにしてくれるので、味の濃さにスプーンを止めることもなく食べ進めることができます。
さらに、ココアクッキーのサクサクした食感と苦みが、このかき氷にぴったりのアクセントになっています。本来レアチーズケーキには「クランブル」というクッキーのような土台がありますが、ココアクッキーがクランブルの代わりにサクサク感を演出しています。
同じ風味、同じ食感だけでは飽きてしまう。ドルチェ氷には、食べる人を最後まで喜ばせてくれるような工夫がたくさん凝らされていました。
続いては、マンゴーショートケーキかき氷。
上に乗せられた透明のゼリーがキラキラと光り、女の子たちの心をくすぐります。
川又見た目がキレイ、カワイイって喜んでもらえると嬉しいですね。みなさんよく写真を撮ってくれています。溶けるから早く食べてほしいんですけどね(笑)。
かき氷と生クリームは未知の組み合わせですが、食べてみると、その相性の良さを実感できます。マンゴーソースも濃厚ですがしつこすぎず、気付けば楽々と1ホールを食べ切ることができました。
そして、こちらは今年からメニューに加わった、クレームブリュレ。川又さんも「今年のイチオシです」と太鼓判を押しています。
見た目は、クレームブリュレそのもの。やはりかき氷には見えませんが、表面をパリッと割ってみると、、中からふわふわの氷が現れます。
クレームブリュレといえば、最後の仕上げにケーキの表面をガスバーナーであぶって焦げ目をつけますよね。こちらのかき氷も同じように火を噴きつけていますが、熱さで氷が溶けてしまうのではないでしょうか。
川又氷を覆っているメレンゲが断熱材になるので、中の氷はまったく溶けません。最初にメレンゲを使わずに作ろうとしたときは、火で氷が穴だらけになりました。
試行錯誤の末に、きちんと形になったクレームブリュレ。
メレンゲのふわふわ感、そしてフレンチバニラがマッチして、心地よい甘さがふわりと口に広がります。パリパリの表面も、クセになる味と食感。とにかく、最後まで美味しい。
このクレームブリュレにはいちごコンフィチュールが使われていますが、フルーツの種類は季節に合わせてどんどん変えていくそうです。
川又旬の食材と、それに合う他の食材を組み合わせてメニューを作ることが多いです。夏になれば、シンプルに甘夏×レモンミルクにしたり、あとはバルサミコと合わせたりもできるかなと。アイデアは無限に出てきますね。
一度見たら、一度食べたら忘れらない、セバスチャンのドルチェ氷。季節の移り変わりとともに、川又さんがこれからどんなアイデアを生み出すのか、とても楽しみです。
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